【偏差値】2024入試での学校偏差値の変化 〜日能研R4・女子〜
2024年入試の日能研R4偏差値(80%判定偏差値)について、2023年入試からの変化を見ていきます。今回は女子編です。(男子編はこちら)
ここでは、2024年度と2023年度のR4偏差値表を並べて、それぞれ前年からの上昇・下降を色分けすることで、直近年度の変化を一覧で見ています。偏差値表はその数字だけでなく、見たときの印象も大事だと考えているので(偏差値表を見る人が抱くイメージになる)、偏差値表のイメージのままで見ていきます。
2月1日午前入試
まずは2月1日午前・女子の偏差値表です。
全体の印象
2024年を見ると、偏差値上位校は小動きで、50付近で大きく上昇した入試が多い印象があります。そして、偏差値50台の学校が全体的に上方向に動いているようにも見えます。
ざっくり集団に分けると、偏差値60、54、47あたりでラインが引かれ、大きく4集団にわけることができそうです。
最上位は、2023年は桜蔭・渋渋が抜けていて残りがひとかたまりに見えましたが、2024年はややバラけた感じがあります。桜蔭・渋渋がトップで並び、そのあと1ポイントずつ空白を開けながら各校がプロットされている感じで、少し序列が見えます。
次がやや差を開けて、偏差値55〜59で一団ができています。この中は小動きな感じですが、芝浦工大附①と明大八王子A1がひとつ下の集団から上がってきました。明大八王子は大学の人気や他の明大系との比較からも、この辺りで定着するのかなという感じがします。
3番手集団は偏差値48〜54くらいにかけ、非常に多くの学校がひしめいています。ここは上下動も激しく、生き残りをかけた学校改革も盛んなエリアの感じがします。
2年前からの変動が大きい入試
2022年から2024年の間に4ポイント以上の上下動があった入試をピックアップしてみます。(男子は3ポイントで集計しましたが、女子は数が多すぎるので4ポイントにしました)
開智日本橋① :53→57→57
青山横浜英和A :53→56→57
等々力①特選 :51→56→54
田園調布① :49→53→52
カリタス① :45→46→49
三輪田①前 :43→45→49
目黒日大① :40→42→45
公文国際A :53→49→53
横浜雙葉① :51→46→52
桐蔭①前 :49→47→50
帝京大① :55→52→51
日本女子① :50→49→46
開智日本橋①と青山横浜英和Aはひとつ上の集団で定着した感があります。等々力①はこのあとどちらへ行くかですかね。
あとは偏差値40台からの上昇ですが、その中でも三輪田①の上昇幅が大きいです。すぐ隣の法政大学との提携があって人気化したと思いますが、それにしてもこの短期間での上がり方はすごいですね。
あとは横浜雙葉が大幅下落からのV字回復を果たしています。第2回入試の導入が成功と言っていいんじゃないでしょうか。
下の5校は軒並み神奈川方面の学校(帝京大は東京都ですが神奈川に近い)ということで、これは神奈川県の受験者数が減少し始めていることの影響じゃないかと思っています。全体が増えなくなってくると、その中での生き残り競争が激しくなってくるのかなと思います。
2025年に向けて
女子の事情はあまり詳しくないですが、せっかくなので私見を述べてみます。まあ適当に聞き流していただければと思います。
女子の上位校は偏差値60のところに大きな空白があるので、ここで明確に受験者層は切り分けられるでしょう。
60より上の最上位帯は概ね固定化しているので、ここは多少の上下はありながらこのまま続くんでしょう。
その次は、偏差値48〜59までに35校もある激戦区なので、どこがどうというのはまあわからないです。大学との提携がひとつの流行のようなものになってきているので、それ次第で大きく動く学校もあると思います。あとは先ほど挙げた通り、神奈川方面の学校は上下に動きやすくなりそうなので要注意というところですかね。
