その42 これが教頭先生の仕事?からの 少しだけ組織論(3151文字)
1 はじめに
学校組織を眺めていると、どうも「組織」に見えないことが多々あります。
「組織」になり得ない「集団」と表現できます。
この両者の違いは、目的意識の有無だと仮定しています。
では、目的とは何でしょうか。
子どもを育む、教員も育む、子どもの幸せの為、自己実現の為等この他にも様々あると思います。
組織として仕事をすることに乏しいのが、学校現場だと感じています。
組織論については、また改めて書かせていただくこととして、些細なことから、少しだけ学校組織について考えてみました。
2 ある日の休み時間
職員室で、学級担任が、事務職員を探していました。
手には、何やら封筒を持っています。
学級の児童から預かった徴収金のようです。
どこにも事務職員が見当たりません。
学級担任は、一目散に、せっせと仕事をしている教頭先生の元へ行きました。
そして、一言「事務さん、どこに行きましたか?お金渡したいんですけど。」
これに対して、教頭先生は「事務さんは業者さんの対応中です。それなら、金庫に入れて、事務さんの机にメモを置いておいたら、どうですか。」と答えました。
…この後、急に、学級担任が、不満を露わにします。
「私忙しいんです!教頭先生、これぐらい預かってくださいよ!!」
…驚く、教頭先生…返した言葉が…
「申し訳ないですが、本当に私が、預かったほうがいいですか?私が預かって、私が金庫に入れて、私が事務さんにメモ書いて、事務さん戻ってきたら、⚪︎⚪︎先生から徴収金預かって金庫に入れといたよ、て話したらいいですか?」
と話しました。
教頭先生の人柄的に、預かって金庫に入れておくことくらいの考えを持ち合わせていることは、この学校で勤務する人なら誰もが知っているところです。
学級担任は、はっとした様子で「教頭先生、すみませんでした、仰る意味がわかりました。すみませんでした」と、自分で金庫に入れて、教室へ戻っていきました。
何が問題だったのでしょうか。
3 考えられる問題の所在
・ この学校の教職員の考え方
何か「困ったこと」があれば、教頭先生にお願いするのが、先生の仕事の主流だと思っているようです。
何を持って、どこからが「困ったこと」なのか考える必要がありそうです。
しかし、教頭は、便利屋なのです。
決して、一般社会でいう上司では、ないのです。
こんなこともあります。
ある先生が、自転車に乗ろうとしたところ、空気が抜けていました。
長い間乗っていなかったので空気が抜けてしまったのか、パンクしているのか、定かではありません。
このような状態で、この先生は、教頭先生に鍵を差し出して「パンクだと思うので、修理しといてください。」とのこと…。
また、ある先生が、事務室宛の書類を児童から預かりました。
保護者が、子どもに預けられる類いのものです。
例の如く事務職員は、電話にて別件応対中のようです。
すかさず、ある先生は「こんな大事な書類持っとけません。教頭先生に預かってもらわな困ります。」と、有無を言わさず、教頭先生に差し出すのです…。
・ 学校組織における、管理職に対する考え方
ほぼ誰もが、管理職の正しい立場・役割、立ち位置を知らない前提であることが問題です。
教職員が、自分自身の正しい職務内容、立場・役割、立ち位置を知らないことが問題です。
管理職自身も、管理職としての、正しい職務内容、立場・役割、立ち位置を知らないことが問題です。
「はじめに」にも書きましたが「組織」になり得ないところが、学校現場の『ツボ』です。
ほぼ全ての教職員と言うと、言い過ぎかもしれませんが、ほぼほぼ管理職を目指す人がいません。
管理職とは、無縁なまま、教員生活40年を終える人が主流です。
「管理職」という役職が、どこまで行っても他人事なのです。
教諭の延長線上に管理職の役職があるはずなのに。
管理職自身が、管理職の仕事に対して、教諭の仕事と比べた際に「橋を渡って、向こう岸に行ったような仕事」と表現することもあるようです。
また、管理職自身も、教諭に頼られること全てに向き合うのが、管理職の仕事だと思っている人も多いようです。
管理職だけが、膨大な残業時間を請け負うのも必要だと思っている人が一定数いるようです。
教諭にとっても、自分自身が仕事をしやすいようにしてくれる管理職が「ベストな管理職像」になります。
先生一人一人感じ方が、異なると思いませんか?
耳が痛くても正しいことを言ってくれたり、自分と違う価値観に気づかせてくれたりする管理職よりも、自分自身の考えの範疇を理解してくれる管理職が、より良い管理職像となるようです。
また、先生方は、教諭としての40年間、自分に与えられた仕事は、大きく変わらないと認識している人が多いようです。
というと「いやいや、学年主任も校務分掌の長も教務主任もやってますよ。」という声が聞こえてきそうです。
このような立場を与えられ、主任や長として、真に役割を全うしている人が、どれだけいるのでしょうか。
他職を経験した人なら、現状に違和感を感じて、次のように考えることがあるようです。
まず、学年主任についてです。
学年主任を任せられる人の多くは、経験年数からして、若手育成が職務内容に入っていることが主流です。
相方の若手の先生が出勤する時の服装や相方の先生の電話での言葉遣いに対する指導にはじまり、若手先生が担当する校務分掌での役割に対する指導、若手先生の一日の授業予定、内容に対する指導・アドバイス。若手先生の保護者対応に一緒になって向き合うことも、当然、経験ある学年主任の職務だと認識しているでしょうか。
次に、生活指導部長についてです。
校内で起こった生活指導事案について、大小、軽重に関わらず、タイムリーに部長の耳に入るような仕組みづくりを行なったうえで、適切にアドバイスをしたり、共に解決に取り組んだり、必要により管理職に報告したりしているでしょうか。
職員会議に先立ち、生活指導部にかかる案件について部内で共有して、方向性を確かめ、必要により、若手を育成し、また、事前に管理職に折衝する等のことをしているでしょうか。
最後に、教務主任についてです。
職員室の最後の砦として、学級担任に欠員が出ようものなら、短期・長期問わず、教頭先生よりも率先して引き受けているでしょうか。
地域や保護者との接着剤役に、教頭先生よりも率先して取り組んでいるでしょうか。
若い先生の困りごとには、教頭先生より率先して、学年主任と協働して、学校の仕組みづくりにまで言及して取り組んでいるでしょうか。
また、特に、教頭先生でなくてもできる「教頭先生の仕事」のサポートに率先して取り組んでいるでしょうか。
校内巡視の肝は、教頭が握るべきです。
なぜなら、子どもや教職員の安全に関わるからです。
しかし、放課後における、窓の鍵閉めや汚れたトイレの清掃、廊下に落ちたゴミの片付け、特別教室の忘れ物、施錠忘れ等は、教諭である教務主任が捌いても、バチは当たらないと思います。
4 おわりに
以上のように、今回、現場のハテナから、問題提起をしたような形になりました。
批判的なnoteとなり申し訳ありません。
教員の世界どっぷりの方には、問題提起どころか、「何をおかしなことを言ってるんだ!」と感じられたことだろうと思います。
しかし、世間では、ティール組織なるものが何年も前から存在している状況です。
教員の世界は「なべぶた型」なんて言われますが、決して唯一解と捉えることは良くないように感じます。
みなさま、いかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。