海城中学入試の作戦会議
はじめに
この記事では、海城中学校の入試を考えているご家庭に向け、入試・問題の分析と対策案についてご紹介します。一度、自らの経験を中心に書いた内容で公開しましたが、改めて分析と対策を中心とした内容に書き換えたので、より多くの人に有益な情報にすることができたのではと考えています。
海城については難易度の割に塾の志望校別コースが充実しているとは言いがたく、特に社会科論述については他校と明らかに違っている割に対策が手薄な印象があります。我が家もとある塾で対策していましたが、受験直前の冬休みに気付いて急遽自分で対策したことがありました。その辺りを熱望者にお伝えできればと思います。
このシリーズ全般に共通する内容として、どういう背景で情報提供しているのか、対象と想定しているのはどういう方かについて以下のページに記載していますので、最初にぜひご一読ください。
入試の分析
前置きが長くなりましたが、ここから本題に入っていきます。まずは入試結果データを元に、海城の入試自体の分析をします。
第1回の偏差値が上昇中
まずは分かりやすいところで各塾の偏差値表から見ていきます。
全体感で言うと、2015年前後に一度難化のピークをつけたあと調整に入り、2021年あたりから再度上昇に入った感じと見ることができます。
この中で、サピックス偏差値は基本右肩上がり(このグラフだと左肩)で、2011年が54だったものが2023年には60にまで上昇したのが目立ちます。ちなみに海城は2011年に高校募集を停止し帰国生募集を始めているので、そこが転機になったと考えられます。
上位校はサピックス偏差値が一番実態を反映していると考えられ、その意味で難易度は再上昇していると見た方が良いでしょう。四谷大塚は50%偏差値があるので出していますが、それで見ても2021年から1ランク上がったように見えます。
ちなみに2024年は全ての偏差値表で1ポイント下がっており、近年の中では合格しやすい年だったと考えられます。
第2回の方は高止まりといった感じで、それほど難易度に変化はないように見えます。ただ、第1回の偏差値上昇により、第1回と第2回の差があまりなくなっているというのは言えるでしょう。
ちなみに2024年はサピックスのみが上昇となっており、全体的に易化したわけでもなさそうです。実際に難易度はどっちに変化した可能性があるのか、このあと別の角度からも分析していきたいと思います。
倍率も上昇中
続いて出願者・受験者・合格者の数と実質倍率を見てみます。
倍率は一貫して上がり続けてきましたが、2023年に大きく上がったあと2024年は下落しました。これが急激な難化後の一時的な反動減なのか、2023年をピークとしたトレンド転換なのかはもう少しウォッチしたいところです。
第2回も見てみます。
こちらも一貫して倍率上昇を続けていましたが、第1回と同じように2024年は大きく下落しました。特徴的なのは合格者数の大幅な上昇で、これにより倍率も大きく下がりました。
実は2024年②は採点過誤があり、合格者数が336→345人に増加したという特殊要因があります(海城学園Webサイトより)。ただそれがなくても、過去8年間で最大の合格者数を出していたので、ここから見れば第1回も第2回も共に易化した可能性が高いと見えます。
なお実際の入学者はどうなんだろうということで、合格者の実際の入学割合を歩留まりとして出してみました。
この数字だけ見たところで多いのか少ないのかよくわからないんで、同レベル帯の他校も出してみたところ、開成73%・麻布85%・駒東84%・武蔵98%・聖光63%・早稲田65%という感じでした(直近3年間の平均)。1回入試の学校はさすがに高いですが、2回入試の聖光・早稲田とはほぼ揃って同じくらいなので、まあ特別多いわけでも少ないわけでもなさそうです。(それにしても武蔵の高さは何でしょうかね。合格者と入学者の差が1人とかの年もあります。辞退者が少ないのはそうかもしれませんが、繰り上げ合格の存在ももちろん考えられるので、だとすると他校も含め、公開されている合格者数で色々考えてもあまり意味がないのかも。。。)
入試問題の分析
ここから実際の入試問題を見ながらの分析に入っていきます。問題に入る前に、まずは平均点などの数字を分析してみます。
平均点から難易度を見る
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