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「原作者すら間違える国語の問題」問題。国語は「筆者の気持ち」なんか分からなくていい。
今回は、国語の回答技術を一部紹介してみようと思います。小学生~公立高校入試レベルなら十分対応出来る内容です。
ちょっと長いですが、一つでも二つでも実践してみてください。
・そもそも国語は何を問われているのか
勘違いされがちなのが「主人公の気持ちになって読む」みたいなやつです。「私だったらどう思うか」みたいな勉強は、想像力や感受性を育む目的としては悪くないのです。しかし、それは道徳であって国語ではありません。
国語という試験科目は、問題の本文(以下本文とします)の筆者との対話ではありません。はっきり言えば「問題作成者との対話」なのです。
・問題作成者は何を考えているのか
問題作成者は、本文を証拠として確実にこれだ、と導かれる解答を用意しています。問題を作る際には、「ここにこう書いてあるからこれしか正解にならない」と、何重にも網を張っています。
なぜなら、あとから「どこにそれが書いてあるのですか?」「ここが答えとは限らないんじゃないですか?」と言われると困るからです。
「ここにこう書いてあるから、こう読み取れるのです」という筋道だった根拠が必ずあるのが国語の問題です。(逆に言えば、そういった解説がない問題集は良くない問題集です)
国語はあくまで「本文から証拠を見つけ出して答える」科目なのです。
・まずは証拠の抜き出しが大切
初期段階、特に小学生で練習して欲しいのは、「徹底して本文の中から証拠を探すこと」です。本文中の根拠の場所が合っていればまず9割マル※と考えて良いと思います。
※国語を自分で勉強するとき、採点が難しいとよく言われます。実際には多少の表記のゆれは問題ではなく、本文から抜いてくる場所が合っていればまずほぼマルで良いと思います。
先に述べたとおり、問題作成者は本文中の記述を根拠として問題と解答を作成しています。
例)
本文)進路指導室でこっぴどく叱られた。外に出ると、あれほど降っていた雨もすっかり上がってあざやかな夕焼けが一面に広がっていた。
問題)このときの主人公の気持ちを20字以内で答えよ。
という問題があったとしましょう。まずは↓太線を抜き出せればOKです。
進路指導室でこっぴどく叱られた。外に出ると、あれほど降っていた雨もすっかり上がってあざやかな夕焼けが一面に広がっていた。
そして、意外に重要なのが表現技法をきちんと知っているかです。
当然ここでは比喩が使われています。つまり、天気が主人公の気持ちを表しているのです。
よって、まず第一段階目の答えは「沈んでいた気持ちが、怒られたあとにはすっきりして晴れやかな気持ち。」(34字)みたいな感じになります。
おっと、20字以内に収まりませんね。
問題作成者は、このような「解答の原案」を元に、そのまま書いて欲しければ「35字以内」とか「40字以内」とか「すっきりを用いて」みたいな指定をして、絞り込みが出来るようにしてくれています。
沈んでいた気持ちが、怒られたあとにはすっきりして晴れやかな気持ち。
ここを削れば23字。
さらに怒られたあとにはすっきりして晴れやかな気持ち。
を削り(削っても文意が変わらない)、
最終的に「怒られたことで晴れやかな気持ち。」18字
くらいの感じで解答終了、となります。
・レベルが上がると「それ」が何を指すかも考えて答える。
少しレベルが上がると、傍線の文章や抜き出してきた第一段階の解答の中に「あれ」「それ」「これ」などが入ってきます。
ここは埋めておきましょう。
例)
本文)幸子は、小さな赤いリボンのついた通学帽を拾った。見覚えがある。いつも通学班が同じ2年生の亜子ちゃんのだ。そういえばさっきすれ違ったとき、帽子はかぶっていなかったことを思い出した。まだすれ違ってそう時間は経っていない。幸子はすぐさまそれを手に取りいつもとは違う道を走り出した。
問題)太字部「いつもとは違う道を走り出した。」とあるが、幸子はなぜ走り出したのか。30字以内で答えよ。
第一段階の抜き出しは↓の太字あたりでしょうか。
幸子は、小さな赤いリボンのついた通学帽を拾った。見覚えがある。いつも通学班が同じ2年生の亜子ちゃんのだ。そういえばさっきすれ違ったとき、帽子はかぶっていなかったことを思い出した。まだすれ違ってそう時間は経っていない。幸子はすぐさまそれを手に取りいつもとは違う道を走り出した。
