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突然あがり症になったあの日

私があがり症になったのは
中学3年生の時でした。

それまでは林間学校で司会をしたり、
教室でもふざけてばかりいる
目立ちたがり屋の少年でした。

そんな私が突然
あがり症になったのです。

中学3年生の時、
私の前の席にMさんという
女の子がいました。

Mさんはとても頭がよく、
クラスでも学年でも常に成績が
上位の子でした。


ある日、国語の授業中に
右側の一番前の席の子から順番に
教科書を読むことがありました。

私は右から2列目の前から5番目の
席に座っていました。

ひとり…またひとり…
と順番に教科書を読み進めていくと、
私の前のMさんの順番になりました。

私は当時はお調子者でしたので、
当てられたくないという気持ちより、
むしろ早く読みたいという気持ちで
自分の順番を待っていました。

すると、前から

あぁ…

うぅ…

と声が聞こえてきたのです。

私が顔を見上げると、
そこには固まっていたMさんの姿が。

その後ろ姿からはどこか
震えているようにも見えました。

その後、ゆっくりと教科書を
読みはじめたMさんの声は震え、
一瞬で教室の空気が変わるのを
感じました。

教室に何か張り詰めた空気というか、
何とも言い表せない時間が流れました。

そして、待ちに待った私の出番
・・・のはずでしたが、

いざ教科書を読みはじめると、
うまく言葉が出ないのです。

なんだこれ?
と感じながらも何とかその場は
やり過ごすことが出来ました。


そして、次の国語の授業。
また、右側の一番前の席の子から
教科書を読みはじめました。

ひとり…

また、

ひとり…

と自分の順番が近づくにつれ、

心臓が大きな音を立て、

息づかいがあらくなり、

今まで感じたことがない
感覚に陥りました。


そして、Mさんの順番がきました。

Mさんが前回と同じように
声を震わせながら
教科書を読みはじめると

教室の中は、また何とも言えない
緊張感に包まれました。


そして、自分の番がきました。

私が教科書を読みはじめると

心臓の音がさらに大きくなり、

Mさんと同じように声が震え

手足も震え

そして、
頭の中が真っ白になったのです…

これが
私があがり症になった瞬間でした。

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