ドラマ『ぼくらの勇気 未満都市』を思い出す
27年前、若かりし頃のKinKi Kids主演で『ぼくらの勇気 未満都市』というドラマが日本テレビ系で放送されていた。「愛されるよりも 愛したい」というキンキの名曲で始まる。衝撃的なドラマだったから覚えている方もいると思う。
(※冒頭写真:https://shop.ntv.co.jp/item/1003aAAZ0085)
ドラマのあらすじ:
幼いながらに忘れられないシーンがある。幕原地区に乗り込んだヤマト(堂本光一)とタケル(堂本剛)たちの前に巨大な防護フェンスがそびえ立っている。「ここから出せや」というタケルに、銃で威嚇する政府。「ここから出ようとする者は撃つ、抵抗する者は撃つ」と。
新型コロナ感染症の外出禁止令のなか、ほぼ封鎖状態の世界を見て、このドラマを思い出した方もいるかもしれない。
でも、私にはそれ以上にガザの封鎖状況と被った。1997年のドラマの架空世界は、実際の世界にもっと惨い形で存在した。
軍事封鎖開始から10年以上経った2018年のガザ、イスラエルとの境界フェンス沿いで始まった「帰還の大行進」というデモ。毎週金曜日に行われ、1年以上続いた。
丸腰の市民が、ただガザの封鎖解除を求めてフェンス沿いに集まって、練り歩いた。
トランプ米元大統領が、エルサレムをイスラエルの恒久的首都として認め、米大使館を、テルアビブからエルサレムに移した。その移転セレモニーがエルサレムで行われていた日、ガザのフェンス越しでは、一日で医療従事者を含む60名以上のガザの市民が射殺された。
あのとき、世界は一時的に反応したが、そのあと何もなかったかのように黙認した。
『ぼくらの勇気 未満都市』では、若者が街に秩序を築こうと奮闘する。
ガザでは、将来に希望を見出せずに、あの毎週続いたデモで、射殺されにいく=「殉教しにいく」若者たちもいた。
当時、ジャーナリストの土井俊邦さんの現地ルポを読んだ。(https://www.facebook.com/toshikuni.doi/posts/10216740617963661)
宗教上、禁じられた自殺をすれば、家族の恥として晒される。でも、殉教すれば、尊厳ある死を選べる。
デモに参加する理由を聞かれた若者は、こう答える。
また、負傷すれば、西岸の政府から少額ながらに「見舞金」がもらえるという理由から、治療費にも及ばないお金を得るために、デモで撃たれに行く若者もいた。
今、ガザでは一日に数百名の人が殺されている日もある。そして、200万人以上の人々に飢餓、餓死という手段が用いられている。
幼い頃のドラマの記憶 ーーー 無防備な若者を狙う警察
ガザの封鎖 ーーー フェンス越しに、丸腰の若者を狙うイスラエル兵
あのドラマを覚えている人がいれば、ガザの10月7日前の封鎖状況を、少しだけ想像してもらえるかもしれない、ふとそう思った。
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