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短編小説『ベルガモット』③

母は本当にいい人だった。
道に咲く花に立ち止まって微笑むような人だった。
かといって、頭の中お花畑みたいな人じゃなかった。苦労を知らない箱入り娘でもなかった。

物心つく前に実母がいなくなり、アル中の父親から殴られて育った。
結婚はしたい人とできずに、父親がある日突然連れてきたよくわからないのと一緒にさせられた。それでも子供は欲しいとねがっていたけど何度も流産して、もう諦めかけた頃やっと無事に私を産んでくれた。

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