ちなみに、1回の定員の少ない学校(国際系と言われるところに多い)については偏差値がアテにならないと思った方がいいでしょう。偏差値が出たり出なかったりを繰り返しているところは、受験者も合格者も少ないので統計数字が少なく、仮に出ていたとしてもエイヤで出していると思われます。
2月1日午後入試
続いて2月1日午後入試です。
全体の印象
ざっと俯瞰した印象は、2023年と逆の色が付いているように見えます。2023年は偏差値50台後半で赤(上昇)が多かったのが、2024は水色(下落)が多くなり、50台前半は逆の動きになっているようです。要するに前年度の反動や隔年現象といった見方でいいんじゃないかと思います。
それにしても偏差値50台が大混戦という感じで、受験する側としては選択肢が多くていいですが、うっかりすると抑えでは効かないほど難化する可能性も秘めているので、慎重に見ていく必要がありそうです。
2年前からの変動が大きい入試
ここでも同じく2022年から2024年の間に4ポイント以上の上下動があった入試をピックアップします。
湘南白百合(1科) :54 → 60 → 58
桐蔭①後 :50 → 47 → 55
ドルトン①後 :48 → 49 → 53
三輪田①後 :48 → 49 → 54
東京電機② :48 → 49 → 52
淑徳巣鴨スカラ①:44 → 46 → 52
駒込② :42 → 47 → 49
昭和女子AP :56 → 50 → 55
実践女子② :49 → 53 → 51
こう見ると、大きく下げたように見えたところも実は前年の増加の反動というだけで、基本的には上昇傾向だというのがわかります。要は、午後入試の受験者が増えているという話だと思います。
ここに挙がっているところは2年前から+4〜+8までとなり、2年前とはだいぶ違うイメージの偏差値が付いていることになります。午前とも全然イメージが変わるところも多いので注意が必要でしょう。
また表で見てわかる通り、1年ごとの上下はかなり激しい感じなので、そういう動きに巻き込まれないようにもしたい感じです。
2月2日入試
2月2日(午前・午後)入試は次の通りです。
全体の印象
午前入試を眺めると、偏差値60にいた昭和秀英②が2月3日に移ったことで、偏差値58〜61に分厚い壁というか空白地帯ができているのが特徴的です。この辺りが適正偏差値となる受験生は、他の日程を含めて戦略的に受験する必要がありそうです。
上位校はほとんど動きがなく、動きが大きいのは偏差値50前後のあたりですね。2024年については大きく減少した学校はほとんどなく、まあ小動きかなという印象です。
午後入試は全体的に赤が多く、ここも2月1日と同様に午後受験が増えているという印象を受けます。偏差値帯も上から下まで赤が散らばっていて、全体的に上昇が多い印象を受けます。最上位を除けば入試校数も午前と同じくらいあるので、普通に受験日程の一つとして選択していく流れになっているように見えます。
2年前からの変動が大きい入試
2022年から2024年の3年間で4ポイント以上の上下動があった入試をピックアップします。
品川女子② :49 → 52 → 53
ドルトン② :47 → 50 → 51
三輪田② :41 → 46 → 49
横浜創英③ : 44 → 48
目黒日大③ :41 → 47 → 47
昭和女子大B :52 → 47 → 49
鎌倉女学院①:51 → 47 → 45
ドルトン・三輪田・目黒日大は他の日程でも大きく上昇しているので、学校が注目されているということでしょう。下落している2校では、鎌倉女学院は続落していてここまでくると1ランク下に見えるのが気になりますね。
香蘭② :60 → 62 → 65
山脇B :52 → 57 → 59
順天②B :46 → 46 → 50
淑徳巣鴨スカラ②: 46 → 50
日本大学B :54 → 49 → 54
かえつ②特 :49 → 54 → 51
桐蔭② :48 → 45 → 50
穎明館③ :52 → 45 → 47
午後は香蘭②の大幅上昇が目立ちます。この偏差値帯でここまで上げるというのはなかなか見ないので、立教大への推薦枠拡大が大きく寄与しているのは間違いないでしょう。山脇Bも完全に1ランク上という感じに見られると思います。
