Global Teacher Prize 〜教育のイマ、世界の最先端の教育を知る〜
先日、品川のMicrosoft本社で行われたMicrosoft Education Day 2023に、一MIEEとして参加させて頂きました。
2月に、昨年秋に新規募集がかかっていた2023年度第2期の応募でMIEE(Microsoft Innovative Educator Expert )に選んで頂き、今回が初めての参加。3年ぶりのEducationDayリアル開催だったそうです。
イベントの中身については、また後日レポートしたいと思いますが、MIEEの先生の凄さは色々な場面から感じましたし、何よりそのメンバーが豪華です。
皆さんは、Global Teacher Prizeという、『教育のノーベル賞』とも言われる賞について知っていますか。昨日は、過去の日本人でファイナリスト50名に選ばれた先生6名のうち、3名の先生と直接会い、お話することができました。(6名中4名はMIEEの先生だそう)
1.Global Teacher Prizeとは
Global Teacher Prizeは、世界の教育に大きく貢献した教師を表彰する賞です。教育分野のノーベル賞とも言われています。
この賞は、教師の重要性や影響力を認め、称えることを目的としています。
毎年、世界中から数千人の候補者の中から10人のファイナリストが選ばれ、その中から1人が受賞者に決まります。第1位の受賞者には、賞金として100万ドルが与えられます。毎年各地で行われる授賞式にはトップ10・ファイナリストの先生方が招待され、ト直接世界規模の教育の交流を図ることができます。
過去にGlobal Teacher Prizeのファイナリストに選ばれた先生は、以下の4名の先生です。
2.日本人受賞者の紹介
1.髙橋一也先生(工学院中学校高等学校・2016年トップ10)
髙橋先生は、工学院大学附属中学校高等学校の中学教頭で、2016年にトップ10に日本人初で選ばれた先生です。
彼の授業実践は、アクティブラーニングという手法を用いて、生徒たちが自ら考えて問題を解決する力を育むものです。
また、LEGOを使った指導法を活用するとともに、人間とチンパンジーの言語を比較したり、高校生向け宇宙エレベーターコンテストを開催したりするなど精力的に活動。生徒がインドネシアを訪問し、現地の社会起業家と共に社会課題に取り組むプロジェクトを開始するなど、グローバルな人材になるためのスキル向上を目的とする指導をしてきた。定期的にワークショップを校内・校外問わず開催し、最新の実践理論を共有するなど、同じ教師への影響も評価されました。
2.堀尾美央先生(滋賀県立米原高等学校・2018年トップ50)
堀尾先生は、滋賀県立米原高等学校の英語教員で、2018年のトップ50に選ばれました。
ICTを活用した海外交流授業に取り組み、世界30カ国以上の学校と英語でコミュニケーションを行っています。スカイプでケニアやベトナム、スペインなど25ヵ国以上のコミュニティとつながり交流授業を行なっているほか、全国でスカイプの体験型授業学習会を開催するなど、革新的な教育方法やその取り組みが評価されました。
現在は、カンボジアの学校と連携し、もっとも貧しい地域の子どもたちが英語を学び、コミュニケーションスキルを向上させ、仕事の選択肢を増やす支援するようなことも行なっていらっしゃいます。
3.正頭英和先生(立命館小学校・2019年トップ10)
正頭先生は、立命館小学校の教諭で、2019年にグローバルティーチャー賞のトップ10に選ばれた、日本人小学校教員で初めての先生です。
ゲームのMinecraftを用いて、子どもたちに自主的に学ぶ力や協働する力を育てる授業が評価されました。
例えば英語科では、マインクラフトの世界で英語でコミュニケーションをとりながら、自分たちで街や建物を作ったり、冒険したりすることで、英語を話す力や協働する力を身につけます。
理科では、マインクラフトのレッドストーン回路を使って電気の仕組みやプログラミングの基礎を学びます。
社会科では、マインクラフトの地図機能を使って地理的な特徴や方角を理解したり、自分たちで地図を作成したりします。
正頭先生は、マインクラフトは「子どもたちが自分で考えて行動することができる教材」だと言っています。授業では教師が答えを教えるのではなく、子どもたちに問いかけて考えさせることが重要だと考えています。
昨年度からは、教育版桃鉄のエデュテイメントプロデューサーとして普及活動にあたっておられています。
4.岩本紅葉先生(新宿区立富久小学校教諭・2020年トップ50)
岩本紅葉先生は、東京都新宿区立富久小学校の図工専科の教諭で、プログラミングや電子工作などのICTツールを活用した授業を実践しています。
子どもたちが描いた絵を動かしたり、ピアニストの生演奏に合わせて映像を作ったりするなど、創造力や表現力を育む授業が評価されています。
これまで、授業てらすでは、アンバサダーとして世界のトップティーチャーの1人でもある岩本先生に、さまざまなICTを活用した実践や図工授業の評価等についてのセミナーにご登壇いただいてきました。
今後もご登壇いただき、学べる機会ができるよう、セミナーを企画中です。ぜひ、ご期待ください。
5.竹内啓悟先生(現在一般企業勤務・2020年ベスト50)
竹内さんは東京都立大学を卒業後、テレビ局や教育関係の出版社など民間企業での勤務を経て、教員に。その後、東京の私立中高一貫校で情報科を担当。そこでは、生徒がタブレットを使って授業を受けるICT教育の環境をいち早く整備し、授業で使用するプログラミングやグラフィック制作のオリジナル動画コンテンツを制作してきました。
また、個人で取り組む起業プログラムの授業を開発し、高校の授業に取り入れたり、企業と連携して、多くの新しい教育プログラムを開発してきました。生徒たちが考えたアイデアをどのように形にして、どのように社会の課題を解決していくのかを考えさせ、その具体的な方法を高校生たちに楽しく学ばせたことが、世界で高く評価されました。
6.澤茉莉さん(アースエイトユニバーサルスクール代表・2021トップ50)
澤さんは、岡山市の認可外保育園「アースエイトユニバーサルスクール」の英語統括責任者。米国Harding Universityで幼児教育学とリーディングスペシャリストを学び、現在はハーバード大学院教育学部に在籍しています。彼女は世界最先端の研究事例を取り入れたリテラシー重視の英語教育プログラムを開発し、子どもたちにグローバルな視野とコミュニケーション力を身につけさせています。このプログラムは、読み書きや話すことだけでなく、批判的思考や創造性、コラボレーションなどのスキルも養うことを目指しています。
3.どのような先生がGTPに選出されているのか?
世界の財団がこのような賞を設立し、先生方にスポットを当て表彰しているわけですが、どのような選考を行なっているのか。あるHPに、正頭先生の受けた選考内容の一例が書かれていました。
グローバル市民。教育界への貢献という視点。
とにかく、日本で教員を普通にしていると欠けてくるような視点かもしれない。
このような視点で世界の名だたる先生方が教育を見ているということを意識できるいいポイントとなるかもしれません。
毎年夏〜秋口(9月ごろ締切が多い)に、1年に1度のGlobal Teacher Prizeへの募集が行われます。皆さんも、挑戦してみませんか。
日本の素晴らしい教育実践を、世界に。
大きな規模で行う発信が、先生自身の新たな学びを生むと思います。
授業てらす 第2期 よう先生
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