洗顔のヒミツ(1)
みなさん、こんにちは。
皮膚臨床技術研究会のシニアフェロー・牛田専一郎です。
本題に入る前に唐突ですが、私の助手をご紹介しますね。
「みなさんはじめまして、白木葉子です!」
彼女は、お肌の曲がり角を過ぎて何年か経つ『自称・美肌研究家』。
さらに美肌を極めたい! と私の元に弟子入りしてきたんですが、彼女の持っている知識は、根拠のない思い込みばかり。
『脱・自称』の日はまだまだ遠そうなんです。
冬の寒いある日のこと。白木さんがボヤいています。
「空気が乾燥しているからかしら。どうも肌がカサツくんですよねぇ」
洗顔後のお手入れをどうしているか聞いてみたら・・・
「もちろん、寝る前もお手入れはバッチリですよ!クレンジングオイルでお化粧を落として、きめ細かい泡のフォームで洗って、化粧水をたっぷりつけて、乳液もたっぷり塗って・・・」
あちゃ~。
え、白木さんの何がいけないのかって?
では、そんな方のためにご説明しましょう。
白木さんもよ~く聞いてくださいね!
▼洗顔で洗い流しているもの
「皮脂膜」という言葉をご存知でしょうか?
名前だけなら聞いたことがある・・・という方は多いかもしれません。
皮脂膜とは、人間の皮膚の表面を覆っている薄い膜のこと。
肌に潤いや滑らかさを与え、外界からの刺激を守る働きをしています。
洗顔をすることによって、皮脂膜についた汚れが洗い流されます。
洗顔後に何もつけないでいると、なんだか突っ張った感じがしますよね。
それもそのはず、肌に潤いを与える皮脂膜がなくなってしまったからなのです。
▼一番のお手入れ法は「なにもしないこと」!?
肌に突っ張りを感じたら、すぐさま化粧水を手に・・・取りたいところですが、ここでちょっと我慢をしてみてください。
何もつけずに、1時間放っておいてみてください。
勇気の要ることかもしれません。
でも、我慢、がまん・・・。
1時間経過。
そっと頬に触れてみてください。
想像以上に、肌に潤いが戻っていることを実感できるはずです。
皮脂膜は自力で再生します。
人間の肌には、自ら潤いを生み出す能力が備わっているのです。
ところが、毎日化粧水や乳液をたっぷりつけていると・・・
皮脂膜を作る能力が低下してしまうのです。
潤いが増すように、ハリが出るように、と励んでいるはずのお手入れは、
まったく裏目に出てしまうというわけなのです。
とはいえ、お休みの日はともかく、一日中スッピンで過ごすわけには・・・なかなかいきませんよね。
だからこそ、洗顔後の睡眠時間は、肌が休む貴重な時間なのです。
潤いとハリを手に入れたいなら、「何もつけない」。
これが一番の秘策なのです。
「さっそく今夜実践してみます!」
と鼻息の荒い白木さん。
こだわりがあるようでないのが、彼女のよさかもしれません。
明日の朝、何と言ってくるか・・・。
感想が楽しみです。