ダイレクトリクルーティングにおける人材要件定義の進め方
ダイレクトリクルーティングを運用する中で、
・現場が求めている人材要件がはっきりしない
・人材要件を満たす候補者が書類NGになる
といった問題に直面した経験はありませんか?
このような場合、人事と現場(採用部門)で「人材要件の認識が合っていない=人材要件定義ができていない」ケースが多く、そのままの状態で採用活動を続けていても採用成功する可能性は低いです。
実は、人材要件定義にはいくつかポイントがあり、それを踏まえた上で現場と認識をすり合わせることが重要です。
今回のnoteでは、ダイレクトリクルーティングで採用成功している企業が実際に行っている人材要件定義のやり方をご紹介します。
人材要件定義とは?
人材要件定義は、「どういった経験(スキル)を持った人を採用のターゲットにするか?」を決めることです。
その際、必ず現場とすり合わせを行ってください。これを怠り人事の意向が強い人材要件を設定してしまうと、冒頭で触れたような「人材要件を満たしているはずなのに選考NGが多発する」という状況に陥る可能性大。
人材要件定義に苦労している方は、
1: 人材要件のヒアリング
2: 候補者のリサーチ(人数・年収・年齢)
3: 市況感のインストール
4: 要件の優先順位づけ
5: ターゲット決定
の順序で進めてみるのがおすすめです。
それではここから、各プロセスについて詳しくお伝えしていきます。
1: 人材要件のヒアリング
まず初めにやるべきは、現場スタッフから求める人材要件をヒアリングすることです。
経理担当者を採用したい場合を例にすると、「経理経験5年以上」というざっくりとした要件ではなく、何を解決するための採用なのかをすり合わせながら、以下のように仕事内容・スキル・知識レベルで細かくヒアリングするのがポイント。
現場からは「人が足りない!」と声が上がると思いますが、その際に、人員不足により発生している事象(または、発生する見込みがある事象)や、その解決のために必要となる経験・スキル・知識について具体的にヒアリングしていくと人事と現場がそれぞれ納得しながら採用活動のスタートを切れます。
続いてのステップは少し時間がかかるため、ヒアリングが完了したら一度持ち帰ったほうがスムーズに人材要件定義を進められると思います。
2: 候補者のリサーチ(人数・年収・年齢)
ここでは大きく3パターンに分けて候補者をリサーチするのがポイントです。
1.全ての要件を満たす候補者
2.各要件を単体で満たす候補者
3.各要件を複数満たす候補者
(「月次決算ができる+年次決算ができる+会計システムの使用経験がある」候補者、「月次決算ができる+年次決算ができる+Excelスキルがある」候補者、などのパターン)
候補者のリサーチ方法は色々あると思いますが、今回は比較的多くの企業で実践されている方法をご紹介します。
(1)スカウトデータベースで調査する
ビズリーチやdoda Recruiters、LinkedInなどのスカウトデータベースを利用している場合は、ヒアリングした要件をもとに検索条件を組み立て、候補者の人数・年収・年齢を調査ができます。
(2)人材紹介会社に調査依頼する
人材紹介会社によって対応可否は異なると思いますが、当社のダイレクトリクルーティング支援をご利用いただいてるお客様の中には、実際に人材紹介会社から候補者の属性データを入手している事例もあるため、一度取引している人材紹介会社に確認してみるのも良いと思います。
リサーチ結果は後ほど現場スタッフと共有するため、表やグラフなどにまとめておくと良いです。
3: 市況感のインストール
現場スタッフと認識のすり合わせを行う前に、転職市場の市況感をインストールする工程を忘れないようご注意ください。(現場スタッフが既に転職市場の市況感を理解している場合、こちらのプロセスはスキップしても問題ありません)
省略されがちなプロセスとなりますが、ダイレクトリクルーティングの運用がうまくいかない企業の多くは、採用したい現場スタッフが転職市場の市況感を理解していないという共通点があります。
例えば
・そもそも応募が集まらない
・曖昧な理由で選考NGになっている
これらの原因は、
・市場平均よりも低い想定年収
・人材要件が世の中にほとんど存在しない組み合わせ
・応募してきた候補者が、貴重な人材だ。という認識がない
など、転職市場の市況感への理解不足に起因しています。
人材要件に合致する人材は、当然ながら無限に転職市場に存在するわけではありません。転職市場の市況感は都度変化していますので、採用活動を行う際には、現在の市況感を現場スタッフにインストールすることが非常に重要です。
4: 要件の優先順位づけ
各要件の優先順位を明確にすると、候補者同士の比較検討が容易になるだけでなく、選考途中に生じる「なんとなくNG」も防げます。
あらかじめ人事側で人材要件の優先順位を仮説立てしてから、その仮説を現場スタッフにぶつけながら認識をすり合わせていくことで、人材要件の優先順位を明確にしていきます。
もし仮説を立てずに「一番重要な要件は何ですか?」と現場スタッフに訊いてしまうと、あれも重要、これも重要、という答えが返ってきて、優先順位がつけられない事態に陥るかもしれません。
現場スタッフが求める要件を全て満たす人材を採用できるに越したことはありませんが、人材要件の組み合わせ次第では難しい場合もあると思います。そのような時こそ、人材要件の優先順位を明確にし、人事(採用)側と現場側の目線を合わせておく必要があるのです。
要件の優先順位づけは前回のnoteでも取り上げております。よろしければこちらもご覧ください。
5: ターゲット決定
まずは「2:候補者のリサーチ(人数・年収・年齢)」で調べておいた情報を現場スタッフに共有した上でターゲットを決定します。
現場スタッフが候補者の状況を把握すると、「要件を満たす人がほとんどいないので要件を緩めよう」、「候補者の平均年収が高く、想定年収とマッチしていないので提示年収を上げよう」など、人事(採用)と現場の間で採用活動をスムーズに進めるための交渉がまとまりやすくなります。
そして、全ての人材要件を満たす候補者(=ピンポイント人材)で母集団形成ができそうな場合を除き、アプローチすべき第2・第3のターゲットを採用活動開始前に決めておくのがおすすめです。
最後に
現場スタッフの多くは、転職市場の市況感を把握していません。
今回ご紹介した方法で人材要件定義を行えば、現場スタッフも市況感や採用難易度を把握できるようになり、今までよりも採用活動に協力的になってくれるのではないでしょうか。
例えば、
「こんな対象者が少ないの?ピンポイントのターゲットが少ないから、少し要件を広げて見てみようか。」
「ピンポイントの候補者から応募がきたからすぐに面接設定しないと!」
「最も重要な要件は〇〇だから、要件に合致していたら、異業界の人でも活躍できるかも。」
こんな会話が現場スタッフ側から出てくるかもしれませんね。
このように、人事と現場で採用に対する目線が揃っていれば、
・曖昧な理由での書類NGが無くなる
・スピーディーに面接が設定できる
・活躍可能性のある候補者を漏れなく選考できる
など、採用活動は格段にスムーズに進められるため、採用にかかる工数も削減できます。
ダイレクトリクルーティング支援に携わってきた経験上、欲しい人材を短期間で採用できるか否かは、採用活動前の人材要件定義に依る部分が大きいです。ダイレクトリクルーティングで思うような成果を上げられていない方は、一度、人材要件定義の進め方を見直してみてはいかがでしょうか。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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