男性中心の会社での出産

昔々、まだ育休が制度化されていなかった頃のお話です。

「結婚する」と言ったら「退社する」と思われた経験から、「出産します。会社は辞めません」と、常にセットで話した。

つわりはひどくなかったが、お腹は結構大きかった。当時の女性の制服は白衣で、ダブルの白衣をシングルにして着ていた。(ちなみに男性は白衣ではなく作業着だった)

後で聞いた話では、「あんなでかい腹をして会社に来るなんて、風紀が乱れる」と言った人がいたそうだ!!
(何を想像してるんだ!)

デカイ腹を抱えて出張にも行った。設備の立会いにも行ったし、お客様との打ち合わせにも行った。懇意にしていたお客様で、打ち合わせの後食事した。お客様の会社の近くの店だったため、何人かの会社の人に目撃されたらしい。「なんか、お腹の大きい女の人と話していましたね」と、酒の肴にされたらしい。

産休で休むからには仕事を整理して、職場の人に引き継がなくてはいけない。トータル3回産休を取ったのだが、整理する良い機会となった。

一人目の時は、育休制度はなく、産休明けで預かってくれる保育園に最後の一人で入れて、保育園スタートした。

産休明け初日。会社での感想はとてもよく覚えている。「赤ちゃんと二人の生活よりも、会社で働く方がずっと楽ちん」
赤ちゃんとの生活は予定が立たないが、会社は大人同士だから、「後で」がきく。家では赤ん坊に泣かれてトイレを我慢したりすることもあるが、それがない。

というわけで、二人目以降は育休制度が出来たにも関わらず、産休のみを選択したのでした。

学校の先生は、2年の育休が認められていて、育休の間に出産して、何年も休む人がいる、と聞くと、不思議な気持ちだ。

一方、私より前の世代では、産休のみでも職場に遠慮している。後で中学時代の恩師に会って話す機会があり、「いいわね。私も子どもが3人欲しかったけど、職場への遠慮で二人が限界だった」と言われました。

私は二人目と三人目の産休の時、同じ人に仕事の引き継ぎをした。彼は「またか」と思ったかどうかわからないが、何年かしてから、あの時は世話になったねと話をすると、「えっ 子ども3人もいるの?」という返事だった。自分で思うほど他人は気にしていないかもしれない。

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