痛みが希望になると信じて
左目に硝子体注射をしてきた。
私の眼の奥には、生えてこなくても良い血管が生えてきてしまって、それが視界を邪魔するのです。
(診断では点状脈絡膜内層症(PIC)という病名がついています)
強近視の人がなりやすい傾向にある病気だそうです。
そのいらない血管が生えてくる前に、予防をしたいところですが、生えてきたら成長を止めるという方法しか今のところ無いようで。
この疾患で、かれこれ5年以上通院しているので、目薬とかでなんとかできたらなぁ…と思うのですが、
注射をして視力の悪化を抑えられてるなんて、とてもすごいことなのでは?と、ふと思いついたのです。
例えば、50年くらい前に私と同じ症例の人がいたとして…
眼科に行ってみたけれど、なんだかわからないですね、という診断で終わってしまった人や、
(実際、私は3つ目の病院でやっと診断がおりました)
もしくは、じゃあこの薬剤で注射してみますか?
で、良い結果が出ずに失明してしまった人もいたかもしれない…
今まで色々な方の症例を見て、薬の開発や、医療の現場に携わってきた人、患者さん、そういう人達の様々な思いの積み重ねが、今日の私の注射につながっているのでは…!
だから、注射は嫌で嫌で仕方なくて、何日も前から、注射の事を思うと気持ちが落ち込んでいたけれど、私の症例と結果と、これからの状態などが書かれているカルテが、どこかの誰かの希望になってくれると良いなと思いました。
そして、切実に痛みが希望になると信じている話しがもうひとつ。
私の母は膵臓癌で約2年以上闘病中です。
がんセンターで入院中、主治医の先生の他に研修医や若い先生が
一緒に診察に来ることがありました。
母は、『若い先生がぞろぞろついてきてメモを取ったりして、落ち着かない』なんて言っていました。
けれど思い返してみると、初回の診察の時、先生から抗がん剤の事や、副作用の事を教えてもらっている時に
効果がどのくらいあって、副作用でこんな症状が出ますよっていう話は、
これまで、治療を頑張ってきた患者さんがいるからわかる事で。
抗がん剤の効果と副作用と、予後は個人によって違うので、10人いたら同じパターンになることはないと言われました。
それでも、がんが小さくなって、手術できた人もいますよ、なんて話は大きな希望になりました。
今までの母の頑張りも、これからの母の生き方も、どこかの誰かの希望になる。
そう思うと穏やかな気持ちになれます。
母の話と比べると、小さな話になりますが、もし、私の今日の注射が視力回復に大きな効果がなかったとしても、将来的にどこかの誰かの研究に役立ったり、注射に挑む誰かの希望になってくれたら!
でも、どうか良い効果が出ますようにと願うことも忘れずに…
おやすみなさい。