【デザイナー探し】デザイナーに相談する?工務店のみに依頼する?何が違う?■入門編■
店舗をオープンしようとすると、デザイナー(インテリアデザイナーや建築士)に相談するか、工務店に相談するかが大きな分岐点となります。ここではその二つの選択肢のざっくりとした違いをご紹介します。
デザイナーに相談するメリット
①専門的な知識と経験
デザインや建築に関する専門的な知識と経験を持っています。専門知識を活かして、機能性の相談をしながら、美しい店舗を入手することができます。デザイナーは工事をしないため、デザイン料や設計監理料にて収益を得ます。工事する工務店は別になるため、クライアントと共に「良いデザイン」を実現するためのパートナーとしてよい右腕になります。例えばデザインや設計だけでなく、現場に監修や監理と呼ばれる調査に入ってもらうとデザイン品質の悪くなりそうな箇所への指摘や、現場が悩んでいる工事内容について冷静な目線で助言してくれます。また権利区分として重要な判断が必要な場合はクライアントに連絡報告が入ります。専門家の知識と経験を取り入れることができるのが「デザイナーに相談する本質」といえます。
ただし、デザイナーにはクセがあり、得意分野と苦手ジャンルがあったりします。デザイナーの特性を見抜きよきパートナーを見つけることが重要です。
②統一感のあるデザイン
デザイナーの仕事は「デザインをして報酬を得る」の一言です。報酬は各々で前後しますが、工事費のような金額はかかりません。プロジェクト全体で言えば、備品などを含めると5%~13%程度が一般的です(超ローコストの場合は20%程度に至ってしまう場合もあります)。こうした金額体であれば費用よりも「デザイン能力と管理能力」でデザイナーを選びたくなります。
良いデザイナーを選ぶポイントは、「熱意」です。デザイナーは仕事としてデザインする裏に「空間作品をつくる」というモチベーションがあります。熱意のあるデザイナーはそのモチベーションが高く、結果として費用以上の働きを得られる場合があります。
その効果として最も重要なのは「統一感のあるデザイン」です。デザインには趣味嗜好がありますが、それ以上にサービス内容は事業コンセプトに適合する空間デザインであることが重要です。ブランドイメージ等と統一感を感じられることで、ワンランク上のデザインされた空間にて事業が運用できます。特に店舗のインテリアに加えて外観や、店内動線と商品配置計画、グラフィックデザインやパンフレットデザインなどが全体として違和感なく完成することで、「あつらえた世界観」を獲得することができます。
ネットワークと連携
デザイナーをパートナーとして得られることで、デザイナーのもつ人脈による補完が期待できます。関係者に電気の専門家がいれば、きっと電気関連で悩みがあったときに相談してもらえるでしょう。専門家達はそのネットワークにより高い助言やサービスを展開しています。場合によっては健材メーカーや家具メーカーなど連携により自分では見つけられなかっただろう素材を取り扱ったり、必要な設備などの助言ももらえるかもしれません。
デザイナーに相談するデメリット
専門家を雇う費用
デザイナーという専門家を雇うため、それなりの費用がかかります。全体コストを考えた時に、真っ先に一定パーセンテージを削る方法として「デザイン等を委託せず、自己判断で店舗を計画する」ことがあげられます。デザイナーを雇うことで、「全く違和感なく問題のない完璧な計画となる」とはいえません。人間毎に使い勝手は変わりますし、オペレーションによっては優先すべきことが別にできたりします。こうしたことから「デザイナーの有無を損得で勘定する」とお金がかかるという点で損と考えることになります。しかし長期的に考えるとデザイナーの知見などを獲得し、店作りやメンテナンスの悩みを相談できることは損得以上の価値があるとも考えられます。
転ばぬ先の杖となる設計プロセスは時間がそれなりにかかる
デザインするということは、「こういう世界感の空間をつくる」ということを考えて設計することです。まだ見ぬ空間を考えながら、クライアントとアイディアを共有してコミュニケーションを重ねて設計するため、それなりのデザイン期間がかかります。早くデザインがまとまったとしても、一ヶ月や二ヶ月要する設計期間もありえます。家賃などの費用を考えると馬鹿にならないので、早めにデザイナーを選定し、フリーレントを設けられるよう不動産仲介業者に交渉しましょう。
一方、デザインや設計図面のない工事発注は、意図と違う店舗づくりとなるリスクや、後出しの相談が追加発注項目となり、スケジュール遅延の要素となったり追加請求されることがあります。
工務店のみに依頼するメリット
一括請負によるシンプルな発注
工務店による設計施工は建築一括発注工事の300平米以上でなければ(建築士法参照)、一括請負となるため、発注ルートがシンプルで、工務店担当者と話だけをすれば完成するため手間が省けます。
デザイン能力に長け、建築やインテリアに詳しいクライアントであれば自らデザインと設計し、工務店に発注することでコストダウンが図れます。
迅速な工事
工務店が自ら設計し、工事するということは自己解決することのできる仕事となるといえます。専門家でないクライアントであるばある程度任せてしまうことになるため、裁量を委ねられたことになり、ドンドン工事を進めてくれます。
一方設計内容と工事内容ブラックボックスとなりやすいため、悪意のある業者のとき、現場の問題が発生したときの真相はわからなくなりがちです。
工務店のみに依頼するときのデメリット
デザインの限定性
工務店は工事業務に特化しており、デザインに関する専門知識は限られている場合があります。デザインのクリエイティブな側面においては制約が生じるかもしれません。
設計の責任と品質管理
工務店は施工をするための設計は得意ですが、デザイン全体に及ぶ設計や品質管理においては限定的な責任しか持ちません。デザインのアイデアや品質の確保については、事前の打ち合わせや契約内容に注意が必要です。
まとめ
要点をまとめると、インテリアデザイナーや建築士に依頼することで、専門的な知識と経験、統一感のあるデザイン、ネットワークと連携などのメリットがありますが、デザイン設計監理料や時間のかかるプロセスがデメリットとして考えられます。
一方、工務店のみに依頼する場合は、一括請負のシンプルさ、迅速な施工とスケジュール管理がメリットといえます。しかし、デザインの限定性や設計の責任と品質管理に関するデメリットも考慮する必要があります。どちらの選択肢が最適かは、予算や時間、プロジェクトの規模などを総合的に考慮し、判断する必要があります。
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