【進学校の横比較】女子Y65編(明の星・鷗友・お茶女・吉祥女子・頌栄・白百合・洗足・フェリス・雙葉+学附・広尾)
同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画、今回は女子の二番手、四谷大塚偏差値で60台にひしめく女子編です。
浦和明の星女子・鷗友学園女子・お茶の水女子大学附属(お茶女大)・吉祥女子・頌栄女子学院・白百合学園・洗足学園・フェリス女学院・雙葉の女子9校と、東京学芸大学附属(学附)・広尾学園の共学2校を対象にしています。
数が多いですが、国公立大の合格実績で見ると頌栄女子までで明確な区切りができるそうなのでここまでとしました。また東京学芸大学には3つの附属中学(世田谷・竹早・小金井)と1つの附属高校があるので、入試情報は3中学、大学合格実績は附属高校のデータを使用します。
大学合格実績や教育内容などを深掘りし、グラフ化するなどして横比較していきます。複数の学校を横に並べて比較することで、それぞれの特徴に気付けたり、入試動向を探る材料になればと思っています。
1. 偏差値推移の比較
まずは偏差値の推移です。
ここではサピックス80%偏差値と四谷大塚50偏差値を見ます。年度ごとだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してそれをグラフ化しています。
偏差値表の有効性を見るために集計した塾別合格実績は次の通りです。
白百合と広尾が飛び抜けてサピックスが多いですが、それ以外は3塾が同程度の実績を出していそうなので、基本的にどこの偏差値表を見ても大丈夫そうです。他のシリーズと合わせ、ここではサピックスと四谷大塚の偏差値表を見ていきます。(なお早稲アカ分は四谷大塚+他塾に重複して含まれると見ているのでここでは無視します。考え方はこちらの記事にて。)
今回は線が多すぎて見づらいので、2月1日入試と2日以降とに分けて出します。(浦和明の星①は2月1日に含む)
2月1日入試
広尾学園だけ突然変異みたいになってるので、そこだけ別で見た方がいいかもしれませんね。
そのほかで言うと、吉祥女子と鷗友学園の上昇と、洗足学園が上昇しフェリスと入れ替わったというのが大きな動きですかね。
2月2日以降入試
この中で下降傾向にあるのがお茶女大・学大世田谷・学大竹早・学大小金井ということで、全て国立附属校です。
あとは、広尾学園は相変わらずバグった動きですが、そのほかも緩やかに上昇傾向のところが多いように見えますね。
2. 大学合格実績の比較
続いて多くの人が関心あるであろう、大学合格実績の比較です。
国公立大学実績(2022〜2024年)
ここでは現役+浪人を含む全合格者と、現役合格者の2系統でグラフを作成します。
現役・浪人合算の合格者割合
全合格者だと学芸大附属がやや抜けてますね。その次は雙葉・フェリス・洗足・鷗友・広尾あたりくらいまでが東京一工医で15%以上という感じですかね。
内訳では、雙葉・フェリス・学附・広尾が医学部多め、洗足が東大多めなイメージです。
現役合格者割合
現役のみだと学芸大附属が他と同程度のイメージになります。あと、医学部が多い雙葉・フェリスはやや減少幅が大きく、これは医学部だと現役で他の学部という選択が取りづらいためと考えられます。
全体感として、同偏差値帯の男子校に比べると正直ちょっと見劣りする感があり、男子三番手校と大体同じくらいかなという印象です。個人的には、このクラスの女子校からもっと国公立大に行くようになって日本社会を変えていってほしいなと思っていますが。
私立大学実績(2022〜2024年)
私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化しました。
現役・浪人合算の合格者割合
全体的に女子は上位私大が多い傾向というのがこのグラフからわかるかなと思います。ほとんどの学校で、早慶上理までで100%を超えます。またMARCHの合格者も多いことから、私立大学を志望する人も多いと考えられます。
現役合格者割合
現役のみで見てもそれほど大きな変動はありません。ただ、洗足・鷗友・吉祥・頌栄に関してはMARCH合格者が多いことから、現役で上位私大を狙う人数が多いと考えられます。
ちなみにMARCHが多いとそこが主戦場かと考えがちですが、進学実績と比較してみるとそうではないというのがわかります。基本的には難関国公立志望が多いと早慶合格が多くなり、早慶志望が多いとMARCH合格が多くなると考えらます。よって、ここでの主戦場は国公立か早慶なんだと思います。
あとは、東京理科大の多さで理系が多いかはわかるかなと思います。国公立志向が強いところは理科大も多いような気がします。
文理割合
文系・理系の割合を、国公立難関大(東京一工医)への合格実績を使って算出します。具体的な集計内容についてはこちらの記事(進学校の文系理系割合比較)を参照してください。
