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This Side of Paradise 楽園のこちら側 日本語訳が発売される

この作品、気になっていた方も多いのでは無いか。

グレート ギャツビーの作者、F スコット フィッツジェラルドが若干24歳の時に発表し、時代の寵児となった作品である。

1920年の作品であり、狂乱の20年代の幕開け、当時の大学生の心情、アメリカの時代背景が読み取れるであろう。

また、後の妻となる19歳のゼルダに婚約を破棄され、富と名声を得て再びゼルダの愛を取り戻す為に書いた作品でもある。そして、フィッツジェラルドは、みごとにゼルダの愛を勝ち取った。

しかしこの作品の日本語訳は、1957年に高村勝治訳、荒地出版社にて出版された後、絶版となりその後に出版されることは無かった。

喉から手が出る程に、この作品を読んでみたいと思った私はアマゾンの他、オークションやあらゆるサイトを探したが、結局見つけることはできなかった。

そして、この日本語訳の発売から75年を経てついに2022年11月18日にアマゾンの電子書籍版で発売されることが決まった。

楽園のこちら側 1957年 高村勝治訳

実は日本語訳は、2016年にも朝比奈武訳、花泉社にて出版されている。

楽園のこちら側 2016年 朝比奈武訳

こちらは、紙の本については既に在庫切れ、アマゾンの中古で8000円程で出品されており、電子書籍版が併せて販売されていた。

私としては、この度発売される1957年出版の日本語訳を読んでみたいと思う。

時代背景がオリジナル版の1920年に近いからである。

以前、1957年の野崎孝訳、グレートギャツビーを読み、作品の夢の世界、空虚感を味わったのちに2006年の村上春樹訳の同作品を読んで明らかな違いを感じたからである。

日本語の表現の違いもあるが、時代の空気感、詩的な表現も消えていった夢の世界を幻想のものとして表現していた。

ここに、グレートギャツビーの序文を紹介する。

Then wear the gold hat, if that will move her;
If you can bounce high, bounce for her too,
Till she cry “Lover, gold-hatted, high-bouncing lover,
I must have you!”
- Thomas Parke D'Invilliers
The Great Gatsby is a 1925 novel by  
American writer F. Scott Fitzgerald
~さあ、金色帽子を被るんだ それであの娘がなびくなら
あの娘のために跳んでみろ みごとに高く跳べるなら
きっとあの娘は叫ぶだろ「金の帽子すてき 高跳びもいかすわ
恋人よ あんたはあたしのもの!」~
ートマス・パーク・ダンヴィリエ
『グレート・ギャツビー』 野崎孝訳、
新潮文庫
〜もしそれが彼女を喜ばせるのであれば、黄金の帽子を被るがいい。
もし高く跳べるのであれば、彼女のために跳べばいい
”愛しい人、黄金の帽子をかぶった、高く跳ぶ人、
あなたを私のものにしなくては!”
と彼女が叫んでくれるまで。〜
『グレート・ギャツビー』 村上春樹訳、
中央公論新社


もう二度と訪れることの無い煌びやかな夢と空虚の世界。

アメリカンドリームを詠んでみたいと思う。


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