「カラカラと星の音」*言の葉Days*1/11
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カラカラと凍み蒟蒻や白々と
森八七菜
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凍みこんにゃく
(しみこんにゃく)
冬の季語
寒い地域に残る
蒟蒻を長期保存するための方法
茹でたこんにゃくを軒下につるし
冬の寒暖差と乾いた風に
あてることで水分が抜けて
1ヶ月もすると
シワシワ・スカスカ・カラカラとなる
食べる時にはお湯で戻し
薄くスライスしていただきます
「白々(しらじら)」
平気でしらばくれたり
見え透いたことを
言ったりする様子
(ここではこのような意味で用いている)
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凍える寒さの中
週末を迎えようとしている
「冬」
まさに「冬本番」
本日も先日
目にした新聞の記事より
詠んだ一句を
ご紹介したいと存じます
「凍みこんにゃく」なるモノを
わたくしは
いまだ見たこともなく
もちろん
食べたこともないのですが
岩手県
タイマグラ集落に住む
安部智穂さんの記事を読み
気分は氷点下10度
雪かきをする家族を見守りながら
台所仕事をする
そんな主人公になりながら
詠んだ一句です
雪景色を窓越しに眺めると
軒下には糸にしばられ
吊るされた「凍みこんにゃく」が揺れる
どんどん深くなる雪に
夜の闇が迫る頃
冷たい風に揺られ
隣り合う「凍みこんにゃく」が
ぶつかるたびに「カラカラ」と
乾いたかるい音を立てている
耳を澄ませ
聴こうとするけれど
そこに「命」の音は聴けない
「冬」の使者がすこしづつ
「凍みこんにゃく」の「命」を
連れ去ってしまった
「命」そのモノを失った
「凍みこんにゃく」から
聞こえる音はかるく
「白々」として
とても冷たく聞こえる
それはまるで…
現代の「フェイクニュース」のようで
すこしだけ
恐ろしくもなる
「カラカラカラ」
夜空には
尖った星がいくつか見えはじめた
もう一度
耳を澄ませてみると
まさか…
「冬」は
夜空の星の「命」までも
連れ出し
星が鳴る音ではないのか…
ゆえに「冬の星」は
冷たく光り尖っている
「カラカラカラ」と
白々しく鳴るようで辛くなる
いつもなにかを疑いながら
生きてゆかなくてはならない
現代の情報社会に疲れてしまう
そしてそんな世の中を
「冬の星たちは白々と見下ろしている」
記事には
「表現難しい無二の食感」
そのように
「凍みこんにゃく」のことが
紹介されていた
ぜひ
一度食べてみたい
すこしだけ
暮らしのスピードを落として
週末を過ごしてみませんか?
感謝の心をこめて…
お聞きください
いつもありがとうございます
深謝☘
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参考資料
「ふうちゃん様 イラストより」
素敵なイラスト
ありがとうございます☘
「季語歳時記」
「凍みこんにゃく」
読売新聞朝刊1月8日
「里山のお品書き」
安部智穂さんの記事より