
第六回オフ会レポート 「シンプル」の条件
櫻田サロンでは、オフィシャルなオフ会が月一回開催されています。8月に開催された第六回オフ会の前半、櫻田さんによるトーク部分の記事は当日のオフ会終了後、すぐに公開されました。
第六回オフ会のテーマは「SIMPLE(シンプル)」。こちらの記事では後半のワークショップ部分についてお届けします。
自分なりの定義を追い求める
この日、櫻田さんがワークショップで設定したゴールは、次の通り。
櫻田さんがこのゴールを設定した理由は明確です。それは、「コピーできない概念だから」。変化のスピードが早い今の時代だからこそ、むしろ追い求めないといけないことかもしれません。
深い、哲学的な思考を求めて――。
この日、櫻田さんはワークの時間を長めに取られていました。最初に設定した時間内で終わらなければ状況を確認し、「結構考え込んでください。」の言葉とともに一つひとつのワークにじっくり取り組めるようにされていたのがとても印象的でした。
はじめのワークはメンバーそれぞれで、デザイン、プロダクト、サービス、キャッチコピー、ファッションなどテーマは自由に「シンプルだと思うもの」を3つ挙げるというもの。
こちらのワークは、インプットからアウトプットへの流れでいうとまだ情報収集フェーズであり、後々「考える」ための元ネタを探している状態です。料理に例えると素材を集めている段階と櫻田さんは説明します。
ここからだんだん使えるサイズに加工していかないとならないわけで、そのためには素材はいくらあってもいいもの。「3つ思いついた人はもっと思いついてください。」という声かけもありました。
次のワークはシンプルだと思った理由を各3つずつ挙げること。
ここでも3分と設定したものの、「しっかり考えてほしいから5分にしようかな。」と長めに時間を取る櫻田さん。この日のオフ会は、わいわいせずにあくまで静かな雰囲気のまま進行しており、櫻田さんはこれについて3つのチャレンジをしていると説明しました。
それは、「アイスブレイクをしない」「自己紹介をしない」「早い段階で話をふらない」というもの。
普通のワークショップだと、みんなに聞いて回るシーンが必ずといっていいほどあるのですが、そうすると誰かの意見に影響を受けるから、あえてやらないでみたそうです。シンプルをオフ会のテーマにした時点で難しいなと思っていたそうで、普通ではなく実験精神でやっていると話されました。
ここからはグループワークに入ります。
ここでも十分に時間を取り、グループでディスカッションをします。ディスカッションの上、しぼった条件をベン図にしてサロンのFacebookグループのページにそれぞれ投稿してもらいます。
当日、会場参加できずオンライン参加の人にも投稿を促します。櫻田サロンでは、オンライン参加組もリアルタイム視聴できる人は一緒にワークに参加してくれる人が多いのが特徴です。オンライン参加同士でコメントのやり取りが盛り上がったり、櫻田さんも積極的に拾ったりして双方向のやり取りを楽しんでいます。
投稿したベン図をスクリーンに映しながら、グループの代表者が前に出て発表したのですが、はじめの発表が今回のワークのハイライトだったかもしれません。
こちらのグループからシンプルである条件として発表されたのは、「やさしさ」と「余白」が重なり合ったベン図でした。
「やさしさ」は、ユニクロや無印良品、ソフトバンクのロゴを例に挙げ、わかりやすさにも通じる選ばなくてもいいという「やさしさ」。「余白」は、ユニクロのシャツをデコる人を例に挙げ、人によって作り変えていける、やりたいように応用できるという「余白」であると説明がありました。
櫻田さんからは、二文字漢字の時は真ん中に半角スペースを入れるといいという具体的なアドバイスが出るシーンも(余白 → 余 白)。細かいけれど、そういった細部へのこだわりこそが、最終的にはシンプルさにつながるのでしょう。
そのほかのグループからも、次々とベン図が発表されていきます。いずれも本質を探っていくと、たどり着くところがどうも共通しているようです。
こちらは、最初のグループとほぼ同じワードを選んでいたグループです。誰にでも受け入れられるという意味での「優しい」という言葉が挙げられていました。たとえば、会議で飲み物を配るときにコーラでなくお水が選ばれるのは、誰も嫌いではないからという説明がありました。