定員に比べて文系が多いように見えますが、これは医学部の定員を全国の国公立大なので多めになっていることが要因なので、その部分は少し割り引いて見る必要があります。それを加味し、文系4割というのを分岐点として考えると、頌栄・洗足・白百合が文系寄りという傾向は言えるでしょう。特に頌栄は6割に達します。
あとは医学部が多いのが白百合・雙葉・浦和明の星あたりです。白百合は理系=医学部と言ってもいいくらいの割合ですね。男子に比べ文系や医学部に極端に振れているところが目立ちますかね。
現役進学者の割合(2022〜2024年平均)
続いて、合格者だけでなく進学者も公開してくれている学校について、進学率もグラフにしておきます。
とりあえず男子に比べると現役での進学率がかなり高いです。
内訳を見ていくと、どの学校も早慶の濃い赤が目立ちます。合格者数と見比べてみると面白いですが、私大についてはより上位の学校が進学先として選ばれるというのがわかります。このあたり、進学者数を出していない学校でも、合格者数を見るときに参考にしてみると良いのではと思います。
海外大学実績(2020〜2024年)
最後に海外大学への合格者数です。名門大学(THE世界大学ランキング100位以内などの基準、具体的にはこちら)と、全海外大学の合格者数をグラフ化しています。
広尾学園はグラフに入りきらずレベチなんで、下のリンクから別途見てください。
そのほかだと洗足学園が目立ちますね。名門大学へも毎年合格者が出ていて、調べた限り女子校の中ではちょっと抜けた実績なのではと思います。
その他の学校はそこまで違いはない感じですかね。
ちなみに頌栄女子はイギリスにWinchester Shoei Collegeという系列校があり、毎年2〜5名くらいの進学者がいるようです。ここは2年制のカレッジですが、その後は名門Winchester大学の学士課程に進むことができるらしいです。狭き門かもしれませんが、こういう道があるのは良いですね。
3. 教育内容の比較
まず、国立大学の附属校であるお茶女大附属・学芸大附属は中高一貫教育ではなく、先取りカリキュラムでもありません。
お茶女大附属は中学が男女共学、高校から女子校というやや特殊な形態でもあります。男子は全員が高校受験で外部へ抜け、女子は8割程度が内部進学ということになっているようです。女子は年によって日比谷や慶應女子等への合格者もいるので、敢えて外部受験する層と、出ざるを得ない層と両方がいると思われます。
学芸大附属の中学は世田谷・竹早・小金井があり、その3校から試験を経て4割程度が附属高校進学する(それ以外は高校受験で外部へ出る)ようです。こちらは基本的に高校受験があるつもりで準備する人が多そうです。
それ以外の学校は中高一貫教育となっていて、大学受験に照準を合わせたいわゆる先取りをやっています。
教科学習のカリキュラムについては、それ以上深掘りして横比較できる情報がないので、授業以外のプログラムについて比較します。
教育環境
親的に関心がありそうな次の観点で比較します。
グローバル教育
探求型学習(+キャリア教育)
その他特徴的な教育/ICT環境
特進クラスの有無
希望者講習/大学受験サポート
グローバルや探究プログラムなどのほか、大学受験に向けた体制面も気になるポイントだと思うので、勉強面での希望者向け講習も追加しています。これだけで通塾の要不要は語れないと思いますが、学校側の姿勢(どの程度サポートしようと考えているか)はある程度測れると思います。
比較していくと、学校が力を入れているところがどこなのかが何となく見えてくると思います。これらは学校のカラーを現している部分も多いので、それぞれ深掘りしていくと選択の軸が出てくるかもしれません。
通塾率(鉄緑会・SEG)
学校の勉強以外で塾へ通う人がどのくらいいるのかというのは親的に気にするポイントですが、残念ながら通塾率を公開している学校はありません。ただ、鉄緑会とSEGは学校ごとの在籍者数が公開されているので、これの全生徒数における割合をひとつの参考情報にしてみます。
ここでは参考までに最難関編と二番手編の学校も含めて一覧化します。なお鉄緑会は指定校のみ公開されているので、空欄はゼロではなく非公開という意味になります。
鉄緑会が代々木、SEGが新宿にあるため、この立地の影響は大きくあると思います。また、中1〜高3まで全学年の数字という点にも注意が必要です。それらを踏まえ、あくまでひとつの切り口として見てください。
4. まとめ
以上、女子の二番手編でした。別に偏差値や合格実績でどっちが上とか下とか、学校の序列をつけようとかではなく、学校の向いている方向性や動向などが見えてくればと思ってまとめました。
ここで挙がっている学校はどこも色んな方向性・特徴があって色んな選択ができるというか、選びがいがあると思います。見逃していた新たな一面を発見するきっかけになったり、判断軸を考える材料が増えるなど、志望校選びの一助になることができれば幸いです。