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『最長片道切符の旅』を旅する day26 夜 運転するんは好かん
「『最長片道の旅』を旅する」は
宮脇俊三『最長片道切符の旅』(新潮文庫)を忠実にたどる記録です。
名古屋から紀伊半島を一周して大阪へ。今日は途中、名松線を乗りつぶして松阪泊まり。松阪で牛を食べるのだ。
(東京)0846(新幹線)1020 名古屋 1108(関西本線)1218 亀山 1222(紀勢本線)1303 松阪(1335[名松線]1450(伊勢奥津)1514[名松線]1632(松阪)
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宮脇先生の『最長片道切符の旅』新潮文庫を持ってくるのを忘れた。名古屋駅の書店で一冊買い求める。『最長片道切符の旅』単行本、文庫本二冊、『取材ノート』単行本、文庫本と5冊持ちになった。はは。
名古屋から関西本線、スーツ姿のサラリーマンが多い。名古屋から亀山までの乗り越し精算が多い。「亀山詣で」だな。
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木曽川の手前、弥富駅には「日本一低い駅」の看板があった。「−0.93m」だそうだ。この辺りは海抜0メートルだからな。
亀山で接続よく紀勢本線に乗り換える。乗り換えた客はわずかだった。まあここは近鉄、名鉄が競ってるところだからな。津駅からは近鉄名古屋線が並走する。こちらはディーゼル単線、あちらは電化複線。特急がびゅんびゅん走っているよ。これは「国鉄」の時代からそうであったようだ。
名古屋から津へ行くのにこの列車を利用する人は皆無であろう。名古屋駅の東口から頻発する近鉄に乗れば急行で一時間、しかも運賃も安い。津ばかりではない。桑名でも四日市でも、国鉄はまったく近鉄に歯がたたない。
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松阪駅到着。松阪(まつさか)は(まつざか)ではない。茨城(いばらき)も(いばらぎ)ではない。駅改札口のそば屋で「松阪うどん」を食べる。太くてもちもちしたうどんで、出汁が甘い。牛肉のそぼろがたっぷり入っていた。(2018年閉店)
まだ昼間だが、今日はここで泊まりとする。未乗の名松線に乗るためである。この線は台風で甚大な被害を受けて、しばらくの間、全線が不通になっていた。この線はいつ廃線になってもおかしくないので(すまん)、乗れる内に乗っておこうと思うのだ。しかし地元の努力でここはなかなかしぶといな。 (top写真 伊勢奥津発松阪行き 運転再開一番列車 Metroplex)
1335 松阪発、終点伊勢奥津まで43km、1時間15分。けっこう長いよ。この沿線は三浦しをん『神去なあなあ日常』、映画『ウッドジョブ』でロケ先になった。私は本も読んだし映画も見ていたので、うんうん、ここかあと興味深かった。本当に山や森が整備されていて美しい。
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しかし列車の乗客はほとんどいなかったなあ。終点で降りたのは私だけだった。
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伊勢奥津駅には駅ノートがおいてあり、けっこうな人が乗りに来ている。ホームの端には蒸気機関車時代の給水塔が残っている。
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列車はワンマンでそのまま折り返す。ホームで運転手さんとぼちぼち話す。
「この線も名張まで伸びとったらもうちょっとお客さんが乗るんじゃろうが。しかしこの先は谷が深いけ、出来とっても運転が大変じゃ。この辺、夜は鹿がようけ出て、夜 運転するんは好かん。ここ十年で鹿はようけ増えた。雨の日にはねたら、びしょ濡れで引きづり出さにゃならん。山に餌がのうなったんかのう」
帰りの列車は学校帰りの高校生で一杯だった。
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松阪の町は一部古い町並みが残っているもののほとんどリニューアルされてしまっている。さて、今晩は肉を食うぞ。
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先ず評判の「和田金」に行ってみた。が、その外観に恐れを成して(ていうか1万円以下はないというメニューに驚いて)早々に退却。こりゃいかんわ。
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で、金の次は銀だろう、というので「牛銀」へ。そしたらここはもっと敷居が高そうで、でも一応聞いてみたら座敷の一人は断られて(ほっ)、隣りの洋食屋を紹介された。
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サロイン焼き肉定食¥6,000。見かけは¥1580の焼き肉定食なんだが、肉が違う。もう文字通り「口の中で溶ける」のよ。これは一回行ってみる価値はあると思う。いやあ、ごちそうさまでした。
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