残りは連続ではなく単年度での上昇・下落なので、反動によるものなのか持続するかの見極めが必要だと思います。
2月3日入試
続いて2月3日(午前・午後)入試です。
全体の印象
2月3日は国立・公立の入試日程なので学校数が多くなります。全体的には小動きな印象ですが、偏差値40台の下落がちょっと目立ちますかね。
男子のところで考察したのと同様、午後入試が浸透したことで、2日までの4回の入試機会の間に合格を確保しておく動きが増えたというのが最近の流れのようです。そのため3日以降の入試の位置付けが、抑え校ではなくチャレンジしていく試験に変わりつつあり、それが偏差値にも反映されているのかなという気がします。
2年前からの変動が大きい入試
他の日程と同じく、直近3年間で4ポイント以上の上下動がある入試です。
明大八王子A② :53 → 55 → 58
安田 先進⑤ :50 → 54 → 54
三輪田③ :44 → 48 → 49
都立桜修館 :61 → 65 → 63
都立武蔵 :65 → 61 → 62
都立富士 :54 → 50 → 52
東京女学館④ :49 → 46 → 50
都立白鷗 :58 → 58 → 54
山手学院B :54 → 52 → 49
市立川崎 :50 → 53 → 48
日本女子大② :51 → 50 → 46
横浜国大横浜 :50 → 48 → 45
他の日程と共通しますが、ここでも明大八王子と三輪田の上昇が目立ちます。
そして都立白鷗を除き、下落は全て神奈川県の学校です。受験生が都内に向かうという動きもあるでしょうが、神奈川県の受験者減の影響が大きい気がします。(もしかして東京都の高校無償化の影響もある?都内在住が必要なのでさすがにそこまで急激に動かないとは思いますが、、、)
あと、公立中高一貫校がいくつか挙がっていますが、これは上下のトレンドというよりは年度のブレだけかなと思います。そもそも合格者が少ないのと、日能研の模試で公立適性検査の判定ができるのかも疑問なので、あまりアテにはできないでしょう。
2月4日・5日以降
最後は2月4日と5日以降の入試日程をまとめて見ます。
全体の印象
他の日程に比べるとだいぶ閑散としています。学校側の視点では、これまでの手続き状況を見ながらの人数合わせ的な意味合いが強い入試になるので、正直、偏差値は大まかな目安にしかならないと思います。ということでコメントすることもあまりありません。
2年前からの変動が大きい入試
上で述べた通りあまり偏差値の上下を気にしても仕方ない気がしますが、一応機械的に同じ条件で出しておきます。
山脇C :51 → 55 → 57
品川女子③ :49 → 51 → 54
淑徳巣鴨③ :41 → 42 → 47
普連土③ :52 → 49 → 54
日大藤沢③ :45 → 49 → 48
成蹊② :58 → 54 → 54
鎌倉女学院②:51 → 47 → 44
ドルトン③ :46 → 50 → 49
桐蔭③ :48 → 47 → 52
基本的には他でも見た学校名が多いですが、やはり鎌倉女学院の大きな下落は気になりますね。2022年では同偏差値だった山脇Cと鎌倉女学院②が、2年後に13ポイント差にもなるというのは衝撃的です。鎌倉女学院は東京外国語大学との高大連携が発表されていたので、その辺りが呼び水になるか注目だと思います。
総括
以上、女子の日能研R4偏差値を前年との比較で見てきました。
全体を通して感じるのは、午後入試の完全な定着ですね。午前校が本命、そして午後に抑えを入れるという考え方自体がすでに古い感じで、1日午前・午後、2日午前・午後と、普通に4回入試の機会があると捉えて受験日程を考えていくのがスタンダードになりつつある気がします。この中で本命や抑えを考えながらどこかで合格を取った上で、3日以降はチャレンジ受験していくというのが今の流れなのかなと、偏差値の動きを見ながら感じました。
受験戦略を考える際の参考にしていただければと思います。
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