授業で「発問」と「質問」を有効に使う!
あなたは、授業における「発問」と「質問」の役割を答えられますか?
答えを簡潔に言えば、役割は次の3つです!
・授業にテンポをつけること
・講師と生徒の双方向のやり取りを生むこと
・生徒に考えさせる機会を与えること
授業の中に、「発問」と「質問」を織り込むことで、授業が楽しく、深くなり質がぐっと上がります!
そして、この記事を読んで実践していただければ、生徒から出てくる発言もある程度コントロール出来るようになりますので、ぜひ参考にしてください!
目次
生徒の発言をある程度コントロールする〜林先生を参考に〜
「いつやるの?今でしょ!」
この一世を風靡した、林修先生の名言をあなたもご存知かと思います。
私なりの見解ですが、このフレーズが流行ったのには、
きちんとした理由があります。
このセリフ、CMを見たことがある方は思い出してほしいのですが、実は「いつやるの?」の前に重要な3文字が隠されています。
どんな3文字か、いつ考えるの?
その重要な3文字とは、「じゃあ」です。
林先生は最後の問いまでの間に、恐らく勉強の重要性などを話した上で、誰もが「今」という答えを持った状態にして「いつやるの?」と投げかけたはずです。
この、「じゃあ」という3文字がそれを物語っているように思います。
このように、問いに対して生徒が答えを持ち、発言しやすい状況を作ることがすごく大事になってきます。
塾の授業は時間がかなり限られている上、成績を上げることが目的です。
学校現場のように一つの学習課題に対して50分目一杯使って考えさせることは出来ないです。
あまりにトンチンカンな答えが返ってくると、授業に変な「間」も出来てしまいます。
授業に余裕が出てからは何とかして笑いに変えることもできるようになりましたが、授業デビューしたての時は地獄のような空気になりました(笑)
なので、塾講師としてお金をもらって成績を上げる以上、生徒の発言をある程度コントロールし授業にテンポをつけることも重要なのです。
皆さんはこれまでどのような授業を受けてきましたか?
面白い授業、考えさせられる授業、まとめがわかりやすい授業、時計とにらめっこして時間が過ぎるのを待つ授業…(笑)さまざまでしたよね?
退屈だと感じる授業に共通することは何でしょうか?
答えは、一方通行であること。
つまり、先生が学習内容をただ説明して終わる授業です。
もちろん、語りが上手だからそれでも面白い!という先生もいるかと思います。
私が代ゼミで浪人していた時の講師は、90分という授業時間があっという間に感じるほどの話術を持っていました。
しかし、このようなスキルは習得までに恐ろしい時間がかかることに加え、小中学生の授業には不向きです。
そもそも内容に興味を持ってくれない場合、どれだけ話術があっても話を聞こうとしないからです。
当然ですが、授業の主役は生徒です。
授業は講師の技術を見せつけて気持ち良くなる場ではありません。
授業が下手な先生ほどよく喋り、大事な部分まで説明してしまいますが、本当にもったいない…
生徒に考えさせ、発言させて授業を進めることで、講師と生徒の双方向のやり取りが生じます。
本当に大切な部分こそ、生徒に考えさせて発言させるべきです。
もちろん、何でも自由に発言させてはいけないので、ある程度のコントロールが必要になってきます。
そこで大事になってくるのが「発問」と「質問」です!
そもそも、「発問」と「質問」はどのように違うのでしょうか?
「発問」と「質問」の違い
「発問」とは、簡単に答えが出ず、生徒に考えさせる問いを指します。
発問を設定するためのキホンは"why"と"how"です。
「なぜ○○なのか?」、「どのように○○だろうか?」
学校教育の場ではよく「学習課題」として登場します。
「質問」とは、自分が知りたいことを相手に聞く問いを指します。
例えば、社会科で日本の農業を学習する時に、
「果物には何がある?」と聞けば、「りんご!」や「みかん!」などと返ってくるでしょう。
こういった、答えがすぐに返ってくるような問いを「質問」と言います。
使い分ける場面や、発言をコントロールするイメージつきますか?
次の章では、いよいよ「使い方」に迫ります!
「発問」と「質問」の使い方〜実践を交えて〜
私は主に「質問」は授業の導入時に使います。
例えば、理科で植物を勉強する時には「みんな何種類くらい花の名前を書ける?」と質問し、3分ほど時間をとって花の名前をノートに書かせます。
この「質問」の意図は、生徒を植物の世界に呼び込むことにあります。
書けたのが何種類かはそこまで大事ではなく、生徒に植物について考え始めてもらうことが一番の目的です。
一方で「発問」は、授業の一番盛り上げたいタイミングや最後に使うことが多いです。
例えば、中3化学で電池の授業をしたとして、仕組みをある程度理解させたら最後にこんな問いを用意します。
・「じゃあ、どうして電池切れって起こるの?」
・「電子が流れなくなるのはどんな時?」
こういった具合です。
「発問」は、生徒が本当に理解できたかをこちらが確かめることもできます。
なぜ電池切れになるかは、仕組みをきちんと理解していないと答えられないです。
決して電池切れの理由を私から説明することはありません。
それでも生徒の解答をつなげたり広げたりしていくことで、答えにたどり着かなかった他の子もしっかりと理解してくれます!
「発問」の使い方に慣れてきたら、「発問」をサンドイッチすることも効果的です!
授業の冒頭で「電池切れってなんで起こるんだろう?」
と振っておいて、授業の最後に再度問いかける。
この手法を使えるようになると、生徒の集中力はぐんと上がります!
逆に、中3の受験期や講習会などの復習メインの授業を除いては、絶対にやってはいけない問いがあります。
どんなものかわかりますか?
それは、「語句」を聞くような問いです。
例えば、
「聖徳太子は推古天皇の何という職についた?」
「マイナスの電気を帯びた粒を何という?」
このような問いは、知識自慢をしたい子には効果的かもしれませんが、答えられなかったら授業が止まりますし、生徒も退屈します。
では、「聖徳太子が推古天皇の摂政についた」という事について、あなたならどのように発問しますか?
私なら、推古天皇がはじめての女性の天皇であることを伝えた上で、
「これまでずっと男の人に天皇を任せてきたんだけど、女の人が初めて天皇を任せられたら、周りの人たちは普通どう思う?」
と発問します。
これまでの経験上ですが、生徒の答えはほぼ
「心配になる」や「不安になる」です。
実は、この発問には生徒の発言を少しコントロールする語句を織り交ぜているのですが、気付きましたか?
それは、「普通」です。
この語句には、あえて思考の範囲を狭めるという効果があります。
この語句を入れた場合と入れなかった場合を比べてみると面白いくらい違いが出てきますので、ぜひ試してみてください!
前章でお伝えしたように、「発問」は答えが簡単に決まらないような問いです。
ですが、先程の例で出した発問は、「普通」と入れることで、答えがかなり絞られますので、生徒に考えて発言させながらも授業をテンポよく進めていくことができるのです。
まとめ
「質問」と「発問」についての違いや、使い方のイメージは持てましたか?
ぜひ、実践していく中で生徒の反応が変わっていく様子を楽しんでください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
他の記事も随時更新していきますのでお楽しみに!