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行動する技術者たち 行動と思考の軌跡

土木学会事務局です。

「行動する技術者たち」は、2006年から2008年まで土木学会誌で、2008年から2017年まで土木学会HPに掲載していた連載記事です。”近年の多様化する市民ニーズや複雑な課題、めまぐるしく変化する社会経済情勢を踏まえ、これからの国土・地域づくりに取り組む土木技術者や同様の意思と実績をもつ”方々を「行動する技術者」と呼ぶことにしたと、連載開始時の「まえがき」にあります。

「まえがき」の文章の初出は15年前ですが、2021年の今に至るまでの間、情報通信サービスの急速な進化と普及、東日本大震災という歴史的な災害、気象の変化による水害・土砂災害の激甚化、世界的なパンデミック、国際情勢など、より大きな変化が今も継続している状況において、先駆者たちが、新たな時代の国土・地域づくりに対して行った努力と挑戦の取り組みは、これからの時代においても大きな示唆を含んでいると思います。

今般、特に普遍的な価値観を含む取り組みについて、note上で再構成し、不定期に掲載することにいたしました。「行動する技術者」の取り組みが、今の時代に暮らすみなさまの、暮らしたい未来に向けた取り組みのヒントとなればと思います。本noteでは連載各回のタイトルと見出し文を掲載しました。なお、連載記事のすべては土木学会のHPで公開しておりますので、興味を惹いたテーマがございましたら、以下リンクよりご覧ください。

※記事中の名称・所属等は掲載当時のものです。

連載目次

【第1回】 エコポイントで名古屋から世界を変える!
 名古屋大学大学院教授 森川高行氏

公共交通利用の促進を狙い、ポイントを貯める中で自分のエコ行動の効果を可視化。技術者のリーダーシップと地域の関係者との連携により大きく前進

【第2回】 「守り」の農業から「攻め」の農業へ
 東北大学大学院教授 稲村肇氏

既存インフラ利用で国産高級りんごを中国本土に直接輸出するルートを整備。「守り」の農業から「攻め」の農業を実証。地域の元気や活力にもつなげる仕組みづくり

【第3回】 「無用の水」が「恵みの水」に!
 国分寺市役所 石島修二氏

それまで,やっかいものとして下水道に流されていたトンネルの湧出水を,環境用水として活用した,「マイナスからプラス」への発想の転換

【第4回】 道路にも駅を!
 元:国土交通省中国地方建設局道路計画第二課長、
 現:日本建設コンサルタント(株) 徳島征二氏

全国各地に広まった「道の駅」。そのきっかけと制度づくり,地域への普及の過程

【第5回】 高齢者はまちの宝!伊達市ウェルシーランド構想
 伊達市役所 三戸部春信氏 竹内典之氏

温暖な気候や近郊の自然・文化資源という地域の魅力に加え,「高齢者が住みやすいまちづくり」をすすめ,全国から高齢者を「誘致」して地域社会・経済の活性化につなげた,「マイナスからプラス」への発想の転換

【第6回】 町民の、町民による、町民のための草津
 東京工業大学名誉教授 鈴木忠義氏

日本屈指の温泉街として知られる草津。草津は温泉街からリゾート観光都市として発展したが、その発展に開発という側面で寄与した氏が、町民の生活の場としても草津を発展させたい、という熱意と行動の事例。

【第7回】 “みち”から「新しい価値の創造」を!―シーニックバイウェイ北海道の挑戦―
 国土交通省北海道開発局建設部道路計画課調査官 和泉晶裕氏

移動するだけの道路から,映画のシーンのように心に刻まれる景色や地域をつなぐ道路へと,価値観を転換した取り組みや制度づくりへの熱意。

【第8回】 住民対話型の道づくり
 米国マサチューセッツ州元運輸長官 Frederick P.Salvucci氏

米国ボストンの"The Big Dig"プロジェクトにおいて、住民との対話による道づくりを推進。ボストン生まれ、ボストン育ちの氏が地域密着型で高架高速道路の地下化に情熱を捧げて取り組んだ事例。

【第9回】 できることから、少しずつ
 埼玉大学大学院教授 久保田尚氏

地域の人々と行政と結び,時間をかけて,交通を基盤としてまちの問題解決,活性化に取り組むねばりと情熱。
 従来型の専門領域を超え,将来を見据え,関係者の利害を調整しながら実現させる,現代の技術者の姿。

【第10回】 公共交通は『正便益・不採算』
 京都大学大学院工学研究科助教授 中川大氏

地域の店舗、醍醐寺、病院などの協力施設と個人パートナーが支える「市民共同方式」を構築し、行政の補助を受けないバスを運行し、運行開始後の一年間、順調な利用者獲得を達成。

