見出し画像

わたしの学び直し、あるいはコンプレックスについて。

ずっとコンプレックスを抱えていることがある。フランス語だ。

わたしは外国語大学でフランス語を専攻していた。といっても成績は底辺で、留学のために卒業を先延ばしにして、6年かかってようやくなんとかフランス語の単位を取り切った。外国語大学という性質から、周りは語学の得意なひとばかりで、もとから英語すら別に周りよりできたわけではないわたしは、縮こまって影のように大学に通った。

もちろん真面目に勉強していなかったのが一番の原因ではあると思うけれど、どうしたらフランス語ができるようになるのか、6年かかっても分からなかった。卒業して4年、つまりフランス語を勉強し始めてから10年経ったいまでも、やっぱり分からないでいる。

わたしの夫は語学が得意だ。歴が長いことを差し引いても、フランス語もわたしよりずっとできるし、英語も昔はわたしのほうができたかもしれないけれど、いまではとても追いつかない。彼はそれ以外にもロシア語とかスペイン語とか、いくつもの言語を話せる。マルチリンガルといっていいだろう。

夫以外にも、それなりに長くフランスで生活していると、フランス語のできる日本人の知り合いというのは何人もできる。第二外国語でかじった程度でフランスに来て、ほんの2、3年しか勉強していないのに、フランス語をぺらぺら話すひとも多い。そういうひとたちの前では、恥ずかしくてフランス語を話す気にもなれない。

もともとわたしは英語は耳から入った人間だった。母が趣味でずっと英語を勉強していて、幼いころ家ではいつも英語のラジオやドラマが流れていた。だから学校で文法を勉強するよりもずっと前から、英語のリズムが耳に染みついていた。なんの英才教育か知らないけれど、漢字もろくに読めない頃から字幕で洋画を観ていたのもよかったのだろう。高校生で進路を決めた頃も、たまたま当時ドラマ「glee」にハマっていた影響で、毎日のように「glee」の録画を繰り返し観たり、スピンオフ小説を原書で読んだりしているうちに、自然と英語ができるようになっていた。そのおかげで受験や資格試験でも、リスニングで苦労したことは一度もなかった。

そういうふうに自然に英語を身につけてしまったからかもしれない。フランス語をどうやって勉強したらいいのか分からずに、わたしはいまだに途方に暮れている。

そうは言っても、下手の横好きとはいえ、語学愛はいっぱしの外国語大学生らしくある。学生時代にはドイツ語やフィンランド語もかじったし、目下韓国語も勉強中だ。いつかロシア語も勉強しようと教材は揃えてある。機会があったら勉強したい言語は他にもたくさんある。

わたしが言語を学ぶ理由は、字幕なしで映画が観れたり、翻訳されていない本を読んだりすることができるようになりたいからだ。つまりわたしにとって言語は他人とのコミュニケーションツールではなく、趣味のための道具といっても良い(もちろん映画を観ることや本を読むことも、広く言えば他者との交流ではあるけれど)。だから話せるようにならなくても、極論では良いはずなのだ。でもそれではやっぱり少し寂しい。

せっかくこれだけ長くフランス語に触れて生きてきたのだから、胸を張ってフランス語ができると言えるようになりたい。フランスに住んで通算3年が経とうとしている。まだもうしばらくフランス語圏での生活は続きそうな見込みだ。いまを逃したらきっとこれ以上のチャンスはないだろう。本腰を入れて、フランス語を学びなおすべき時が来た。

目標は、2年以内にDELFでB2を取ること。ほんとうは今年までにB1を取りたかったのだが、住んでいる街の試験日程と合わなかった。だからもう一段階上を目指してみようと思う。この2年間、語学学校に通ったり、Duolingoをやってみたり、フランス語でドラマを観たり音楽を聴いたりしてみた。亀のような歩みでも、進歩している実感はある。まずはもう一度語学学校に通ってみたい。それからフランス語でもっとどんどん本を読んでみたい。自分の好きなことから勉強するのが一番の近道だろう。

きっと大丈夫。わたしならできる。そう信じている。



韓国語の勉強についてはこちら。

フランスでの生活を日記に綴っています。


いいなと思ったら応援しよう!