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【推しマチ#01】ウマい!暮らしながら感じる「食のまち小浜」の魅力

筆者は2018年に出身地の東京から福井県小浜市に移住して、地域でまちの魅力を存分に味わいながら暮らしています。古くから都との交流があったり、早くから「食のまちづくり」に取り組んでいたり、歴史・文化を活かしたまちづくりと観光まちづくりを連携した取り組みを進めていたり。たくさんありすぎる小浜市の魅力の、ほんの一部を紹介しながら、筆者の関わる、小浜のまちづくりの一端を紹介させていただきたいと思います。

小浜市は福井県南西部(嶺南)にあります

読めます?「御食国」

 「みけつくに」と呼ばれる(みつけくに、ではないですよ。)のは国内で淡路島と伊勢志摩、そして若狭の3か所だけなんです。小浜市は、福井県南西部に位置する、人口3万人弱の小さな町です。リアス海岸である若狭湾・小浜湾に面して、海と山が近く、地下水も良質で自然環境に恵まれているだけでなく、歴史的資源や文化資源が豊富なまち。

 古くから海水産物を中心とした食材を都の皇室や朝廷へ献上していた「御食国(みけつくに)」として、日本海でとれた新鮮な魚介類などの食材を届けただけでなく、様々な文化の交流も育まれた「鯖街道」の起点のまちとして、また、全国から京都へ食材を運びだす「北前船寄港地」の重要な拠点の一つとして、今なお受け継がれる豊かな食文化が育まれてきたまちです。

市場での競りの様子

全国に先駆けて制定された「食のまちづくり条例」

 同市は2001(平成13)年、全国に先駆けて食のまちづくり条例を制定し、食を様々な観点から捉え、まちづくりの一環として、早くから食育や地産地消などに取り組んでいます。例えば、料理を教えるのではなく、料理「で」教える、をテーマにしたキッズキッチンを始め生涯食育の推進や、食生活改善推進員による地域郷土食の保全・継承など、食文化を基点としたまちづくりを進めています。

 御食国や鯖街道、北前船による各地との交易等でもたらされ、育まれた食文化を守り育てていくために、市や市民、事業者、滞在者が協働してまちづくりに取り組むよう、5つの基本理念が掲げられ、それぞれの立場での共通理解や基本原則が示されています。基本理念(第3条)はとても重要な内容が記載されています。筆者は小浜での街づくりに関わる際には、特に2つめの理念を意識することが多いので、皆さんにも紹介させていただければと思います。

食のまちづくりは、食を活用することにより、小浜市の産業全体が発展し、市民および観光その他を目的として小浜市を訪れる人々(以下「滞在者」という。)が楽しく食べ、語り合うことができる生活環境が整備されるように行われなければならないこと。

小浜市食のまちづくり条例 第3条の2

 「市民および滞在者が楽しく食べ、語り合うことができる生活環境」を整備することにもっと関わっていきたいといつも思っています。

是非食べてもらいたいものの一つ「小浜小鯛のささ漬」
海のすぐそばでも湧水が沸いている「雲城水」

歴史・文化を活かしたまちづくり

 小浜の歴史や文化を継承していくためにも、小浜市が認定を受けている2件の日本遺産(文化庁)に関する取組がとても重要、かつ様々な挑戦を行っているので、ぜひ多くの方に知ってもらえたらと思っています。小浜市には、平成20年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された「小浜西組」があり、日本遺産に認定されている「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖街道~」、「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 北前船寄港地・船主集落」を活かした取り組みが進められています。また、若狭塗箸の産地であり、国内シェアは8割近くあると言われる塗箸を始め、若狭和紙や若狭めのう等の工芸品が残されています。

 特に、隣の若狭町と連携して取り組みを進めている「御食国と鯖街道」に関連する取組は、地域の歴史やストーリーをベースに、単なる文化の保存ではなく、文化を活かした産業振興や観光事業化、地域の普及・啓発等、多岐に渡って「歴史・文化を活かしたまちづくり」のつながりの中で進められています。日本遺産の取組は小浜市と若狭町が事務局を担う協議会が中心になりながら、DMO(観光地域づくり法人)である小浜市内のまちづくり会社や若狭町内の民間事業者などの事業が先導して、官民連携による地域活性化が進められている点も特徴だと感じます。

毎年9月に行われる放生祭(ほうぜまつり)
それぞれ見比べても楽しい化粧地蔵

小浜市文化財保存活用支援団体の取組

 これまでも民間事業者や市民団体との連携や協力を図りながら文化財の保護や活用、観光推進を進めてきている小浜市ですが、令和5年1月には、文化財保護法に基づいた「文化財保存活用支援団体」を4団体指定していて、さらなる民間事業者等との連携・協働による取組を進めているところです。

 筆者が代表を務めるアンドプレイス合同会社も支援団体の指定を受け、全国的にもまだ指定数は多くないまでも、その活動の可能性を感じながら、この指定を効果的に活用していきたいと思っているところです。
 歴史や文化を活かすことと「食」の結びつきが深いこの地で、多様な立場や視点・テーマでまちづくりに取り組んでいる小浜市の、「おばまだからできること」(小浜市文化財保存活用地域計画のタイトルでもある)をぜひ一度、現地にお越しいただき、体感してみてください。

重伝建地区「小浜西組」内の三丁町
三丁町で年に数回開催されている「三丁町バザール」の様子

 美味しい魚介類なんかをアテに、まちづくりのあれこれを小浜で語り合えたら嬉しいです。特に、#食のまちづくり、#日本遺産の推進、#歴史・文化まちづくり、#観光まちづくり、#重伝建、等々に興味・関心のある方にはオススメの町です。2024年3月には北陸新幹線が敦賀まで延伸されます。暖かくなったらぜひ、小浜まで遊びに来るのも含めて福井県へお越しください!

アナゴの醤油干しを七輪焼きで焼いて食べるのが最高です!

(高野哲矢/Jsurp理事・アンドプレイス合同会社)


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