男性職場で
就職した会社は9割男性の会社だった。
(今はもっと女性が増えている)
そして、女性は、ほとんどが高卒で、20代のうちに結婚退職するのが通例だった。(今は違う)
その中で数少ない総合職女子に私はなった。
幸いだったのは、配属された部署には女性が一人もいなかったことだ。
一般職女子がいる職場に配属された総合職女子は、総合職男子と同じ仕事をしながら、お茶汲みや給湯室掃除などをするのが当然と思われている生活に疲れていた。
私の職場では、誰もがもともと自分でお茶を入れていたのでお茶汲み問題はなかった。
ハラスメントという言葉が一般化する前の時代。休憩室ではエッチな話題も多く、スルーする技術を求められた。職場に貼ってあるカレンダーは女性ヌード写真のものが必ずあった。これもスルー。
歳の離れたオジサンは、大抵親切だった。社会人になっている自分の娘と重ねることもあったのだろう。
歳の近い男性が一番厄介だった。
数歳上の先輩は、「将来さー。女性の管理職とか出てきてさー。自分の上司だったらイヤじゃない? ◯◯しなさいとか、女性に、命令されるんだよ?」と別の男性に話しているのだ。私の目の前で。私はまだ新入社員で、上司・管理職などの言葉が自分と重なりはしなかったが、「この人はなぜ私の前でこんな話をするのだろう?」と思いながら無表情に、聞こえないふりしてその休憩室にいた。
後から配属されたほぼ同じ歳の男性はもっと厄介だった。何かと対抗心を燃やして反対したり議論を仕掛けてきたりするのだ。あるきっかけで彼が静かになるまで、ずっと面倒な存在であり続けた。
男の嫉妬ほど厄介なものはないという説には今も深く同意する。