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「十五夜を待つ宵と宵待草」    *言の葉Break9/14*

待てど暮せど 来ぬ人を
宵待草のやるせなさ
今宵も月の出るそうな

9月17日は、いよいよ十五夜ですね。
旧暦でいうと8月15日となりますが、

暦の上の秋は、7月、8月、9月ですから、
ちょうど真ん中の日にあたる、
この日は、中秋の名月ということになります。

稲穂に見立てたススキと、
旬の野菜、お月見団子をお供えして、
望月を待つ宵は、

月を待つかの如く、
ひっそりと花を咲かせる、
月見草の美しい頃、

大正浪漫を代表する画家・詩人でもある竹久夢二によって創られた、
詩歌「宵待草」は、この頃になると、
ふと思い出される美しい唄なのですが、

月見草のまたの名を、
「宵待草」と申します。

「ほのかな」「静かな恋」など、
儚く優しい花言葉を持ち、
日没とともに咲き、
夜明にはしぼんでしまう、
1日花でございます。

「待宵」まつよいという言の葉は、
「来ることになっている人を待つ宵」という意味があるそうで、

「宵待草」とは、
本当に美しい呼び名であり、
月見草の淡く優しい黄色は、
お月様を恋しがるがゆえに、
お月様と同じ色に、
染まってしまったかのような…、

可憐で、少し哀しげな秋、
そのものをあらわすようでございます。

今はもう会えない人、
今は会えないけれど、
いつか又会えるであろう人、
過ぎた時の中の思い出の場所、

それは、「今はむかし」という世界を、

望月を待ちながら、
想いを巡らせながらおりますと、

今と過去が、同じ場所にあるようで、

お月様の中にも、
「今はむかし」があるようで、
不思議な時を感じることがございます。

昭和の頃まで残ったという風習に、
「月どろぼう」というものがございまして、もしかすると密かに今も続けられている集落があるやもしれませんが、

お月見のお供えを、近所の子ども達が、
こっそり庭から忍び込み、
好きなだけ持ち帰るというもので、

すべてなくなることが、
縁起の良いこととされました。

お月見の晩、子どもたちは、
お月様のお使いであると考えられたそうです。

微笑ましく、のどかな農村の風景が浮かんでまいります。


さて今宵も月を待ちながら
月を真澄鏡に
会いたい人を訪ねるといたしましょう

いつもありがとうございます
素敵な十五夜となりますように…


感謝の心をこめて
素敵な週末を…☘

またお会いする日を待ちながら…🐝


*…………………………………*

参考資料

ふうちゃん様 イラストより
いつもありがとうございます☘

安田登先生著
「あわいの力」

山下景子先生著
「美人の日本語」
「美しい暦のことば」

白井明大先生著
「旬を楽しむ日めくり七十二候」














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