安田鋲太郎

安田鋲太郎

最近の記事

安田ブログ無料案内所2024

 少し長めの充電期間に入るかもしれないので、いままで書いたブログおよびnoteのなかで代表的なもの、お薦めするものを紹介しておく。  やはりトップバッターに来るのは、バズったツイートをもとに掘り下げた下記エントリ。16世紀ドイツの版画に描かれた〝ちんこを咥えた猫〟の意味するところについて考察している。かなり好評だった。  *  バズった繋がりでいうと、下記エントリも元ツイはたしか1万RTくらい行ったんじゃなかっただろうか。一度の手術で三人を死なせた「史上最悪の手術」は何

    • 脱自我について、あるいは死生観ver.2024

       というツイートをした。いわゆる「90年代不謹慎カルチャー」の真髄は「脱自意識」にあるのではないか、という思いつきだ(「脱自我」のほうがしっくりくるか?)。  実際、上に挙げた他にもみうらじゅんは「自分なくしの旅」ということを言っているし、当時の西原理恵子のマンガでも、ちょっと細かい部分は忘れたが故・鴨志田穰について行って、タイでは人がばんばん死んでゆく、それを間近で見ていると、人なんてなんとなくわらわらと生まれてなんとなく死んでゆくものだなあ、というような話があったと記憶

      • 【推薦本】『非常識セラピー』はいいぞ

         この本はいい。  最近もまた読み返したのだけど、やっぱりいい本だなあ、としみじみ思ったのでおすすめ記事を書いてみる。  見てのとおりサイコセラピー(心理療法)についての本で、著者自身もセラピストのベテランである。  とはいえ著者の方法論はかなり独特で、自身は「挑発的セラピー」などと呼んでおり、本書は読者に対して心の処方箋を提示するとともに、従来のセラピスト業界への厳しい批判も孕んでいる。  では、その批判とはなにか。  それは、一言でいえば「無駄に深掘りして治療を長引かせ

        • 誰が変だかわかったもんじゃない(『コンビニ人間』感想)

           フォロワーさんの語るあらすじに魅かれて村田沙耶香『コンビニ人間』を読んだ。なんとなく陰気なプレカリアート文学みたいなものを想像していたのだが、案外リーダブルで明るく軽やかだった。  これは売れるのも納得する。察するに著者はかなりの実力者なのではないか。残念ながら他と比べられるほど最近の小説を知らないのだが。  個人的な読後の感想としては「誰が変だかわかったもんじゃない」ということがある。  主人公の古倉恵子は普通の人が抱くような哀しさとか怒り、欲望、プライドなどさまざまな

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          非モテの恋愛を学習理論から考える

           この記事は「ベイトソンの学習理論って非モテにおける恋愛の成長(脱非モテ)過程にうまいこと当て嵌まるのではないか?」というアイデアに基づく覚え書きである。  もし自分の恋愛アプローチはなんかおかしいと感じている人、頑張ってるけど結果がついて来ないという人がいたら、読めばなにかしらのヒントが得られるかも知れない。とはいえ「深夜のファミレスでの思いつきを本当に書いちゃった」程度の記事なので、これを読んだだけで飛躍的に恋愛がうまく行くようになったらこっちがビビる。まあ過度の期待はせ

          非モテの恋愛を学習理論から考える

          「こういう男になりたい」私感

           地元の友人のLINEグループで「名古屋オクトーバーフェスト2024」に誘われたのだが、愚かな私は「行きたいのはやまやまだが翌朝あさイチで検査があってうんぬん」というようなことを書いてよこした。  尿検査と血液検査。そんでもって肝臓の数値がどうのこうの。そこそこ早起きもせねばならない。その前夜にビール飲みまくりってどうなんだ、というのは嘘ではない。嘘ではないのだがLINEグループに書くことだったのか。  しかも底抜けに愚かな私は、「職場の同僚の親がいまにも亡くなりそうでい

          「こういう男になりたい」私感

          「おもんない人」雑感

           【注意!】  これからする話は、現時点でXの相互であるとか、知り合っている人の話ではありません。すべては過去の話です。「あれっこれって自分のこと言ってる?」と感じる人――違います。ご安心を。違うったら。  *  森哲平のつまらない人シリーズは、「つまらない人」をどう処遇するか、或いは自分が「おもんない人」であった場合はどうすればいいのか、という日常のきわめてミニマルな問題を神経症気味(?)に考察した、毒味のスルメみたいな文章群でリンクを辿るうちに気付いたら大半を読んでし

          「おもんない人」雑感

          後方彼氏面(こうほうかれしづら)について

           何年か前に病院のある検査で、30分ほどベッドの上でじっと横たわっていなければならなくなった。  カーテンを引かれ、薄暗いパーティションのなかで目をつぶっていると外の会話が聞こえてきた。高齢男性らしき患者が、看護師の女性との事務的なやりとりにかこつけ、しきりにしょうもないジョークを飛ばして「愛想笑い」を引き出していた。  あーあ困った爺さんだな、面白くもないこと言ってわざわざ精神労働を増やして・・・と思っていたのだが、じっと聞いているうちに、だんだん  「これって自分がずっと