「他のチームと同じで驚いた。」という声も上がるほど複数のグループが同様の結論にたどり着いていたのは、驚きでした。櫻田さんも思わず「いい人たちなんですね、みんな。」とコメントするほど。
オンライン組も、ベン図を投稿しています。その中から山本さんの提出したベン図はこちらです。
オンライン参加の方については、櫻田さんご自身が解説されました。
「形状が単純」はフォーマットに近く、「機能が少ない」ことはわかりやすさに通じ、「拡張性」は余白に近いということで、こちらも「優しさ」と「余白」に行き着いていました。
櫻田さんの考えるシンプル
一通りワークと発表が終了した後、「ぼくの場合」と題して、櫻田さんが考えるシンプルの条件についてお話がありました。
櫻田さんは、これ以上にシンプルな言葉に出会ったことがないと言います。具体的な数字と、ポケットに入るという具体的なメリットがこれ以上削れない状態で表現されています。
1000曲あるというのは、安心感につながり、ポケットに入るということはカバンにも入るわけですから、ミニマムだけど最大限の効果を与えています。
ギリギリまで削れない、かつ無限の可能性を感じさせるというのは、みなさんでいう余白に通じていると説明してくれました。
櫻田さんの考えるシンプルの条件は、こちらでした。
ここで櫻田さんは、みなさんのたどり着いた結論を見てダメだな、と後悔したそうです。櫻田さんはあくまで作り手の視点であり、安心感や優しい感じというのは思いもつかなかったそうです。自分の導き出した条件が、「作り手が目指さないといけない二か条」みたいになっていると。
それに対してみなさんは受け手として考えてくれており、みなさんが挙げたやつもおそらく合っているから、自分で作るときに気をつけるといいというアドバイスがありました。
たとえば、最初のチームの導き出した言葉は短くて覚えていられるのが優しさにつながっており、逆に長かったところは覚えていられない。
図になろうと、インフォグラフィックにしろ同じで、言葉レベルでできていないことは作れないと櫻田さんは言い切ります。それは翻訳であり、まず言語化ができるかということを徹底的に考え抜く。この日のワークでも実際に考える時間は長く取られており、その姿勢は強く伝わりました。
月に一度、深い深い内省の機会をくれる櫻田サロンは、忙しい毎日を送る人にこそ効果が高いサロンかもしれません。
こちらのオフ会のあとに行われた懇親会でも、深く語り合った結果、記事が生まれました。より深く櫻田サロンの雰囲気が味わえるので、よかったらあわせてご覧ください。
◇ ◇ ◇
◆CAMPFIRE COMMUNITY FESTIVAL にてワークショップ開催します!
9月29日(土)に開催される「CAMPFIRE COMMUNITY FESTIVAL 2018」は、CAMPFIREさんが主催するコミュニティの祭典。当日はたくさんのサロンが集結し、サロンオーナーによるトークやサロンごとのブース出展などが予定されています。
このイベントで櫻田サロンでは、櫻田さんによるワークショップが開催します。現在サロンは満員ですが、少しでもサロンの雰囲気を感じてみたいという方は、このワークショップに参加してみてはいかがでしょう? お待ちしています!
コミュニティを分類したらどうなるか、コミュニティに期待するのは何か、自分に合うコミュニティは何かを図を使って考えるワークショップです。
『たのしいインフォグラフィック入門』『図で考える。シンプルになる。』の著者で、NewsPicksインフォグラフィック・エディターの櫻田潤がレクチャーするので、はじめて図解に挑戦する方でも大丈夫です!
図解の基礎を学びながら、コミュニティを考える。一挙両得な内容です。
CAMPFIREファンクラブのいずれかでパトロンになっている方は、無料で参加できます。
下記フォームからお申し込みください。
<CAMPFIRE COMMUNITY FESTIVAL2018お申し込みフォーム>
<一般の方は、こちら>
<ワークショップお申し込みフォーム>
櫻田潤の「図解・インフォグラフィック」
サロンは現在、満員状態ですが、月末に空きが出ることがあります。また、少数ですが月初のタイミングで追加募集をする可能性もあります。
気になった方は、ぜひチェックしてみてください。
お問い合わせ:junsakurada.salon@gmail.com
◇ ◇ ◇