その17 『集団下校』必要ですか?(1620文字)
1 はじめに
約40年程前には、既に小学校では集団下校という取り組みが行われてきたように思います。
2 集団下校の種類
(1)四月、新一年生に対して
新年度、入学して間もない新一年生を対象に、住んでいる地域を一つの集団として、担当の先生の引率の元、児童の自宅近くまで引率するものです。
定められた一定期間に、定められた出発時間、到着予定時刻の元、保護者がそれを承知しているという特徴があります。
(2)各種災害等有事対応として
地震や津波、大規模な火事等各種災害をはじめ、校区内近辺での拳銃・刃物使用による各種事件発生等の際に、住んでいる地域を一つのまとまりとして、担当先生の引率のもと、児童の自宅近くまで引率するものです。
いつ次の事件が起こるかわからない、何時に学校を出て、何時に帰宅するのかが直前若しくは家に到着しないことにはわからない、という特徴があります。
(3)同じ方面に住む友達との関係づくりとして
学校によって「地区別児童会」や「地域別ども会」等と言う名称で、同じ地域に住む子ども達で活動します。
全学年での異学年交流になることから、学級の枠ではなく、同じ地域に住んでいると言う枠組みで、良好な関係構築を築くことを目的としています。
その一つの手段として、集団下校があるという位置付けです。
3 集団下校の問題点
上記2の「集団下校の種類」のなかで、もっともメジャーなのは、何と言っても各種災害等有事対策だとお考えの方が多いのではないでしょうか。
というより「それ以外にあったの?」とさえ思われるかもしれません。
集団下校の一丁目一番地とも言える有事対策にも、実は大きな問題点がいくつかあるのです。
以下に少し紹介させていただきます。
⚪︎ 家に誰もいない
学校の判断や『有事』という『事情』により、突然集団下校となります。
本来の下校時刻とは異なる時刻に、お家に保護者が居ないなんてことが、今の時代では往々にして起こります。
となると、家の鍵が開いていなかったり、児童が家の鍵を持っていたとしても、看護する保護者が、家の中に誰もいなかったりということが起こります。
⚪︎ 被害に遭う可能性がある
校区内近辺で、拳銃・刃物使用事案が発生したことで、子どもの安全を確保する名目で集団下校することになったとします。
しかし、もしかすると校区内に犯人が潜んでいるとしたならば、集団で下校していること自体が、ターゲットになりやすいということが大問題として起こります。
また、引率責任者である教員が、犯人に遭遇した際、確実に児童の安全を確保できるのかという問題も起こります。
地震も同様です。
⚪︎ 児童全員で集団下校することがあり得ない
今の時代になって『引き取り』と言う概念が出てきました。
『引き取り』というのは、有事が起こった際に、学校から保護者宛の一斉メールや電話連絡により、学校へのお迎えを要請して、保護者による児童の引き取りを依頼するものです。
学校にいる我が子を、学校まで保護者に迎えに来てもらう仕組みです。
この仕組みを遂行することで、少なく見積もっても過半数以上の保護者が学校にお迎えに来てくださいます。
基本的に保護者のお迎えが来るまで、児童は学校で待機することになります。
どうしてもお迎えが難しいご家庭の児童については、お家に看護する保護者がいることを前提に、集団下校することになります。
となると、集団下校により自宅に送り届ける児童の数は、全児童の10%程に過ぎないということが事実として起こります。
4 おわりに
以上から、安易に、昔の風習や前例踏襲的に『集団下校』を行っているのであれば、即座に中止すべきだと思います。
みなさんはどう思われますか?
真に子どもの安全を考え、教師・教育者として仕事に向き合うことで、安全で安心な学校、保護者の信頼を得る公立学校というものを築くことができると感じる今日この頃です。
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