褒められる、褒めるということ
「私はほめられるのキライ。だから人も褒めない」
「子どもは褒めたらスグ図に乗る。だから褒めない」
これは母の言葉。
子どもの頃からいつも聞かされていた。
なので母から褒められたことは一度もない。
ズボラでだらしない私のどこに褒めるところがあるの。ということらしい。
母から「ありがとう」と言われたこともない。
あれは小学校3年生の時。
母の日が近くなると、学校内に『お母さんありがとう』と書いたカーネーションの造花を売りに来ていた。友達はみんな買っていた。
子どものお小遣いで十分買える安い物だった。
そして私も買った。
それにガーゼのハンカチを添えて、母の日の朝、まだ寝ていた母の枕元にそっと置いた。喜んでくれるかな・・・
母の笑顔をちょっとだけ期待した。
何もなかった。
母は何も言わなかった。
そんな物が枕元にあったことにすら、ふれることもなかった。
高校生の時初めてアルバイトをした。
そして初めての給料日。母にスカーフを買ってプレゼントした。
母はスカーフを見て一言。
「地味やな」
それだけだった。
今でもあの時のスカーフが地味だったとは思わない。
母は気に入らなかったんだな。
と、ただそれだけを思うようにした。
当然そのスカーフを使ってくれたことは一度もなかった。
親から褒められたことがなく、「褒める」ということがどういうことなのかよくわからずにいた私は、それを自分の子どもから教わることになる。
その時にはわからなかったまだまだ先の話。
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