「エリンギ」＊掌size小説＊

お次の方どうぞ…。

お待たせいたしました、
色々な検査お疲れ様でした。

検査の結果が出ておりますので、
ご説明いたしますね。

その後、体調はいかがですか？
なるほど…、

やはり数値を見てみますと、
極端に少ないのですよ、

これでは、お辛いと思います…。
汗をよくおかきになるのは、
そのせいでもあるのですよ。

すべては「拍子・ひょうし」のせいになります。
「間・ま」の数値は、
残念ですが、もうないに等しく、

今の医療では、増やすことはできません。

ただ、このまま、
お辛い症状が続くようでしたら、
補充療法というのをお勧めいたしますが、いかがですか？

中には、数値が少なくても、
平気な方もおいでになりまして、

まったく治療をせずとも、
お過ごしになる方もおられるのですが…、

もう少し「拍子」と「間」のことを、
お知りになりお考えいただくのは如何ですか？

そうですね、では今日はこれから、
栄養指導のご予約をお取りして、
これからのことを、ご相談いただくことにいたしましょう。

では、準備が整うまで、待合室でお待ち下さい。

それでは、これから栄養士の先生がまいりますので、

お部屋はこちらでございます、
しばらくお待ちください。

トントン…

こんにちは、はじめまして、
栄養士の榎木と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

今日は「拍子」と「間」のことについて、ご相談ですね、

なにかご質問などございましたら、
ご遠慮なくお申し付けください。

まずは、こちらをご覧ください。
簡単にイラストでご説明したものになります。

「拍子」というのは、
こちらにありますように、
「呼吸・リズム・タイミング」のことをいいます。

カラダだけではなく、世の中すべてが、
この拍子により調和しておりまして、

けして目には見えませんけれど、
その存在は古くより研究がなされております。

例えば、「武芸・管弦音楽・能の舞」など、お聞きになったことがおありのことと存じます。

もしかすると、ここにあるように、
体験されたことがおありかもしれません。

よく知られておりますのは、
「とんとん拍子」でしょうか。

今まで、あまりお気になさらずに、
来られたかもしれませんが、

実は「拍子」によっては、
繁栄したり、衰退したり、
体調を崩したりと、

大変重要なモノで…。
「拍子」を、ないがしろすることはできません。

そして「拍子」がうまく調和するためには、「間」が必要になります。

けれども、「間」は、ご存知の通り、
歳を重ねるごとに、少なくなるのです。

若い頃は気にしなくても、
自然にコントロールされておりますが、

緩やかに数が減り、暮らしに違和感が出てまいります。

例えば、タイミングが悪いことが続いたり、それゆえにあわててみたり、
そうしているうちに、イライラが積もり、体調に変化を感じてまいります。

ひと言で申しますと、
「間が悪い」が続くということで、

そのせいで、汗をかきやすくなったり、
寝付きが悪くなったり、
不調を感じる方がいらっしゃるということなのです。

補充療法のお話になりますが、
そんな「間」を補うには、

「エリン気　エリンギ」という、
特殊なキノコが良いという研究が進んでおります。

まずは、こちらをバランスよく、
お肉、お魚、お野菜とともに、
召し上がっていただきます。

「エリン気」の中に含まれた、
「気」が、「間」の役目をし、

カラダを整えながら、
自分自身に合う「拍子」とは何かを
見つける働きをいたします。

合わない「拍子」は避け、
「間」を取りながら、
相手の「拍子」に乗ることなく、

心地よい「拍子」というのを、
見つけるお手伝いをするという、
そのようなモノとなります。

ここまでのご説明で、
ご質問などはございませんか？

はい、
「エリン気」は緩やかに効くモノなので、およそ1年から2年、続けていただくことになります。

「すき焼き」、「カレー」、
「シチュー」、メニューはお好きなモノで、そのままソテーし、塩コショウでいただくのも良いですし、

中華風スープに入れると、食感が貝のようで、私はスキなのですが。

「エリン気」、今まで召し上がったことはございますか？

そうでしたか…。
大丈夫ですよ、これからゆっくりと、
召し上がっていただけたら、
ご安心ください。

それでは、今日から無理せず、
美味しく召し上がりながら、

軽いお散歩、早寝早起き、こちらは、
できる範囲でお願いいたします。

最後に、大切な副作用について、
ご説明いたします。

はい…。
食べすぎてしまいますと、

不溶性食物繊維が多く含まれる、
「エリン気」は、便秘を解消し、
腸内環境を整えてくれる一方で、
摂り過ぎると、かえって便秘が悪化する場合がございます、

もしそうなった時は、
残念なことに、
「間ぬけ」となってしまいます。

ここだけはご注意ください。

あくまでも自然に、
ありのままが大切でございます。
適量を召し上がってください。

ご説明は以上となりますが、
次回は３ヶ月後、ご予約をお取りいたしますね。

様子を見ながらまいりましょう。
ではこの後、地下へ降りていただきまして、売店にお立ちよりください。

「エリン気」を販売いたしておりますので、

ではお気をつけてお帰りください。
３ヶ月後、お待ちいたしております。

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参考資料

貧乏絵描様
記事　「野菜（エリンギ）」より

「五輪書」宮本武蔵
現代語訳　城島明彦著

ふうちゃん様　イラスト
ギャラリー｜検索は「ふうちゃん116」
いつもありがとうございます

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「間」というものが、
なくなると大変なことになりますね…。

人と人の間にも、「間」が必要で、
間があるからこそ、
「人間」でいられるのかもしれません。

「間」と書いて、
「あはい・あわい」という読み方もあるそうで、向かい合うもののあいだ、
二つのものの関係とい意味を持つと申します。

「あわい・間」、見ることは叶いませんが、確かに存在し、

この世の中だけでなく、宇宙、
生きとし生けるモノのすべてを、

「拍子」でもって、
調和させているのではないかと…、

野菜室の「エリンギ」を見つめ想う、
秋浅し頃でございます。

素敵な秋の午後を…‥…
　　　　　　　　　　深謝☘