【進学校の横比較】女子最難関編(桜蔭・女子学院・豊島岡+渋幕・渋渋・筑附・小石川)
同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画、今回は女子の最難関を取り上げます。
大学合格実績で見ると桜蔭1校だけが突出しているので悩みましたが、最終的に四谷大塚偏差値で69を超えている学校を取り出しました。
桜蔭・女子学院・豊島岡の女子校3校と、共学校の渋谷教育学園幕張(渋幕)・渋谷教育学園渋谷(渋渋)・筑波大学附属(筑附)・都立小石川中等教育学校(小石川)を今回は合わせて取り上げます。
大学合格実績や教育内容などを深掘りし、グラフ化するなどして横比較していきます。複数の学校を横に並べて比較することで、それぞれの特徴に気付けたり、入試動向を探る材料になればと思っています。
1. 偏差値推移の比較
まずは偏差値の推移です。
ここではサピックス80%偏差値と四谷大塚50偏差値を見ます。年度ごとだと重なりが出て見づらいので、それぞれ前後3年の平均を出してそれをグラフ化しています。
なお、偏差値表の有効性を見るために集計した塾別合格実績は次の通りです。
とりあえずサピックスを中心に、補足的に四谷大塚を見ておけば十分そうです。(なお早稲アカ分は四谷大塚+他塾に重複して含まれると見ているのでここでは無視します。考え方はこちらの記事(塾合格実績の集計)にて)
入試形式の違う小石川ですが、サピックス合格者はそこそこいるので、信頼度としては特に問題ないと考えます。
サピックスで見ると、10年前までは桜蔭がトップとして君臨していたように見えますが、今は渋幕がちょっと離れた上の方にいる感じです。これは桜蔭が下がったというより、渋幕含む他校が上がったというイメージです。
渋幕は日程が1月かつ男女混合定員なので一概に難易度を語るのは微妙ですが、少なくとも偏差値表ではこう見えるので、これが志望動向に影響もしているというのはおさえておきたいポイントです。
渋渋は10年前とは大きくポジションが変わり、特に2月1日入試が桜蔭と並んだのは、受験生の意識の上でもそれなりに影響ありそうな気がします。
あと小石川ですが、出題形式が異なる都立中高一貫校ながら、私立型からの対応が可能なことがわかってきたことで併願組が増えていると考えられます。ここは男子の方がひと足早く上昇していましたが、追いかけるように女子も上昇してきました。渋渋との併願が増えているという話も聞きます。
四谷大塚ではほとんど差がなく見えますが、細かく見れば、渋幕・渋渋・桜蔭の3校と、筑附・女子学院・豊島岡・小石川という2グループにも見えます。まあそうは言っても上下で3ポイントまでしか差はないですが。
ここでも渋渋と小石川の上昇(特に小石川)は目立ちますね。
2. 大学合格実績の比較
続いて多くの人が関心あるであろう、大学合格実績の比較です。
国公立大学実績(2022〜2024年)
国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格率として集計します。ここでは現役+浪人を含む全合格者と、現役合格者の2系統でグラフを作成します。
現役・浪人合算の合格者割合
桜蔭のみぶっちぎっています。この桜蔭と男子最上位の3校が頭ひとつ抜き出ているのが今の合格実績の全体像ですね。
それ以外は、東京一工医(黄色ライン)までで3〜4割といった感じでそれほど大差はありません。女子校は国公立志向がそれほど強くない学校も多いですが、ここで挙げた3校には当てはまらなそうです。
現役合格者割合
現役で減少幅が大きいのは桜蔭・渋幕・筑附で、それ以外は基本的に現役勝負となっているようです。現役だけで見ると渋幕・渋渋の差はほとんどなくなり、東大はむしろ逆転しているのが現在の情勢です。
あとは女子学院と豊島岡で比べたとき、女子学院は東大が多め、豊島岡は医学部が多めという感じでやや方向性の違いがありそうです。
私立大学実績(2022〜2024年)
私立大学は重複合格が多いですが、卒業生数を100%としたときの割合を積み上げてグラフ化しました。
現役・浪人合算の合格者割合
まずどこも私大医学部は多く、桜蔭は50%、豊島岡も40%に達します。そして、医学部+早慶で100%を超えるのが基本イメージとなっています。女子学院は理科大・上智も多く、MARCHまでの合格者も多いですね。そして渋渋・渋幕は2校ともほぼ同じようなグラフになっているのが面白いところです。
現役合格者割合
現役のみのグラフでも情勢は大きく変わらず、基本的に現役志向と言えるでしょう。
