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【進学校の横比較】女子Y50〜60編

同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。今回は女子三番手、四谷大塚偏差値50〜60の女子校編とします。

これまでの回は、比較対象になりそうな大学合格実績と偏差値で区切りを作っていました。女子校は国公立大の合格者が少ないのもあってうまいこと区分けができず、手が進まずにいたのですが、割り切って偏差値と合格実績のデータだけに絞ることにしました。比較対象はY50以上の女子校ということで18校を列挙するかたちで取り上げます。

以下の18校が対象です(偏差値基準は全入試回の平均偏差値が50以上)。

東洋英和女学院/学習院女子/立教女学院/淑徳与野/山脇学園/湘南白百合学園/大妻/横浜共立学園/田園調布学園/品川女子学院/富士見/普連土学園/恵泉女学園/東京女学館/共立女子/日本女子大学附属/晃華学園

学習院女子・立教女学院・日本女子大学附属については大学附属校ですが、外部進学者も一定数いるので比較のためこちらに含めることにしました。

【更新情報】
・2024.12.1 初版投稿


1. 偏差値の比較

各塾の偏差値推移を比較します。年度ごとだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してそれをグラフ化します。

【データ出典】
サピックス:翌年度の第1回志望校判定サピックスオープン80%偏差値
四谷大塚:各入試年度の四谷大塚結果50偏差値一覧
日能研:各入試年度の日能研結果R4一覧(80%判定偏差値)

サピックスだと偏差値表に出てこない学校も多いので、今回はサピックス・四谷大塚・日能研の3つの偏差値表を載せていきます。

塾別合格実績

まずは偏差値表の有効性を見るために集計した塾別合格実績を確認します。

各塾の2024年合格実績より
*湘南白百合・富士見・恵泉女学園の四谷大塚実績は非公開のため省略しています

サピックス・日能研・四谷大塚の3模試それぞれで偏差値表が出ているので、基本的には合格実績の多い塾の偏差値表を参考にします。
(なお早稲アカ分は四谷大塚+他塾に重複して含まれると見ているのでここでは無視しますが、一部四谷大塚の参考値として使用します。早稲アカ分についての考え方はこちらの記事にて。)

この辺になるとサピックス1強ではなくなるので、学校によって見るべき偏差値は変わりそうです。日能研と四谷大塚であれば大きな外れはなさそうですが、極端に少ないところは他の偏差値表も見た方がいいでしょう。

ちなみに四谷大塚の実績が公開されていない3校は早稲アカも少ないので、日能研を見た方が良さそうです。

2月1日入試偏差値

サピックスの過去年度は50未満のデータが入手できていないので、直近数年分での推移となります。これだけだとあまり大きな変化は感じとれませんね。

四谷大塚は数が多くごちゃごちゃしているので頑張って見てもらえればと思いますが、最新年度だとかなり収束してきているのが非常に興味深いです。大きく、学習院女子A・東洋英和A・立教女学院と、それ以外という2グループに分かれる感じです。

日能研の方が少しバラけていますが、同じく上下2グループという構図はありそうです。大妻①が上グループにいるのが四谷大塚との違いですね。

共通して変動が大きいのは次の3つでしょうか。

  • 横浜の2校(横浜共立・横浜雙葉)の下降

  • 日本女子大附・晃華学園の下降

  • 山脇学園の上昇

特に横浜の動きは気になるので後で考察してみたいです。

2月1日午後以降 入試偏差値

全日程を取り上げるのは数が多すぎてしまうので、2日入試校と、午後入試など偏差値変動の大きい入試をピックアップします。(午後入試は点線で表しています)

午前入試(実線)だと、学女B・横浜共立B・東洋英和Bの50以上のグループとそれ以外という感じで2つに分かれそうです。午後入試(点線)は45〜50辺りでひとかたまりになっています。

こちらもサピックスと似たような動きに見えます。細かくみていくと、直近の東洋英和の上下が逆になっていたり、四谷大塚で湘南白百合が上昇していたりなどがあります。(湘南白百合は四谷大塚実績が少ないので、日能研を見た方がいいかもしれません)

日能研でも大勢は変わらなそうです。

3つの偏差値表から共通項を探してみます。

  • 山脇(算)・恵泉女①・富士見(算)の上昇が大きい

  • 横浜共立②はまだ上位をキープ(ちょっと下がっているが)

