テレビで国語力を上げる
今回は兄の中学受験で最も苦労し、6年後半では逆に稼ぎ頭にまでなった国語について取り上げます。
中学受験は算数が最重要、とはよく言われますしそれは否定できませんが、成績の安定度という意味で、実は一番苦労しているのが国語という人は少なくないんじゃないかと思います。
兄の受験サポートをしていて気付いたのは、圧倒的な語彙力の不足でした。そして驚くほどモノを知らないという事実です。知らない英単語だらけの英文を読んでいるイメージだと思えばわかりやすいと思います。
当たり前に日本語を話しているので気付きづらいですが、相手は10歳やそこらの子供で、彼らの記憶上はせいぜい5年くらいの経験値しかありません。そんな子供に、大人が大人向けに書いた文章を読ませて、筆者の主張を読み取りなさいとか突きつけるのが中学受験国語なので、そりゃできなくて当然だと思います。書かれている言葉がそもそも分からなければ、読解どころの話じゃありません。
国語力の向上には読書!というのはよく聞くフレーズですが、これが現実的な対策かというと私は懐疑的です。もちろん読書好きであることは有利だし、人生という長いスパンではより重要な能力だと思いますが、そこはあくまで「読書が好きである」という前提の上で成り立つことでしょう。読書が大事だからと興味もない本を無理やり読ませたところで、おそらく字面を追いかけるだけに終わると思います。
残念ながら読書好きに育てられなかった親の責任として、次善の策は「知っていることを増やしてあげる」だと考えます。知っている単語が増えれば理解力は増すし、わかっている内容についての文章なら知識でカバーができます。
ということで語彙力を増やそう、ということになりますが、そこで手っ取り早いのは語彙力XXXみたいな問題集とか漢字練習とかですね。ただそうなると、もはや勉強が苦行になりかねず、それこそがアンチ中学受験派の言う詰め込み学習そのものになってしまい、勉強嫌いになったり勉強自体がネガティブになものなってしまいます。(さすがに6年生では多少やりましたけど)
で、そこで期待したいのがテレビ番組の活用です。時間はかかりますが、楽しく見ている間に自然に語彙力が増えていくのがベストでしょう。別にYouTubeなどでもいいですが、いちいち選別せずに毎週手軽に見られるテレビの方が楽です。
具体的にどんな番組がいいか、我が家で見ている番組から3つほど挙げてみます。
NHKの朝ドラ:大正〜昭和初期の実在の人物を主人公にした物語が多いので、戦時中の生活や昔の言葉を自然に知ることができます。5年生の後期に昭和の歴史を学ぶまで、そもそも日本が戦争をしたことを知らない子もいそうなので(恥ずかしながら兄がそうだった)、その意味でも有意義だと思います。特にここ2・3クールの朝ドラは、純粋にドラマが面白いんで楽しく見られそうです。
サザエさん:今や死語と思われる女性ことば(〜ですわとか〜かしらとか)が使われていたり、三河屋のサブちゃんとか、お茶の間とか、昭和の社会がイメージできるようになります。親が当たり前に思っていることでも子供は知らないというのは結構あるものです。その意味でちびまる子ちゃんもいい感じです。
チコちゃん・カネオくん・ダーウィンなど:この辺りはコメントするまでもないと思いますが、最近はNHKの教育系バラエティ番組?が充実しているので、楽しく知識を学べるようになっています。
別にこれだけではないしテレビ番組である必要もないですが、要は机だけが勉強の場ではないというのが言いたいことです。特に最近は、活字離れ・テレビ離れなどから、これまで常識とされてきたことをインプットする機会がかなり減っていると思われるので、意外なほど子供はモノを知らないと認識した方が良いです。
国語の物語文で主人公の心情理解ができないというのは、そもそも物語に触れる機会が少なかったことが原因かもしれません。文章を読んでも、その場面がイメージできなければそれは記号の羅列でしかありません。そんな状態で解き方のテクニックだけ入れたところで何の意味もないと思います。それなら、アニメでもドラマでも物語をたくさん見て、色んな場面をイメージできるようにし、様々な心情に触れる方がよっぽど本質的な勉強ではないかなと思います。
中学受験国語の問題は、子どもには難しいですが大人なら解ける問題が多いです(たまに激ムズの学校もありますが)。なぜ大人が解けるのか、それは、別に解き方を知っているからではなく、語彙も含めた背景知識や経験値が多いからということになります。であれば、大人の能力に近づけるためにどうすればいいのか、というのがポイントになるでしょう。そんな視点で考えていきたいと思っています。
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