「それを手に取り」の「それ」は亜子ちゃんの帽子を指します。これを補って答えを作ってみましょう。
通学班が同じ亜子ちゃんの帽子を拾い、今ならまだ時間は経っていないから追いついて渡せると思ったから。(51字)
くらいでしょうか。
ここからいらない所を削り、文を繋いでいきましょう。30字以内ですから、21字削ります。
通学班が同じ亜子ちゃんの帽子を拾い、今ならまだ時間は経っていないから追いついて渡せると思ったから。(29字)
「今なら」と「まだ」はどちらか残せばいいですよね。こういったテクニックは練習で身につけていくところです。でも少々減点があるかどうかレベルなので、おおまかにはどちらでも正解でしょう。
・抜き出し問題の字数制限は、解答が複数箇所にある
抜き出し問題は子どもからすれば比較的解きやすい問題です。「6字で抜き出しなさい」だと、全力で6文字のワードを探せばいいです。
この手の問題は正解率も高いのでスルーされがちですが、実は作問する上で「答えを絞らせる」目的で字数を決めています。
たとえば以下の問題から「幸子が拾った物は?」をかんがえてみましょう。
本文)幸子は、小さな赤いリボンのついた通学帽を拾った。見覚えがある。いつも通学班が同じ2年生の亜子ちゃんのだ。そういえばさっきすれ違ったとき、帽子はかぶっていなかったことを思い出した。まだすれ違ってそう時間は経っていない。幸子はすぐさまそれを手に取りいつもとは違う道を走り出した。
文中に2カ所答えがあります。出題者は、ここで字数制限をすることで解答を一つに確定させていくわけです。「2文字」なら「帽子」でしょうし、「3文字」なら「通学帽」といった具合です。
これを知っておくと、さらに次の問題へと発展していけます。
本文)
その時、陽太の感情はついに爆発した。
そもそも、母は自分の事をきちんとみてくれていないのだ。
自分ではそれなりにやってきたつもりだ。いい点を取って母を喜ばせたい気持ちもある。以前より勉強時間も多くしている。今日だってもう3時間勉強して、少し休憩しようとたまたまテレビを見ていただけなのに。ちょうどその時に母が帰ってきて、あの一言だ。つい大声を張り上げてしまった。
「ちゃんとやってるよ!!」
問題)
太文字部「ちゃんとやってるよ!!」といったときの陽太の気持ちを45字以内で説明せよ。
この文章では、冒頭の1行と、最後の1行は同じことを言っています。言い換えですね。
解答例)
自分なりに頑張っている陽太が休憩しているところを母親にとがめられ、怒りの感情が爆発した。(44字)
もちろん学年が上がっていくと、回答の内容をブラッシュアップするのですが、まずこれくらい出来るということを練習するだけでも国語の得点力は上がります。
・答えの終わり方
「30字以内で答えよ」的な問題は、冒頭でも述べたとおり本文から抜いてくる場所が合っていれば9割方マルです。
残りの1割は、終わり方です。
国語はあくまで「出題者との対話」です。「なぜですか」と聞かれたら「○○だから。」と答える。それは対話だから当然なのです。
・語彙力をつけるために
英語と同じで国語も単語力、語彙力は必要です。とは言っても、そもそもこのポイントで悩んでいる子は本を読まない子がほとんどです。
本を読むのはマンガでも何でも読まないよりはマシですが、マシなだけで受験に対応する国語力となるとそれでは物足りません。
小学生や中学生は、漢検と1日1題の文章題をおすすめします。
漢検は単なる漢字検定ではなく、その漢字がどんな文章で使われるか(たとえそれが短文であっても)を重視しています。ひたすら漢字ドリルをやるよりは、より国語力がつきやすいです。入試で漢字の配点が10点~20点あるので、その点でも役に立つのは言うまでもありません。
1日1題の文章題は、日々の習慣としてやってほしいことです。
回答ももちろんするんですが、そんなに細かくこだわる必要はありません。毎日文章を読むことが読書の代わりになります。
やるタイミングは1日の勉強の最初に20分程度がよいでしょう。「やる事やって時間があったら」みたいに後回しにすると絶対やりません。
ちなみに僕は子どの頃毎日国語と算数は必ずやる、みたいな家庭でしたが、幸いにして国語で困ったことはありません。問題をやっていて続きが気になる本を買ってもらったり、そんな生活をしていました。その点からしても、出来れば最近の作家を多く採用している問題集が良いと思います。