  • 日本女子はまだ下げ傾向

  • 湘南白百合は下げ止まったか

それぞれの見方で確認し考察に使ってもらえればと思います。

2. 大学合格実績の比較

続いて大学合格実績の比較です。

女子校は浪人割合が低く、現役のみのデータと分けて出してもあまり変わらないので、ここでは浪人+現役の全合格者のみを集計することにしました。

【データ出典】
・合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より

【集計・表記のルール】
医学部などの重複カウントを避けるため以下のルールで集計しています
・一工:一橋大+東工大
・医学部:国公立大医学部医学科(数字に東大理Ⅲと京大医学部は含まない)
・旧帝大:北海道大+東北大+名古屋大+大阪大+九州大
    (数字に東大・京大・医学部は含まない)
・他国公立:(数字に医学部は含まない)
・私立医:私立大医学部医学科
・早慶:早稲田大+慶應大(数字に慶應医学部は含まない)
・上理:上智大+東京理科大
・MARCH:明治大+青山学院大+立教大+中央大+法政大
並び順は四谷大塚80偏差値順

各グラフに共通した注釈は以下の通りです。
*山脇学園・大妻・横浜共立・品川女子・普連土の医学部データは進学情報誌さぴあより
*田園調布は現役進学者数のみ(数名程度の誤差の可能性あり)

国公立大学実績(2022〜2024年)

男子校や女子二番手校と比べるとだいぶグラフが小さくなってしまうので、正直比較するのも微妙な感じですが、それでも何校か色のついているところはあります。

目立っているのは湘南白百合・横浜共立・横浜雙葉・晃華学園で、いずれも神奈川県の4校となります。偏差値表では急降下している神奈川女子校ですが、この中では難関国公立実績が高く、この先どうなっていくのか要注目かと思います。

私立大学実績(2022〜2024年)

私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化しました。

こちらの方が優位な比較情報にはなるかなと思います。

医学部+早慶の赤ラインで見ると、東洋英和・横浜雙葉・横浜共立・湘南白百合の順で高いのがわかります。学習院女子・立教女学院は、半分以上が内部進学ですが、その上で早慶への合格者もそれなりに出ている感じです。

あとは、午後入試を始めて偏差値上昇を果たしてきた学校がいくつかあり、ちょうどその卒業生を出し始める時期に差し掛かっているので、この辺りがどう変化していくのかは今後の見どころかと思います。

海外大学実績(2020〜2024年)

もうひとつ、海外大学への合格者数も比べてみます。名門大学(THE世界大学ランキング100位以内などの基準、具体的にはこちら)と、全海外大学の合格者数をグラフ化しています。

*田園調布は合格者数ではなく進学者数のみ
*横浜共立・品川女子・共立女子のデータは進学情報誌さぴあより

こちらは東洋英和が名門大の数であたまひとつ抜けている感じですかね。ここは毎年合格者を出していて、一定海外志望者はいるようです。

それに続くのが大妻・湘南白百合・東京女学館というあたりでしょうか。

こちらもどうぞ
海外大学合格ランキング 2024年版
海外大学合格ランキング 2023年版
海外大学合格ランキング 2022年版

3. まとめ

教育内容については数が多く調べきれないのでカットし、今回は入口となる偏差値と、出口の大学合格実績のみで比較を作りました。本来的には教育環境こそ比較すべきところの気はしますが、一旦これでご了承ください。

志望校選びの一助になることができれば幸いです。

個人的な感想を簡単に。
偏差値推移を見ていくと、ちょうど2020年辺りに転換点があり、午後入試の活発化と神奈川方面の学校の下落が同時に起こっているように見えました。特に神奈川女子校の下落は、Y50台だけでなく全偏差値帯で起こっている感じで非常に気になります。
以前、一都三県の児童数推移を調べましたが(→学年別児童数からこの先の入試動向を考える)、確かに神奈川県は児童数が減少に転じてはいるものの、そこまで大きな減少にはまだなっていないはずですし、男子校はここまで顕著な落ち方をしていません。じゃあ共学へ流れてるのか?という仮説が立ちますが、神奈川の共学を見ると、上から、慶應湘南・中大横浜・青学横浜英和・法政第二・神奈川大附属あたりが挙がってきます。確かにこの辺りは大学系列になったり共学化で人気になったところなので、少なからず影響はありそうです。ただ、この人気化の方はもう少し早く起きていて時期がちょっとズレている気もするので、他にも要因があるのではと感じます。具体的にはわかりませんが、コロナ影響とか、東京への流出とか、地域による受験生の相対的な学力差とか、色々妄想は膨らみます。何が起きているのか気になるところなので、知っている方がいれば教えてほしいです。

【進学校の横比較シリーズ】


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