誰もがコンテンツを作れる時代に、コンテンツ制作を仕事にすることについて
コンテンツ制作は完全なレッドオーシャンだ。
今やあらゆる人があらゆる形で、文章で、イラストで、マンガで、動画で、自分の伝えたいことを発信しています。
生成AIが登場して、その流れがさらに加速していくことは間違いありません。
なんなら「まとめサイト」程度の情報なら、生成AIにお願いすれば、自分用にカスタマイズされたコンテンツを秒速で読めるようにもなりました。
noteを読んでいても、本当に多くの方が自らの知見を無料で発信されています。情報やコンテンツにお金を払わなくても、十分楽しめる時代になっていると思います。
消費者の目線でいえば、これほど幸せなことはありません。無料で無限のコンテンツに触れることができるからです。数年前では考えられないことです。
一方の発信者の側で見てみると、2つの意味でレッドオーシャンだと思います。
ひとつは、ビジネスとしてのレッドオーシャン。無料で情報が集められるということは、それだけマーケットとしての可能性は狭まっているということです。
もちろん、マンガを始めとしたコンテンツビジネス、あるいはインフルエンサーを中心にしたファンマーケティングのように成功している事例は多々あります。
しかし、それらは単純な情報あるいはコンテンツの消費にお金が払われているというよりは、たとえば「インフルエンサーへの共感」あるいは「コンテンツへの推し」というもっと感情的な部分での消費なのだろうと思います。
もうひとつは、可処分時間に対するレッドオーシャンです。繰り返しているとおり、情報が溢れかえっていている世界では、誰もがすべての情報に触れることはありません。
少し前のテレビの時代であれば、選択肢はせいぜい両手で数えられるほどでした。今やそれが無限になっている。
コンテンツ発信は今までメディアという一種の参入障壁に守られて来ましたが、今はその壁は溶けてなくなりました。コンテンツを読んでもらう努力無くしては、そもそも読まれないという事態が起きまくっています。
けれど、消費者からすれば、自分でもコンテンツを生成してそれを読んでいればOKという時代です。読まれないコンテンツがあっても関係ない。
では、コンテンツづくりを仕事にする人にとってはどうなのか。これは死活問題だと思います。
たとえばある出版社は、今後刊行する漫画の点数を5倍に増やして、IPを育てていくと宣言しています。これは表面的には漫画家さんにとっては可能性が広がる話ですが、その分過酷な競争が待ち構えているということでもあります。
出版社側の体力が5倍になることはない以上、コンテンツ制作のプレッシャーは漫画家さんにかかっていくはずです。そうなると漫画家さん自身のタレントが問われることになります。
またIP展開がビジネスモデルの前提になるということは、単に「おもしろい」「読まれている」ということでは不合格で、コンテンツにどこまでお金を払ってもらえるかかが勝負になっていきます。
そうなるとほとんどのコンテンツは消費すらされずに消えていき、ごくわずかな勝者だけが成功を収めるという形になっていきます。僕はこの流れを否定するつもりはありませんが、危機感は抱いています。
「バットを長く持って、当たるかどうかわからないけど全力で良いコンテンツを送り出す」ということと、粗いクオリティのコンテンツを乱発するということは違います。
今、確実に世の中は後者に向かって突き進んでいます。
後者の世界では、たとえば編集者のようなコンテンツをマネジメントする人は求められなくなります。それも世の中の流れというなら、それも仕方ないこととは思います。
けれど、それが果たして読者、あるいはコンテンツの消費者にとって幸せなことなのか、僕はそうは思いません。
コンテンツが乱れ打ちにされる今だからこそ、確かなクオリティを担保し、消費者も制作者にとっても有益なコンテンツづくりができないかを考えていきたい。
コンテンツづくりのハードルが下がった分、しっかり手間暇をかけたコンテンツが読まれるような世界にしていきたい。
昨年僕は商業出版の世界を卒業し、BtoBの編集者に転身しました。
今まで企業広報といえば一方的に企業情報を押し付けるだけのものでしたが、だいぶ時代が変わりました。
自社の持つ有益な情報を、あるいは社会貢献のために抱いている熱い思いを、消費者に届けることで健全なコミュニケーションを取りたい。そう考えている企業が増えています。
そうした思いを持った発信が埋もれることなく、読まれる情報・コンテンツとして届くようなお手伝いをしていきたい。
個人のレベルでも、熱い思いで活動をしているフリーランス、起業家、あるいはNPOなどの団体の方々の情報発信のお役に立てるようになりたい。
そういう思いで2025年を頑張っていきたいと思います。
明日からがんばるぞ!
BtoB編集者として学んだことを記事にまとめております!よかったらあわせてご覧ください。