*フィクション* 明日、キミと。
月曜から また 仕事が始まる
職場には キミも来るだろう
フレックスも使わず 半休も使わず 私と勤務時間は
一緒だろう
同じフロアで働き出して 何年過ぎたか
話す機会は だいぶ増えた
けれど フロアから離れたら まるで他人の関係だ
もしも駅ですれ違ったときに声をかけても 許してくれるだろうか
このまま二人の関係が なにもかわらず 静かに時が過ぎるのも悪くない
なにも望まないのも 自分らしくて それもいい
たまにキミが話す 個人的な悩みは いつでも聴く体勢を整えておこう
もちろん聴くだけだよ お節介はしない
でももしも 君の方から なにかを望むのならば 喜んで力をかすよ
最近 暗い顔をしているようだったので
廊下で声をかけたら
『今はまだ 上手く言えないから なにも言わない』
そう言った 君の気持ちが 掴めないんだ
個人的な問題なのか それとも力になれることなのか聞き返せずに終わった自分は 勇気が足りなかったよ
『言わないことを決められるのは スゴイ事だよ』
__キミのことを肯定するフリをして
意気地のない自分を守ったんだ
申し訳ない
明日 またキミと会えると思うと 年甲斐もなく 嬉しくなるんだ
自分がくだらない 冗談を言ってでも やっぱりキミ
には笑っていてほしい
話は いつでも聴く それは約束するよ
今 一番恐れているのは キミと二度と会えなくなるということだろう 単純に。
また 明日、 キミと。