フルーツのサラダが食べられない
わたしはフルーツのサラダが食べられない。
大前提として、わたしはフルーツ自体は大好きだ。もともとフルーツの中ではマンゴーだけが苦手だったけれど、そのマンゴーも克服したのでおそらくすべてのフルーツをこよなく愛していると言って過言ではない。
でもそのフルーツを使ったサラダとなると、話は別だ。ちょっとおしゃれな感じのビストロとかに行くと、高確率で登場する、フルーツとモッツアレラとか、フルーツと生ハムとかをビネガーやオリーブオイルで和えたあれ。それがどうしても食べられない。
わたしは基本的に外食では、お腹がいっぱいで食べられないか、もしくは辛すぎて食べられない場合以外は残さないようにしている。(ちなみにこのふたつはどちらも胃腸が弱すぎるのが理由だ)フルーツのサラダはもちろん自分から頼んだりはしないが、同席したひとが頼んだり、コースなどで決まっていて出てくる場合もある。だからそういう場合は、お行儀はあまり良くないが、とりあえずフルーツ以外のものを食べて、あとでフルーツだけ分けて食べるようにしている。ドレッシングがかかったフルーツは正直言ってあまり好きではないけれど、他の食材と分ければどうしても食べられないことはない。でもなぜか、フルーツをサラダの食材の一種だとは、どうしても受け入れられないのだ。苦めの柑橘類ならぎりぎり許容できるので、もしかしたら問題は甘さなのかもしれない。
自分でもなぜそこまでフルーツのサラダが苦手なのか、理由はよく分かっていない。でもなんとなく、自分は味の許容範囲が狭いのかもしれないなと感じている。極端に味が強いものはあまり好きではないし、あまじょっぱいとか、甘辛いとか、甘さと他の味が同居しているものがわりと苦手だ。
子どもの頃から食べることは大好きだった。小学校の給食は人一倍おかわりをしていたし、友人の間では胃袋キャラで通っていた。でも食べられないものはすごくたくさんあったし、食べたことのないものは進んで食べるタイプではなかった。好き嫌いも多くて、とくに甘いものとどろどろとした食感のものがてんでダメだった。マンゴーが苦手だったのも、幼いころに飲んだおしゃれなカフェのマンゴージュースが、がつんとくる甘さなうえにどろどろしていたのがトラウマになったからだった。今思うとあれはそれなりに高級な完熟マンゴーのスムージーみたいなものだったのだと思う。
わたしは常々、もっと味と食感の許容範囲が広ければ、きっと食べられるものは無限に増えるのにと口惜しく思ってきた。結婚して分かったことは、意外にも食わず嫌いが多かったということで、これは嬉しい発見だった。結婚してからは我が家の料理担当の夫が、わたしが「食べたことない」「あんまり好きじゃない」と言ったものを積極的に普段の食事に取り入れてくれるおかげで、ずいぶん食べられないものが減ったし、当然好きなものも増えた。
ちなみにわたしが個人的に「これが食べられれば世界が広がるのにな」と思っている二大ジャンルは、カレーとコーヒーである。今のところカレーは食感と辛さがだめで、無印良品の「辛くないグリーンカレー」しか食べられない。コーヒーは体質的に合わないらしく、飲むと体調が悪くなるのでどうしようもない。でもひとり暮らし時代には、カレーが食べられたら食事を作るのが面倒なときにレトルトカレーで済ませられるのになとよく思っていたし、複数人で食事に行ったときに、自分だけ食後のコーヒーを紅茶にしたせいで(最近は紅茶をポットで出してくれるお店がかなり増えたので)なかなか飲み終わらずにいたたまれない思いをしたりする。
話はだいぶ逸れたが、フルーツのサラダがどうにかして食べられるようになったら、きっと世界は大きく広がると思う。きょう、今年初めての桃を買ってきた。これをセールで買ったモッツアレラとサラダにしてしまうか、それが目下の悩みである。