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好きを楽しむ旅を応援するアプリ「notabi」 異業種チームで挑む新規事業に込めた想い
2024年8月、JTBの新しい試みとして誕生した旅行のアルバムアプリ「notabi」。旅先での思い出を写真とともに記録し、「好き」という気持ちでつながれる新しいカタチのサービスです。
私のたび、あなたのたび、推し活のたび。いろいろな「~のたび」が集うアプリを目指して、「notabi」と名付けられたこのアプリを作っているのは、店頭営業やマーケティング、法人営業など、さまざまな部署から集まったJTBの社員たち。部署や職種を超えて新しい挑戦ができる「プロジェクトチャレンジ」という社内制度を通じて集まった、異なる経歴を持つメンバー2人に、新規事業への想いを聞きました。
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2014年入社。京都の店頭にて10年勤務後、2024年に人財交流共通制度を使ってエリアソリューション事業部notabiプロジェクトへ参加。店頭で培ったお客様目線で考えるtoCの領域での強みと、副業でのSNS運用やファンクラブ運営で培ったマーケティングの強みをより生かすべく奮闘中。
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2018年入社。ツーリズム事業本部旧海外仕入商品事業部のヨーロッパ地上手配として勤務後、2020年よりGotoトラベル事業・全国旅行支援事業とBPO事業に携わる。自身の推し活の経験を生かし、ユーザー目線での提言ができると考え、2024年2月からnotabiプロジェクトに参加。
異業種から新たなフィールドへの挑戦
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—— お二人が「notabi」プロジェクトに参加されたきっかけを教えていただけますか?
矢野:もともと私は10年間、店頭での営業を担当していました。コロナ禍で業務時間が減少した際、「お客様と話をすること」を生かせないかと考えて、副業として、日常でさまざまな悩みを抱えた方のお話を聞く電話相談を始めました。その経験から、インターネットでサービスを提供することの面白さに気づき、次はライブ配信に挑戦。さらにSNSマーケティングや自身のファンクラブの運営にも取り組み、「自分は新しいことにチャレンジするのが好きなんだな」「0を1にしていくことが楽しいんだな」と気づいたことがきっかけで、新しいことに挑戦しようと思ったんです。
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山口:私は2018年入社で、憧れていた海外旅行を造成する部署に配属されました。ところがコロナ禍でさまざまな部署を転々とすることになりまして。その間、同期はそれぞれの部門で着実にキャリアを積んでおり、そのギャップに悩んだ末、「自分にしかできない武器を見つけたい」と思い、「人財交流共通制度」を利用してこのプロジェクトに応募しました。
—— 「人財交流共通制度」についても教えてください。
矢野: JTBには「人財交流共通制度」という仕組みがあって、職種や部署を超えて挑戦したい領域に手を挙げて、応募することができるんです。例えば、営業職の人が商品造成に挑戦したり、グローバルチャレンジとして海外で働いたり。異動して100%その業務に携わることもできますし、内容によってですが兼務というかたちでの挑戦もできます。
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山口:年に一度、JTBグループ内のさまざまな部署やグループ会社から求人票が出るのですが、求める人物像やスキル、応募スキルなども明確に示されているんです。私たちはそのなかのプロジェクトチャレンジという制度を使って、4月から「notabi」プロジェクトに参加することになりました。応募して書類選考があり、面接を受けて…と、まるで本当の転職のような流れで驚いたのを覚えています。
—— 制度を利用し、プロジェクトに参加してみていかがでしたか?
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山口:本当に良かったと思います。チームのメンバーのバックグラウンドが違うので、日々いろんな視点の意見が飛び交うんです。私が思いつかないような発想や意見交換が刺激になっています。また、JTBの中にはこんなにいろんな仕事があるんだ、ということを実感できましたし、プロジェクトを通じてさまざまな部署の方とつながりができました。誰かに相談したいときも、「あの人に聞けば分かるかも」という人脈が広がりましたね。
矢野:私も応募して本当に良かったです。この制度を通じて出会った人たちは、それぞれ異なるキャリアを歩んできた方ばかり。その人たちと一緒に働くなかで、「こんな考え方があるんだ」「こんなキャリアの形もあるんだ」と、自分の視野が大きく広がりました。
実は、私が店頭にいたときの上司も、この制度のことを知らなかったんです。JTBにはこういった挑戦できる制度があることを、社員はもちろん、多くの方に知ってもらいたいですね。
アプリ開発という未知の領域で
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—— 「notabi」誕生のきっかけについても教えていただけますか?
矢野:もともとこのプロジェクトの構想は2021年からありました。私たちの上司が立案したアイデアの原案があって、その後2~3年かけて検討を重ねてきたんです。実は、開発の背景には自治体からの声もありました。「実際に旅行者がどんな行程で旅をしているのか」「自分の自治体のどこに旅行者が行っているのか」などの情報が知りたい、という要望をいただいて。そこで旅行者との新しい接点として、このアプリを開発することになったんです。
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山口:当時はまだ「notabi」という名前ではなくて、「旅グラフィー」という名前だったんです。そこから議論を重ねて「あなたの旅 私の旅 みんなの旅 notabi」というコンセプトになり、特に推し活やオタ活など、「好き」を目的とした旅に注目したアプリとなりました。最近はそういった「好き」を旅行の目的にされる方が増えていて、そこにスポットを当てたサービスはあまりないと考えたんです。
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—— お二人は、アプリ開発は初めての経験だったとお聞きしましたが、どのような苦労がありましたか?
