カスタマーサクセスがコミュニティに取り組む5つのメリット
この記事はカスタマーサクセス Advent Calendar 2018 17日目のエントリーになります。
Sansan株式会社 田中です。
私はかれこれカスタマーサクセスに4年半ほど携わっており、中小企業~大企業のCSM(Customer Success Manager)を経て現在Customer Marketingに従事し、
コミュニティやトレーニングの専属チームを立ち上げています。
記事もいくつか書いておりますので宜しければどうぞ。
■カスタマーサクセスの基礎講座(①~③)
本日は今取り組んでいる「コミュニティ」について書くのですが、本Advent Calendarのテーマは「カスタマーサクセス」。
せっかくなので、コミュニティがもたらすメリットを「カスタマーサクセス」観点から書きたいと思います。
と言いますのも、昨今コミュニティ施策はマーケティングとの連携、「コミュニティマーケティング」として語られる機会が増えています。
▼コミュニティ界の雄、小島先生(@hide69oz)によるコミュニティマーケティング講義
もちろん、当社もマーケティングとの連携はテーマですが、
最初はReferralや、SEO効果は副産物として生まれてくるもの、という意識でなくては、あっという間にコミュニティが死んでしまうでしょう。
そこで、やってみて気づいたカスタマーサクセス観点で見るコミュニティのメリットをまとめてみたいと思います。
【背景】どこまで個別対応するか
コミュニティ施策を初めた背景としては、オンボーディング後の数千を超えるSansanを利用してくださるお客様を面でフォローする仕組みを作れないか?と苦悩していた時でした。
当時は個別対応が中心でしたが、顧客数の増加により成り立たなくなることは自明でした。
「お客様同士で問題解決する仕組みを!」と考えたのです。
フォロープランはアカウント毎に異なりますが、どの領域のCSMも「会いたいお客さんに会いきれない」、「問題が突発的に発生する」と課題を感じていたのです。
【メリット1】お客様とのタッチポイントを効果的に作ることができる
2018/12/15に記事をリリースしていたRepro岩田さん(@kengoiwt)の記事を見ていただくと分かるように、オンボーディング後のお客様はヘルススコアが高くとも油断できません。
しかしながら、オンボーディング期のように毎日のように連絡を取り合う、という必要性もなくなってくるとどんどんお客様の状況が見えなくなっていきます。
例えば、「予算時期に社内の異動で部門長が代わりコストカットを迫られている」、「効果が出ているかわからない」、「最低限の機能しか使っておらず、導入時想定した活用ができていない」。
こんな風に顧客の心境が変化しているとはつゆ知らず、ヘルススコアを見て満足して解約希望が来る、こんなことを何度も体験してきました。
では、どうすれば良いのか?そう、ユーザ会にお呼びするのです。
気になっているお客様、3~4年、またそれ以上利用いただいていて感謝したいお客様、事例取材に応じてくれたお客様、いずれのお客様にも自然にタッチポイントを作ることができます。
Point:・ユーザー会にCS/営業メンバーを巻き込む、
・会いたいお客様に会える仕組み
【メリット2】孤独になりがちな推進ユーザーが仲間と会える機会となる
SaaS特有かもしれませんが、社内の利用を促進するために動いてくださる推進ユーザーは孤独な戦いを強いられるシーンがあります。
ツールに関する質疑応答から始まり、解決が難しい要望への対応、ツール利用に対する反対派の説得、などなど。
仕様に関する細かな話、運用時の苦労を分かち合える仲間がいることで推進ユーザーをモチベートすることができるようになります。
CSMは毎日のように様々なお客様とやりとりしているため同じような悩みに直面する方と出会う機会も多いですが、そのような機会に恵まれないユーザーにとってユーザー会はオアシスとなります。
当社のユーザー会では、自己紹介から運用に関する話で盛り上がってしまい自己紹介だけで15分使ってしまうことも(笑)
Point:・集客レイヤーを揃えられるテーマを設定する
・テーマに合わせて集客セグメントを切る
【メリット3】新たな出会いが生まれる
toBのユーザー会においては、ユーザー同士が既に取引関係にある、あるいは興味があるサービスを運営している、なんていうことが良くあります。
ユーザー会をきっかけに別で打ち合わせを開くことになりました、などと感謝のお声を頂くことも少なくありません。
また、CSMがその仲介を行うこともあります。自身の担当している企業同士で新たなビジネスチャンスが生まれ、エンゲージメントも上がってくれれば一石二鳥ですね。
気をつけなくてはならないポイントは、逆のパターンもあることです。例えば、競合同士であまり仲がよくない、など業種によって文化は異なるため参加者についてはコミュニティの運営者が最も良く知っておくべきでしょう。
Point:・業種別ユーザ会は業界特性を把握した上で。
・ユーザ会参加者の興味や役割について熟知する癖付けを。
【メリット4】プロダクトを進化させるきっかけに
Product Feedbackはカスタマーサクセスにおける重要な役割ですが、ユーザ会にプロダクト開発メンバーに同席してもらうと、
ユーザー、開発メンバー双方にプラスに働きます。ユーザにとっては、普段抱えているプロダクトへの不満、要望を聞いてもらい改善に役立てることで更にプロダクトへの関心が高まります。
また、プロダクト開発メンバーは基本的に開発に集中すべき役割のため、なかなかユーザーと直接話す機会がありません。
そのため、生のフィードバック、利用シーンを聞くことのできるユーザ会は非常に貴重な場だと好評です。
もちろん、頂いた要望を全て実現しきることは難しいですが、開発メンバーのモチベーションを上げる良いきっかけになります。
Point:・新機能のモック体験等、
ユーザーからフィードバックを得ら れやすいコンテンツを。
・続ける。(1回で終わらせない)
【メリット5】Churn Riskが察知できる
これはやってみて初めて気づいたポイントなのですが、ユーザー会実施は、「使えていない」という声を拾うきっかけにもなります。
イベント後にアンケートをとると、一定数「周りほど使えていない、もっと使いたい」といったお声を頂きます。
これは本当に嬉しい声です、この声を契約更新直前に解約希望として受け取るのか、まだ対処できる時期に受け取るのかでは全然結果が異なります。
フォローコールなどでヒアリングした時に比べ、お客様の温度感も高いためもう1度運用のテコ入れを行うことで将来のChurnを未然に防ぐことができます。
Point:アンケートに「自社の活用度」に関する質問を加える
いかがでしたでしょうか、今回は、カスタマーサクセスにおけるコミュニティ施策のメリットについて書きました。
「Point」と記載した部分に施策実施時のちょいテクを散りばめてみました。詳しく書くとごちゃごちゃするので小出しにしてみましたが、
興味のある方が多いようでしたら、実践編としてこのあたりのちょいテクは公開していけたらと思います。
また、コミュニティマーケティングとしてのコミュニティ施策、コミュニティの作り方など書きたいテーマはまだまだたくさんあります。このあたりは私も小島先生に負けずアウトプットファーストで改めて書きたいと思います。
それではまた!(2018/12/4のイベント運営を支えてくれたCSメンバー達!)