ここは桜蔭も例外ではなく、桜蔭・女子学院・渋渋は医学部+早慶で卒業生数の100%を超えます。そしてそれに豊島岡・小石川を加えた5校は、MARCHまでの合格人数で卒業生の200%程度に達します。
文理割合
文系・理系の割合を、国公立難関大(東京一工医)への合格実績を使って算出します。具体的な集計内容についてはこちらの記事(進学校の文系理系割合比較)を参照してください。
定員に比べて文系が多いように見えますが、これは医学部の定員を全国の国公立大なので多めになっていることが要因なので、その部分は少し割り引いて見る必要があります。それを加味し、文系4割というのを分岐点として考えると、渋渋・女子学院・小石川が文系寄りという傾向は言えるでしょう。
あとは医学部が多いのが豊島岡・桜蔭、医学部を含め理系が多いのが桜蔭・筑附・豊島岡・渋幕という感じでしょうか。
海外大学実績(2020〜2024年)
もうひとつ、海外大学への合格者数も比べてみます。名門大学(THE世界大学ランキング100位以内などの基準、具体的にはこちら)と、全海外大学の合格者数をグラフ化しています。
渋幕・渋渋はちょっとケタが違うのでひとまず置いておきます。
桜蔭はデータのない年があり、大学名も触れられていないことが多いので、進学する人が1人出るかどうかという感じじゃないかと思います。女子学院も人数の出方からすると年に1〜2人という感じです。毎年合格者を出しているのは豊島岡で、ここは学校側のサポートも多少あるのかなと感じます。小石川は東京都のサポートもあるようで、卒業生の少なさからすると比較的多めと言えるのではないでしょうか。
3. 教育内容の比較
最後に教育内容の比較をします。
まず、国立大学の附属校である筑附は先取りカリキュラムではありません。また、附属小学校から上がってくる生徒も合わせ、全体の8割程度が附属高校へ進学する(成績下位の2割は高校受験で外部へ出る)ということで、いわゆる中高一貫教育ではないというのが他校との大きな違いとなります。
それ以外の学校は中高一貫教育となっていて、大学受験に照準を合わせたいわゆる先取りをやっています。小石川は都立校ですが6年一貫の中等教育学校であり、この部分は同じです。
教科学習に関してまずおさえておくべき違いはここでしょうが、これ以上深掘りして横比較できるほどの情報はないので、ここからは授業以外のプログラムについて比較します。
教育環境
親的に関心がありそうな次の観点で比較します。
グローバル教育
探求型学習(+キャリア教育)
その他特徴的な教育/ICT環境
特進クラスの有無
希望者講習/大学受験サポート
グローバルや探究プログラムなどのほか、大学受験に向けた体制面も気になるポイントだと思うので、勉強面での希望者向け講習も追加しています。これだけで通塾の要不要は語れないと思いますが、学校側の姿勢(どの程度サポートしようと考えているか)はある程度測れると思います。
比較していくと、学校が力を入れているところがどこなのかが何となく見えてくると思います。これらは学校のカラーを現している部分も多いので、それぞれ深掘りしていくと選択の軸が出てくるかもしれません。
通塾率(鉄緑会・SEG)
学校の勉強以外で塾へ通う人がどのくらいいるのかというのは親的に気にするポイントですが、残念ながら通塾率を公開している学校はありません。ただ、鉄緑会とSEGは学校ごとの在籍者数が公開されているので、これの全生徒数における割合をひとつの参考情報にしてみます。
ここでは参考までに最難関編と二番手編の学校も含めて一覧化します。なお鉄緑会は指定校のみ公開されているので、空欄はゼロではなく非公開という意味になります。
鉄緑会が代々木、SEGが新宿にあるため、この立地の影響は大きくあると思います。また、中1〜高3まで全学年の数字という点にも注意が必要です。それらを踏まえ、あくまでひとつの切り口として見てください。
4. まとめ
以上、女子最難関編でした。別に偏差値や合格実績でどっちが上とか下とか、学校の序列をつけようとかではなく、学校の向いている方向性や動向などが見えてくればと思ってまとめました。
女子は最難関に女子校・共学校が並ぶようになり、色んな観点で選ぶ人が増えているのかなと想像します。学校ごとのカラーはかなり違いそうなので、色々な角度から比較し、子供に合う学校を選ぶための一助になれば幸いです。
【進学校の横比較シリーズ】
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