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「猫も人も幸せになる」猫共生アパートを追求の巻
7月17日の集中ゼミナールで「猫と本」を中心に据えた物件にするという方針に転換しましたが、19日にはジミーさん、鹿島さん、キッチーの「TAKURAMI不動産」のメンバー3人が5月以来、集まってくれて、「大家の学校」でインプットしたことをアウトプットして整理する場を設けてくれました。
「大家の学校」で「循環」はテーマから下ろすこと、「なりわい暮らし」は結果として「起こる」くらいとして、自由度の高い、余白のある設計にしておいたらいいといった話があったことを話しました。
また、猫の管理について、安藤さんから「自分が住む」ことで解決できるという話があったことを話すと、猫好きの鹿島さんから「最初は水島さんたちが住むなりして、まず自分で管理してみるのがいいかもしれない。また、猫と住むことで何がいいのか、メリットを考えてみることも必要。猫がいる風景を夫婦二人でイメージを出して、想像を形に落とし込むことで設計に活かしやすくなる。それから、猫と住みたい人の要望などを集めてみては」などのアドバイスがありました。
同じアパートに住むことで猫友達ができるといった利点もあり、僕もゆうさんも、このアパートに住んで、夜も猫の世話をすることができるようにするのがいいかなと考えるようになりました。
このアパートでは「猫と人が互いに助け合う」といったコンセプトを検討することにし、さらに鹿島さんから保護猫活動をしている建築家で『猫と住まいの解剖図館』という本も書いているいしまるあきこさん紹介してもらうことになりました。『猫と住まいの解剖図館』は大きな本屋でいろいろ猫と住まい関係の本を探す中で、一番よさそうで買った本だったので、いしまるさんを是非とも紹介してくださいとお願いしました。
7月25日には大塚の東京キャットガーディアンを訪ねました。15年間で9700匹の保護猫を譲渡しているという団体で、代表の山本葉子さんに話を聞きました。猫がいるコワーキングスペースについては、猫のストレスとなるためあまり賛同できない、保護猫カフェは里親探しのためにやむを得ずやっているとのことで、「猫がいるコワーキング」については好意的ではありませんでしたが、猫が喜ぶようなアパートの設えについては、色々なアイデアを教えてもらいました。
8月3日は、保護猫活動を行っている黛純太さんが携わった越谷の賃貸アパート「necotto」を見学しました。黛さんにオーナーさんを紹介いただき訪ねたところ、快く受け入れていただき、とても丁寧に説明していただきました。
「necotto」は単身女性専用アパートで、共同の玄関を入ると住民専用のラウンジがあり、そこのオーナーさんの2匹の猫がいます(オーナーさんは近所に住んでいます)。ラウンジでは住人さん同士のコミュニティができていて、それぞれの猫をラウンジに出すこともあるとのことで、計画中の物件でも住民用のコミュニティスペースとしても援用できそうだと思いました。
8月9日には一級建築士で保護猫活動も行っているいしまるあきこさんを訪ねました。早川さんも建築関係のつながりでいしまるさんと面識があるとのことで、同行してもらいました。いしまるさんに会う前に、猫がいるコワーキングについての構想をメールで伝えて、いろいろな事例を教えてもらいましたが、不特定多数の人が出入りすると猫にストレスがかかり、寿命が短くなることもあるとのことです。
羽田にあるいしまるさんの保護猫シェルターでは人懐こい猫だけが部屋を歩いていて、ほかの猫はケージから出ませんでした。やはり猫にとっては、知らない人がいるだけでストレスになるようです。いしまるさんとしては、コワーキングは人数や時間をかなり制限すればいいかもしれないけれど、物理的に人と猫が触れ合わないようにガラスなどで仕切りをつくるかたちをお勧めするとのことでした。
越谷の「necotto」でいいなと思った住民用のラウンジについては、住民の猫も出てくるようなかたちは、猫のマーキングなどの問題があるので、絶対にやらない方がいいと言われました。その代わり、一棚ライブラリーの営業時間外などに、住民さんの集まれる時間を設けることで代用できるかなとも思いました。
現在、ゆうさんが愛玩動物飼養管理士2級を取得する勉強をしていて、それが取れれば、さらに講習を受けると猫のシッターの資格も取れるとのことで、住民さんが旅行する場合などに、正式にシッターとして猫の世話をすることができるようになると教えてもらい、それを目指すことにしました。
「2階の窓から猫が外を覗いたとき、木にとまっている鳥が見えたりすると喜ぶ」など、猫が喜ぶ家づくりに詳しいいしまるさんには、今回のプロジェクトの建物の猫部分について、アドバイザーや監修など何らかの形で協力してもらうことにしました。
いしまるさんに相談した後、猫のストレス軽減のため、猫との触れ合いは極力少なくする方向で検討することにしました。基本的に、うちで飼っている猫がガラス越しに見られるような形として、別室のようなところにコワーキングの利用者が個別に入ることができ、猫と触れ合うことができるような形はどうかなど、考えていくことにしました。
さらに、「猫に癒されながら仕事ができる」という状況が実現できない場合、猫がいないのであれば、そもそもコワーキングを設けることが必要かどうかといった話となり、一棚ライブラリーにイベントができるスペースを広めに取り、開業した後にコワーキングにすることも可能にしておこうかといったことも早川さんと話しました。
8月16日には黛さんとリモートで打ち合わせをしました。事前のメールで、猫のストレスがないようなつくりにしたいと伝えたところ、「猫のストレスに関しては、保護猫カフェなどが配慮しながら行っているので、その点だけ押さえられればクリアできるか」といった返事あり、「仕事をしながら猫に癒される空間はいいと思うので、自分たちがやりたいことを進めていってみては。動物愛護法などに触れない範囲で、やりたいことを、できる方法から始めてみるのがいい」とのアドバイスがありました。
そうすると、飼い主以外の人が出入りするスペースに猫がいることになるので、人慣れしている猫を探すことになります。保護猫団体としてはOKしないところが多いだろうけれど、了解するような保護猫団体を探す場合、黛さんも協力していただけることになりました。
8月19日は平塚の保護猫カフェ「にじのはし」に行ってみました。「にじのはしは」ペット葬儀の会社が新しい猫を求める人が多いことから始めた事業だということで、かかりつけ医の獣医さんもいて、とてもしっかしとしている印象でした。
お店には平塚、小田原の保護猫団体から猫が来ていて、この日は子猫8匹、成猫8匹がいました。比較的、子猫の方が人懐こく、出てきていて、成猫は寝ている猫が多いそうです(写真の猫も)。計画している物件について話をすると、保護猫団体ごとの考えがあるだろうから、譲渡会に行って話してみるのがいいのではとのことでした。
また、「にじのはし」の近くに8月にオープンしたばかり猫カフェがあり、そこも寄ってみました。1階がカフェ、2階が猫カフェで、この日は猫が6匹いました。みなブランド猫で、病気などでペットショップに引き取られなかった猫を病気を直して店に出しているとのことでした。希望があれば、20万、30万するような猫が2万円+ワクチンやその他費用で販売するとのことです。
スタッフ的には、引き取り手が見つかって猫が幸せになってほしいとしきりに話をしていました。後でHPで調べると、福祉関連の会社が経営しているようで、障がい者従業員なども募集していました。猫に関するさまざまなケアや事業があるのだと考えさせられました。
と、長々書きましたが、7月の集中ゼミ以後の1ヵ月は、「猫も人も幸せになる」猫共生アパートの実現に向け、猫に関するさまざまな場所を訪れました。