志望大学は親が決めていい
保護者の方と面談で
「お父さんお母さん的には、将来どちらの方に進んで欲しいとかありますか?」
とうかがうと、結構な確率で
「いや、そういうのは子どもの意志を尊重して口出ししないようにしています」
という方に出会います。
これ、すごくかっこよく見えるんですが大学進学の上ではかなりの悪手なんです。
(一応、子どもの意志を無視して医学部以外認めない!みたいなおうちの方はちょっと世界線が違いますので今回は置いておきまして。)
例えば一般的に公立中から公立高校、将来は大学を受けるということを考えたときに、小学校高学年くらいから具体的な高校名や大学名を親が出した方が伸びます。
たまにいる「うちの子、勉強しろって言わないでも勝手にやってるみたいで。おほほほ」みたいなママの話、あれ半分ホントで半分嘘です。たいてい「すでに刷り込みが完了している」状態です。
小さいうちから学問的ななにかとか職業の話をしていて、「そう、将来人の役に立ちたいんだ。偉いね。だったらお医者さんとかかな~」みたいな話を上手にしてあるわけです。
こう言うと「親が子どものレールを引いてしまうのは・・・」というかたがいらっしゃるのですが、それとは違います。あくまでも可能性や方向性として、「こっちへ行ってくれたらうれしいな」という話をしているだけです。
良くないのは、それとは違うことを子どもが言った時に頭ごなしに否定すること。いざ「こうしたい」という話が出てきたら一緒に考えればいいし、そもそも「こうして欲しいな」という話があった方が子どもも考えやすいんです。
子どもは基本的に、親が喜ぶことをしたい生き物です。一方で、あなたが育てた子どもだから、あなたに近い価値観を持った生き物でもあります。
そんな親の希望する方向だったら、まず子どもにとって大きなハズレはないですよね。双方win-winなわけです。
親は親として、責任を持って希望をいう。大切な事です。
親がある一定の方向性を言うことで初めて、「そうか、確かにそれは良さそうだな」とか、「いや、親はこう言うけど俺はこっち進みたいんだよな」みたいな進路選択の足がかりができるんです。
そこから考え、最終的には子どもが選ぶ道を応援してあげればいい。その覚悟を親が持つということです。
塾関係者のみなさんならおわかりかと思いますが、今の高校生って志望がはっきりしている子と全く決まらない子、両極端ですよね。高3になってもどの学部を受けるかすら決まらない子って結構いて、ほとんどが「親は口を出さないで子どものやりたいようにさせてきました」パターンです。
これって一見見栄えがいいので騙されるんですが、要するに親が子どもの将来に責任を持たない一種の放棄だと思っています。
この手の話は、実は点数にも大きく影響します。
中2病になって勉強をしなくなった子。成績が下がりますよね。
でも、あるとき気付く子もいます。「あ、やべぇ、さすがにこの点数はマズい」って。「ここを下回ったらやべぇ」ってラインは、親がちゃんと示しておく必要があります。
何でもかんでも自由にさせすぎると、このライン自体がなく、落ちる子は際限なく落ちて行きます。
ただし、一つだけ注意点。
小学校高学年くらいからこういう話はしていいのですが、まだどれくらいのレベルなのか、実際問題よく分からないことが多い年齢でもあります。可能性が大きいとも言えますが。
ですから、あまりに極端な絞り込みをするのではなく、例えば「上位3校くらいには言ってほしいかな」とか、ちょっと幅を持たせておいてください。
実際に点数を出す年齢になってきたら点数を見ながらもっと上位を目標にするか、少し下げていくのか考えましょう。まずは余裕を持って方向性を示して上げ、学年が上がるごとに現実的な話をしていくのが良いと思います。
ちなみ学校の進路系講話とか、最近ではAI診断まで学校でやってたりしますが、なんの訳にも立ちません。ちょっとあれ、何のためにやってんのかよくわからないです。みなさんも何を言ってるか分からないでしょう?
公立高校での話です。なんか、「学校で『あなたに合った職業診断』みたいなのやらされて~教師って書いてあるけど絶対やりたくない」とか、そんなのを持ってこられることがあります。それくらいならいいんですが、保護者さんが診断結果を持ってきて「こう書いてありますがうちの子はやはり法学部に行った方がいいでしょうか?」みたいな相談があるんですよ。
あれさっさとやめた方がいいと思います。ある意味「これだけは絶対やらねーわ」って一つの土台が出来る効果もあるからいいんですが。