          後方彼氏面(こうほうかれしづら)について

          「反対意見も読むように心掛け」なくてもいい三つの理由

           ただ、これを言う人はだいたい僕から見て好感度の高い人、尊敬できる人、話していて楽しい(とこちらから思っている)人が多いので、異論を唱えるのは心苦しいのだが意見に私情は禁物である。納得するしないは自由、ピンと来なければ「ふーん、そういう考えの人もいるんだ」程度に流していただければ幸い。  で、そういう人たち曰く「わたしは自分と違う意見も読む(聞く)ようにしている」。具体的にはSNSにおいてブロックを極力しないとか、不快な(時にはどう見てもたんなる嫌がらせの)クソリプにも真面

          「反対意見も読むように心掛け」なくてもいい三つの理由

          アドバイスの集中砲火

           たまにアドバイスの集中砲火を浴びている人を見る。自分の場合もある。  とにかく周囲が、こうしたらどうだ、いやこうしたほうがいい、その発想を改めたほうがいい、自分を客観視できていない、いったん落ち着いて(うっせえわ)、ブレている、どうしたいのか明確ではない、等々ああだこうだと捏ね回す。  自分がそういうことをされた時のことを思い返すと、けっして気分のいいものではない。複数人からいつ終わるとも知れずああしたほうがいいこうしたほうがいいと言われているうちに、これ一応は善意で有り難

          アドバイスの集中砲火

          コンピュータ少年、愛を検索する

           僕が社会人になったのは世紀の変わり目、ちょうど「2000年問題」なんてえのが騒がれていた頃で、パソコンやインターネットが急速に社会に広がりつつあるけれど、まだまだ多くの人には馴染みのない、よくわかんないメカオタクがいじくってるもの、というような珍妙なものを見るような視線も並存している時代でした。  当時、職場ではパソコンによる事務やインターネット販売を導入したばっかりで、入社したての僕はもっぱらパソコン担当、上の人たちはみんなパソコンのことはよくわからないので安田に聞け、と

          コンピュータ少年、愛を検索する

          いつ仕事をやめるの?

           気軽に近況を書く回。  若い頃の仕事をやめるというのは、仕事が嫌でいっそやめてしまいたい、自由になりたい、けれどやめてもすぐ次を捜さなければならない、という感じだったが、ライフステージが変わった。  いま僕にとって仕事をやめるというのは、年金受給まであと何年、貯金がいくら、月々のおよその生活費がこのくらいで……ウーム、まだちょっとやめられないか? でも節約すればいけるか? というような、かなり実際的な話になっている。  つまり、死と同じで人はいつか仕事を「やめる」のだ。そ

          いつ仕事をやめるの?

          リソース管理ゲーム、システムシンキング、無政府資本主義の実生活への応用

           クレタ島で三人の男が言い争っていました。  A「わたしは仕事が大好きだ。わたしは嘘つきクレタ人ではない」  B「いやAは嘘つきクレタ人だ。こいつは俺と同じで仕事が嫌いだ」  C「いやBこそが嘘つきクレタ人だ。こいつは仕事が大好きだしわたしも仕事が大好きだ」  さてこのなかで正直者が一人だけいます。それは誰でしょうか?(答えは文末)  どうもこんにちは、お仕事大好き安田鋲太郎です(・ω・)ノ ちなみに上のクイズは本題となんの関係もありません。  いやほんともう仕事嫌すぎて

          リソース管理ゲーム、システムシンキング、無政府資本主義の実生活への応用

          コミュニケーションに難がある人と居場所のことなど

           先日、フォロワーさんのスペースを聴いていて、コミュ力が低くトラブルメーカーになりがち、あるいはそこまで行かなくても他人に避けられてしまう人を如何せん、という話が出てきたのだが、これはかなり以前から随所で持ち上がっている話であり、僕も長年、いや長年ではないか、まあ折にふれ考え続けてきたことではあった。  その方はなんでも、リアルで居場所的な空間を運営していたのだが、やはり困った人が居着いてしまい、それだけならいいのだが徐々に他の人の足が遠のいて、いつの間にかその人とマンツーマ

          コミュニケーションに難がある人と居場所のことなど

          10分で支度しろ!(おすすめ酒本二種)

           日付が変わる前にnoteを更新します、とフォロワーが云っていたので、なるほどそれもいいかも知れん、自分もやってみようと思って時計をふと覗いたら23:50分。ありゃ、これは無理だな。いやまてよ? 10分で更新できなくもないか、と思ってこれを書いている。もう一度時計を見るとまだ23:50だ。  さて話題に迷っている暇はない。最近何があった? そうそう昼から飲んでしまったのだ。酒といえば『ルバイヤート』と『酔いどれロシア』という本がいいですよ、というのは折りにふれ人に薦めている。

          10分で支度しろ!(おすすめ酒本二種)

          酔生夢死試論、またはエンタメと死の超克

           もう10年以上前になるが、母のガンの再発・転移が発覚し、前途の明るいとはいえない病床生活に入るさいに、僕が母に買ってきてくれと頼まれたのは「日本のむかしばなし」の本と「古典落語のCD」、それに「PUFFYのアルバム」だった。  そのことを今でも時々思い出す。「日本のむかしばなし」には、死を前にした人が求めるなにかがあるのではないだろうか?  「日本のむかしばなし」と「古典落語」との繋がりで、おぼろげながら口承文芸に属するもの、千年一日のように変わらぬ伝統的な人々の暮らし、み

          酔生夢死試論、またはエンタメと死の超克