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【進学校の横比較】千葉・埼玉上位編(渋幕・市川・東邦大東邦・昭和秀英+浦和明の星・栄東・開智)

同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画、今回は千葉と埼玉の上位校についてまとめて取り上げます。

ちなみに千葉御三家と言われているのは渋谷教育学園幕張(渋幕)・市川・東邦大学付属東邦(東邦大東邦)らしいですが、偏差値や進学実績を見ると今は昭和学院秀英(昭和秀英)も遜色ないと思うので、ここも含めて4校並べます。

埼玉は、難関国公立大の合格実績を基準に、栄東・開智と、浦和明の星女子としました。

【更新情報】
・2024.11.6  現役+浪人データと共学校の追加
・2024.9.4 noteへの移行と構成の変更
・2024.6.13  進学実績・偏差値を2024年版へ更新
・2023.9.30 進学実績を3年平均に変更(2021〜2023年)
・2023.1.17  初版投稿(2022年データ)

大学合格実績や教育内容などを深掘りし、グラフ化するなどして横比較していきます。複数の学校を横に並べて比較することで、それぞれの特徴に気付けたり、入試動向を探る材料になればと思っています。


1. 偏差値推移の比較

まずは偏差値の推移です。

ここではサピックス80%偏差値と四谷大塚50偏差値を見ます。年度ごとだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してそれをグラフ化しています。

【データ出典】
サピックス:翌年度の第1回志望校判定サピックスオープン80%偏差値
四谷大塚:各入試年度の四谷大塚結果50偏差値一覧

偏差値表の有効性を見るために集計した塾別合格実績は次の通りです。

各塾の2024年合格実績より

開智のみサピックスが少なく、四谷大塚は満遍なく合格実績がありそうです。他のシリーズと合わせここではサピックスと四谷大塚の偏差値表を出しますが、まあ四谷大塚でいいかなという気がします。(なお早稲アカ分は四谷大塚+他塾に重複して含まれると見ているのでここでは無視します。考え方はこちらの記事にて。)

【主な入試変更タイミング】
*東邦大東邦(前):2021年250→240名
*昭和秀英①:2018年105→100名、2020年→110名
*昭和秀英(特別):2018年開始(20名)、2019年→30名
*開智①(2023まで先端1):2018年75→90名、2021年→110名
*開智特待A(2023まで先端特待):2018年開始(40名)、2020年→30名
*開智特待B(2023まで先端A):2018年90→50名、2020年→45年、2021年→90名、2024年→85名

とりあえず渋幕一強という構図は変わらない感じです。千葉だと市川と昭和秀英(特別入試)が上抜けしてきたイメージですかね。

埼玉は栄東(東大特待)が浦和明の星を上回ったあとは、勢力図は大きく変わっていなさそうです。

四谷大塚で見ると市川昭和秀英特別入試の上昇がよりはっきり見えます。千葉はこの2校の今後にちょっと注目してみたいところです。

埼玉は栄東の上昇が一服し、直近は落ち着いた動きに見えます。開智はやや下落傾向が続いていましたが、2024年の開智所沢との同時入試(両校の合格判定)で受験者数を大きく伸ばしていたので、開智所沢と共にこの先どう動くかは要注目かと思います。

2. 大学合格実績の比較

続いて多くの人が関心あるであろう、大学合格実績の比較です。

【データ出典】
・合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より

【集計・表記のルール】
医学部などの重複カウントを避けるため以下のルールで集計しています
・一工:一橋大+東工大
・医学部:国公立大医学部医学科(数字に東大理Ⅲと京大医学部は含まない)
・旧帝大:北海道大+東北大+名古屋大+大阪大+九州大
    (数字に東大・京大・医学部は含まない)
・他国公立:(数字に医学部は含まない)
・私立医:私立大医学部医学科
・早慶:早稲田大+慶應大(数字に慶應医学部は含まない)
・上理:上智大+東京理科大
・MARCH:明治大+青山学院大+立教大+中央大+法政大
並び順は東京一工医までの多い順(黄色ライン)

国公立大学実績(2022〜2024年)

国公立大学は、卒業生数を合格者数で割った数字を合格者割合として集計します。ここでは現役+浪人を含む全合格者と、現役合格者の2系統でグラフを作成します。

各グラフに共通した注釈は以下の通りです。
*渋幕・昭和秀英・浦和明の星の医学部データは進学情報誌さぴあより
*渋幕の旧帝大には名古屋大・九州大は含まれません(他国公立に含まれます)
*東邦大東邦は東邦大学医学部への現役合格者を内部推薦とみなして計算しています
*浦和明の星・栄東の現役データは日能研入試情報より(他国公立大データはなく私立・浪人等に含まれます)

現役・浪人合算の合格者割合

まず全体として、埼玉より千葉の学校の方が国公立実績は高いようです。

渋幕の東大合格者が圧倒的というのはコメントするまでもないですが、二番手として市川が東大を中心に難関大実績を増やしています。そして東邦大東邦昭和秀英が追いつくかたちで2校が並んだのが今の情勢でしょうか。あと、東邦大東邦が医学部多めというのが特徴的かと思います。

