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進学校の文系理系割合比較

昨今の理系人気から、中高一貫校の文系・理系割合を調査してみたいと考えました。ただ、大学進学実績で文理割合を出してくれている学校は多くないので、個別に見ることはできても全体で比較をすることはできません。

最も有効と思えたのが、インターエデュの東大・京大の学部合格実績を使い、これに一橋・東工大(東京科学大)・医学部のデータを加えた、いわゆる東京一工医の合格実績で比較することだったので、これで集計してみます。本来は国公立全体で見たい(いや、私立も含めた進学先全体で見たい)ところですが、データが揃うこの指標で考えてみたいと思います。

前提

集計対象の大学と文系・理系に関しては以下を基準とします。

【文系】
・東大:文Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・推薦(文系学部)
・京大:総合人間・文・教育・経済・法
・一橋大
【理系】
・東大:理Ⅰ・理Ⅱ・推薦(理系学部)
・京大:医学部健康科学科・薬・農・理・工
・東工大
【医学部】
・国公立大学医学部医学科
 (東大理Ⅲと京大医はこちらに含む)

理系に医学部を含めると、ほとんどの学校で理系が多くなってデータ的にも面白味がないので、医学部は別出しにしています。合算したい人は合算して見てください。また、一橋大にはソーシャル・データサイエンス学部もあり微妙なところですが、今回は集計の都合もあって一橋大=文系としています。

また、集計対象データは以下とします。

・浪人を含む全合格実績
・2022〜2024年の3年間の平均値
・公立中高一貫校も含む首都圏(一都三県)の中高一貫校
 (県立千葉はインターエデュにデータがないので省略)
・共学校は男子校・女子校それぞれの一覧に含める
 (同じデータが両方に表示されています)

浪人を含む・含まないは議論の分かれるところですが、ここでは、有意なデータにするためにできるだけ母数を多く取りたいことと、浪人時代に文転・理転する人はそれほど多くないだろうという想定で、浪人生を含む全合格実績を使います。

また、単年度だと結構ブレがある(兄の学校でも、年によって2〜3クラスの増減があるらしい)ので、3年間の平均値で集計します。

定員との相対値を見たいとのコメントがあったので、定員を調べてみたところ次の通りでした(2024年入試、文:理:医)。
【全定員(推薦等含む)】3168(24%):4511(34%):5687(43%)
【一般入試定員(前後期)】2999(27%):4402(38%):3918(35%)
地方国公立だと地域枠もあったりで医学部の定員はだいぶ大きくなり、どこを使うかで見え方が全然変わってきそうです。
いずれにしても定員の違いは意識した方が良さそうなので、一般入試定員の割合のところで線を引いておくことにします(一般入試定員にしたのは地域枠の影響を外すため)。

では、前置きが長くなりましたが集計結果にいきます。

男子校・共学校

まずは男子編です。学校名の右側の数字は、卒業生に対する難関大(東京一工医)の合格者割合です。見やすさのため、20%以上の学校で一旦切っています。

ざっと見て特徴が出ているところを挙げます。

文系が多い(4割以上):渋渋
医学部が多い:海城・学芸大附
理系(理+医)が多い:筑駒

そのほか個別の学校についてはそれぞれで考察してみてもらえればと思います。

全体として見ると、文系で半数を超えている学校は一つもないというのが結果でした。これはこの後の集計でもほぼ同様の傾向なので、文系4割をひとつの基準として、それより多い・少ないを見るとちょうど良さそうな感じです。

続いて20%〜10%の学校です。10%とかになってしまうと、その学校の傾向として見るにはちょっと無理がありそうですが、まあ上位層の傾向として参考にできればと思います。

*都立南多摩・横浜サイエンスFの文理データは2年分のみ

ここでも特徴的なところを挙げます。

文系が多い(4割以上):サレジオ・横浜市立南
医学部が多い:巣鴨・暁星・東邦大東邦・桐蔭中教・広尾学園・県立相模原
理系(理+医)が多い:横浜SF・東邦大東邦・巣鴨・県立相模原・暁星

特に目立つのが医学部の多い学校ですね。まあ医学部は国公立全体で防衛医大も含む数字なので若干データの歪みもあるかもしれませんが、それにしても学校によってかなり傾向に違いがあるというのは知っておいて損はないと思います。

ちなみにこちらも文系で半数を超える学校は一つもありませんでした。

女子校・共学校

続いて女子編です。男子編でも書きましたが、学校名の右側の数字は卒業生に対する難関大(東京一工医)の合格者割合です。女子は全体的に数字が低いので、男子編よりやや基準を下げ、とりあえず難関大15%以上で一覧化します。

*フェリスの文理データは2024年のみ

男子と同様、特徴が出ている学校を挙げます。

文系が多い(4割以上):渋渋・洗足学園・女子学院
医学部が多い:桜蔭・豊島岡・雙葉・学芸大附・県立相模原
理系(理+医)が多い:県立相模原・桜蔭

他の集計から想像はしていましたが、文系が増えるのと医学部が増えるというのは女子の特徴かと思います。とはいえここでも文系で過半数の学校はないので、4割が分岐点というルールは維持して良さそうです。

次は15%〜8%の学校です。偏差値的にも頌栄までは入れて見たかったので、8%をひとつの基準ラインとしました。

*都立南多摩・横浜サイエンスFの文理データは2年分のみ

同じく特徴的なところを挙げます。

文系が多い(4割以上):頌栄・都立立川国際・都立南多摩・白百合・都立三鷹・横浜市立南・鷗友学園
医学部が多い:白百合・東邦大東邦・浦和明の星・桐蔭中教・広尾学園・栄東
理系(理+医)が多い:横浜SF・東邦大東邦

ここへきてついに文系過半数超えが出ました(頌栄)。そこに限らず、文系多い区分に入る学校が非常に増えたのがこの集計の特徴ですね。あと面白いのが白百合で、ここは文系・医学部の両方が多い基準に合致しています。まあ全体の人数が多くないんで傾向とまで言っていいかわかりませんが、3年平均でもあるのでそれなりに意味のある数字かなと思います。

都立・県立高校

今まで見てきたのが中高一貫校の特徴なのかは気になるので、高校入試で入る一都三県の都立・県立高校についても比較のため見てみます。

こちらは東京都の進学指導重点校はカバーしたかったので、難関大基準を6%以上というところで設定しました。

*湘南の文理データは2年分のみ

同じ基準で挙げてみるとこんな感じです。

文系が多い:青山・西・国立・立川・船橋・八王子東・柏陽
医学部が多い:
該当なし
理系(理+医)が多い:
該当なし

そこまで大きな傾向の違いではありませんが、やや文系が多い傾向は確認できます。まあそこよりも、医学部の少なさの方が目立つかなという感じですね。医者の子弟が中高一貫校に多いからなのか、3年間と6年間という準備期間の違いなのか、要因がどこにあるかはわかりませんが。

まとめ

以上、難関国公立のデータだけですが、文系理系について集計しました。

昨今は、とりあえず良い(とされる)大学へ受かればよいという思考から、徐々にやりたいこと、行きたい学部から選ぶようになってきているという話も聞きます。とりあえず医学部や理系がいいとかいう話もまた違うと思いますが、その学校に通う生徒たちの雰囲気に流されるという面も少なからずあるので、どういう方向に向かう子が多いのかというのはひとつの判断材料になると思います。

志望校選択の一助にでもなればと思います。

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