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錦田愛子「イスラエルの平穏を破ったパレスチナの絶望」(「ガザ紛争」東京大学出版会)
(以下、筆者による任意の引用)
ガザ地区封鎖の起点となったのは2006年のパレスチナ立法評議会選挙。この選挙でハマースは公正な手続きにより勝利したが、その翌年、対立するファタハ勢力をガザ地区から追放して単独内閣を形成すると、イスラエルおよび欧米諸国からの経済制裁と封鎖が始まった。
ガザ地区の封鎖は、ハマースら武装勢力を種子島ほどの広さの土地に押し込めることに成功。「占領の安定化」をもたらし、イスラエルにとって低コストで現状を維持することのできる占領体制を確立させていった。
2023年10月7日の攻撃は、イスラエルにとっての「平穏」の陰で、ガザ地区での「絶望」が深まり、じわじわと高まる一連の緊張感の中で起きたと考えられる。
トランプ大統領によるガザ地区「所有」発言。周辺諸国や国際社会からの反発は必至の情勢だが、パレスチナ人自身がガザ地区をこれまでどのように自治・統治してきたのかも、大事なファクターのように思う。