埼玉では浦和明の星が半歩リードといったところです。国公立全体の合格者数は栄東がかなり多いです。

現役合格者割合

現役のみでも大きな情勢の変化はありませんが、国公立全部だと昭和秀英市川を上回ったというのは注目してもいいかもしれません。

【2024年の注目点】
2024年は昭和秀英が伸ばした結果、国公立では東邦大東邦を上回る実績となりました。東邦大東邦は東邦大医学部への内部推薦もあり単純比較はできないものの、千葉御三家と言われる序列を崩すことになるのか、中受ウォッチャーとしては目が離せなくなってきました。

私立大学実績(2022〜2024年)

私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化しました。

各グラフに共通した注釈は以下の通りです。
*渋幕・昭和秀英・浦和明の星の医学部データ、浦和明の星・栄東の現役データは進学情報誌さぴあより
*東邦大東邦は東邦大学医学部への現役合格者を内部推薦とみなして計算しています(東邦大学分は私立医に含みません)

現役・浪人合算の合格者割合

渋幕・開智以外は似たグラフで、東京理科までで100%に達します。共通して、東京理科が多いというのは特徴的かなと思いますね。

医学部が多いのが渋幕・東邦大東邦・浦和明の星・栄東という感じです。東邦大東邦は内部推薦分も含め、医学部で3割近くにいきます。

現役合格者割合

こちらもまあ似たような感じのグラフになっています。昭和秀英がMARCHまでで200%となり、現役志向の強さを感じます。

文理割合

文系・理系の割合を、国公立難関大(東京一工医)への合格実績を使って算出します。具体的な集計内容についてはこちらの記事(進学校の文系理系割合比較)を参照してください。

全体的に理系志向が強めに見えます。特に東邦大東邦・開智は医学部志向の強さもあって、かなり理系割合が高いようです。国公立難関大での数字なので全体の傾向かはわかりませんが、少なくとも上位勢はこういう志向のようです。

海外大学実績(2020〜2024年)

最後に海外大学への合格者数です。名門大学(THE世界大学ランキング100位以内などの基準、具体的にはこちら)と、全海外大学の合格者数をグラフ化しています。

*昭和秀英・東邦大東邦・栄東は進学情報誌さぴあより


渋幕はレベチなので置いておきますが、市川も頑張っていると思います。毎年必ず海外大学への合格者を出していて、2022年はランキング上位大学への合格が多く出ています。

こちらもどうぞ
海外大学合格ランキング 2024年版
海外大学合格ランキング 2023年版
海外大学合格ランキング 2022年版

3. 教育内容の比較

教科学習のカリキュラムについては、私立中高一貫校では大学受験に照準を合わせたいわゆる先取りをどこもやっていると思いますが、それ以上深掘りして横比較できる情報がないので、授業以外のプログラムについて比較します。

教育環境

親的に関心がありそうな次の観点で比較します。

  1. グローバル教育

  2. 探求型学習(+キャリア教育)

  3. その他特徴的な教育/ICT環境

  4. 選抜クラスの有無

  5. 希望者講習/大学受験サポート

グローバルや探究プログラムなどのほか、大学受験に向けた体制面も気になるポイントだと思うので、勉強面での希望者向け講習も追加しています。これだけで通塾の要不要は語れないと思いますが、学校側の姿勢(どの程度サポートしようと考えているか)はある程度測れると思います。

・各学校のWebサイト等から取得できる情報を中心にまとめたもので、全てをカバーできていない可能性があります
・成績下位向けの補習はどこもありそうで比較対象にならないので省略します
・各項目の詳細はそれぞれの学校Webサイトを参照してください

比較していくと、学校が力を入れているところがどこなのかが何となく見えてくると思います。これらは学校のカラーを現している部分も多いので、それぞれ深掘りしていくと選択の軸が出てくるかもしれません。

ここはプログラムが多彩なところが多い印象です。立地的にも敷地に余裕のあるところが多いので、部活なども調べてみると面白そうです。
選抜クラスは市川が高校(か中3)から、栄東と開智は入学時からコース分けがされています。大学受験サポートは高2・3で講習を行うところがほとんどで、勉強合宿(市川・開智)や直前講習をやってくれるところも多くあります。

4. まとめ

以上、千葉・埼玉の上位編でした。別に偏差値や合格実績でどっちが上とか下とか、学校の序列をつけようとかではなく、学校の向いている方向性や動向などが見えてくればと思ってまとめました。

前受けで利用されることも多い千葉・埼玉の学校ですが、県内の人はもちろん、地域によっては前受けしつつ現実的な進学先として検討する人も増えていると思います。千葉と埼玉の両方を併願できる人は限られるかもしれませんが、別で集計するよりは一覧化した方がわかりやすいのでまとめてしまいました。

見逃していた新たな一面を発見するきっかけになったり、判断軸を考える材料が増え、志望校選びの一助になることができれば幸いです。

最近は淑徳与野や大宮開成の偏差値も上がってきて、併願先として検討する人も増えてきたように思います。国公立の合格実績でまだだいぶ差があったのでもう少し様子見と思っていますが、引き続きウォッチはしていきます。

【進学校の横比較シリーズ】

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