「研究授業」は教師の「問題解決学習」だ~読書フェス(河根慎一_ちんぺー)
1 授業者から見える授業
あなたは教師として、これまでにほかの先生の授業をどれくらい見ていますか?
あなたは教師として、毎年、他の先生の授業をどれくらい見ていますか?
あなたは、ほかの先生の授業を見るときに、どのような点に着目しますか?
ほかの先生の授業を見て、あなたの授業はどのように変わりましたか?
(本書より)
今回紹介するのはご存じ澤井陽介先生の『授業の見方』(東洋館出版社)。
読者が「授業者の目」を通して授業作りをする,という画期的な視点をもった教育書です。澤井先生が文科省視学官時代のご著書になります。(5年前~現在:大妻女子大学家政学部児童学科教授)
今まで研究授業の際にどうやってメモをとって良いのか分からず,事後の協議会で言いたかったことを忘れてしまったり,帰宅途中で「ああ!あれ言えば良かった!」と後悔することが多々あります。
この本には,実際に澤井先生の直筆メモや,指導主事などのメモが載せられていて大変実践的な内容になっています。
2 生きた授業を活かす
本書はそんな「見方」だけでなく,そこからどのように自分の授業実践に生かしていくべきか,ということが論理立てて書かれています。
本書に書かれたノウハウを参考にすれば,授業者の意図や工夫を見抜く力が身につき,自分の今後の実践に生かせるようになります。
指導案や板書,使われた資料など「可視化」されたものだけで授業は作れません。むしろ,目に見えないものにこそ授業の本質が隠されている…なんていうと宣伝文句みたいですが,僕がおろそかにしていたものを気づかせてくれました。
研究授業の後にスマホで写真を撮っているだけではいけませんね。
3 授業てらすは研究授業の宝庫
セミナーやアーカイブなどを通して,プロ講師やメンバーの生きた授業が日本全国から集められているのが「授業てらす」。ただ漫然と見るだけでは,力にすることはできません。また,せっかくセミナーに参加していも,僕みたいにチャットのコメント欄を埋め尽くすことだけに精を出しても,実践に生かすことはできません。正しい研究授業の「見方・考え方」を教えてくれる本書を参考に,この夏休みアーカイブを見直してみたいと思います。
最後に,本書で澤井先生は「記録をとらないで授業を見る教師が多くなっている」ことを嘆いていました。ここでおっしゃる「記録」はペンでメモをすることです。楽をしては決して力にならない。子供たちに我々が日々説いていることです。それを肝に銘じ,着実に歩を進めていきたいと思います。
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