山口:機能の追加一つとっても、セキュリティ面での要件を満たし、社内外の各種審査を通過しなくてはなりませんでした。アプリを開発するためにはさまざまな工程を乗り越える必要があることを知ることができました。
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矢野:最初は本当に手探りで大変でした。10年間、店頭営業で直接お客様と接してきた私にとって、デジタルのプロジェクトは全く異なる世界。特に専門用語が飛び交う会議についていくのが大変で、「わからない言葉集」を作りながら日々勉強していました。
でも、私自身、チャレンジとしてここに来たので、「自分ってこんなに知らないことが多かったんだ!」とスポンジのように何でも吸収できることは楽しくもありました。学ぶことも多く、毎日が新鮮な発見の連続でした。
ローンチ後の感想、アプリの魅力について
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—— そうして完成した「notabi」ですが、どのような特徴があるのでしょうか?
山口:やはり最大の特徴は、ユーザーの「好き」に焦点を当てているところです。例えば、私はアニメが好きで、聖地巡礼に行ったり、推し活カフェでラテアートを楽しんだり。そういった「好き」がきっかけの旅を記録できるんです。
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矢野:一般的なSNSだと、写真は単発での投稿になりがちですよね。でも「notabi」は、ユーザー登録が済むと、端末に保存している直近500枚の写真を読み込み、位置情報などをもとに自動で旅のアルバムを生成できるんです。旅程全体を時系列で記録できるので、自分が旅を振り返りたいときにわかりやすいのはもちろん、同じような旅をしたい方の参考にもなるんです。
さらに「編集」機能から、それぞれのアルバムや写真にハッシュタグや説明などを入れていただくことで、同じ趣味や興味を持っている方からより見つけてもらいやすくなります。
—— 実際の反応や、手応えはいかがですか?
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山口: ユーザーの方からは「notabiを使ってみたら過去の思い出を振り返るきっかけになりました」「自分では思いつかなかった旅程が出てきて、自分が旅するときの参考になりそうです」などの声が届いています。また、社内からは、「良い意味でJTBらしくない」という声がありますね。これまでJTBのアプリというと、旅行の予約やガイド情報の提供が中心でした。あえて JTBの名前を出さないアプリは珍しいので、新しいチャレンジとして応援してくれています。
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矢野:まだまだ改善の余地はたくさんあります。例えば、写真の位置情報から自動でアルバムを生成する機能は、私たちの一番の「売り」ですが、今はその精度を高めているところです。お客様の記録をより簡単に、でも思い出深いものにできるよう、一つ一つ丁寧に改善を進めています。
今後の展望について
—— 「notabi」について、今後どのような展開を考えているのでしょうか。
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矢野:二つの軸で考えています。一つは、「notabi」を愛してくれる人、たくさん使ってくださる方を増やしていくこと。そしてもう一つは、アプリを通じて得られる情報の活用です。
山口:登録時に任意でご入力いただく年代や居住地といった情報と、実際の旅行中の写真や行程データを組み合わせることで、「この年代の方々がどんなところで、どんな体験を楽しんでいるのか」といったことがわかるんです。位置情報だけでは見えなかった、旅行者の実際の体験を知ることができます。
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矢野:例えば、ある観光地に人は来ているけれど、実際に何をして楽しんでいるのかまではわからないことが多かったと思うんです。でも「notabi」なら、写真とともにデータが残るので、旅行者の方々が本当に何を楽しんでいるのかが具体的に見えてきます。そういったデータを、旅行者の方々にとってより良いサービスの開発などに活用できるとも考えています。
山口:将来的には、作ったアルバムをデジタルブックや実際のフォトブックにできたらいいなと考えています。あとは、修学旅行での活用なども面白いかもしれません。生徒さんたちの写真を共有できれば、どんな自由行動をしていたのか、横断的に見たり、振り返ったりすることができますよね。
—— 最後に、お二人が今後、JTBで取り組んでいきたいことを教えてください。
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山口:私は、海外旅行の需要喚起に関わりたいという夢を持ち続けています。今回プロジェクトで学んだことを生かして、もっと広い視点でアプローチできたらと思っています。特に「好き」という気持ちには大きな力があるので、それを世界規模の交流につなげていけたらいいですね。
矢野:私は、お客様との接点を大切にしたいという思いがあります。店頭での経験を生かしながら、新しいデジタルサービスを作っていく。そんな架け橋になれたらと思っています。この「notabi」での経験は、私にとって大きな一歩になると思います。
※notabiアプリは以下よりダウンロードいただけます。
iOS / Android
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