【第11回】 培った技術をモンゴルへ!
 足利工業大学工学部教授 桃井徹氏

日本の舗装技術のモンゴル共和国への移転に尽力。
日本では使われなくなったが、住民自らの手でできる、簡易だけれども優れた技術を移転し、生活環境の改善に取り組む。

【第12回】 逃げない人を逃がすには
 群馬大学大学院教授 片田敏孝氏

「脅しの防災教育」ではなく「理解の防災教育」の推進普及に尽力。災害発生時に情報が提供されても「逃げない住民」。彼らの心に寄り添い、評価尺度を理解した上で、行動変容を導く活動に取り組む。

【第13回】 草の根ITS -身の丈に合わせたIT活用-
 高知工科大学教授 熊谷靖彦氏

厳しい財政状況から道路整備が進まず、また、供用までの時間が明確にできない地方都市において、地域の道路状況を低コストのITSを活用して改善することに取り組んできた

【第14回】 「もったいない」を生業に!
 (株)EX都市研究所特別顧問、(株)環境構想研究所所長 青山俊介氏

エコタウン事業の立ち上げ、発展に尽力。環境リサイクル事業として、不要な廃棄物の有益性に着目し、地域の生業(環境ビジネス)として育て上げた事例。

【第15回】 デザインを生んだ。市民が育てた
-都市の河川の景観を、太田川河川整備-
 東京工業大学名誉教授 中村良夫氏

中村良夫先生が主体となり、基町環境護岸整備を表情豊かな景観づくりに視点を置いた、人々が憩える河岸緑地として実現。

【第16回】 愛すべき現場をもて ~由布院の思いを一つに~
 猪爪範子氏

昭和53年、由布院温泉観光協会事務局長に就任、催し物進行から東京霞ヶ関との連携まで指揮をとり、由布院のまちづくりを再生。行動する女性技術者の事例。

【第17回】 地域テーマで世界も牽引 ~世界に発信する日本の寒冷地工学~
北海道大学総長 佐伯浩氏

北海道の厳しい気象条件(流氷など)に適応した社会資本(港など)を整備するため、地域に入り奮闘した事例。

【第18回】 郷に入れば、郷に従い「地域をつくる」「生活をつくる」
 (株)アルメック取締役 岩田鎮夫氏

日本の都市計画・交通計画のスキルを基にフィリピンなどの東南アジアの都市において「活きた都市づくり」に取り組んだ事例。

【第19回】 公園で地域をつなぐ
 ―物売りからアートマーケッツへの変身―
東京都建設局公園緑地部参事 小口健蔵氏

従来、管理が中心であった都立公園を、収益イベント等の実施により、積極的に活用し、日比谷公園における公園経営を打ち出し、井の頭公園では公園を核としたエリアマネジメントを打ち出した事例。

【Web版第1回】 工期短縮は知恵と工夫と熱意の結集
~イスタンブル・ボスポラス海峡第2大橋建設より~
(株)IHIスタフグループ技師長 滝沢通明氏

海峡を挟んで市街地が形成されているイスタンブールの第2番目の架橋。技術者の努力と熱意で工期を短縮し、慢性的な渋滞を回避。

【Web版第2回】 人による渋滞を解決するのは人
 ~モビリティ・マネジメントの取り組み~
 京都大学教授 藤井聡氏

交通需要マネジメント手法に限界を感じ、交通の主体である一人一人の自発的な行動を促すことによって渋滞等の道路状況の改善を図る取り組み。

【Web版第3回】 古都1200年の雅を支えた地下水の解明 
~それは豊穣な地下水に秘められていた!~
 関西大学環境都市工学部長・教授 楠見晴重氏

古都「京都」1200年の栄華を支えている地下水の適切な水利用や保全について、地下構造や地下水の研究を専門とする技術者が行っている技術支援活動。

【Web版第4回】 テクニカル・スキルとヒューマン・リソースで事態をのりきる~首都高速5号線池袋線火災事故からの復旧~
 首都高速道路株式会社常務執行役員 藤井敏雄氏

復旧に半年以上かかることが予想された未曾有の火災事故を、現場と関係者の調整を取り仕切り、早期復旧に奔走することでわずか73日間で工事を完了。

【Web版第5回】 「土のう」が人々の生活と意識を変えた!
 京都大学産官学連携センター教授 木村亮氏

雨期に通行不能となるアフリカ特有の膨張性粘土質の道路復旧に対し、現地の実情にあわせ、現地でも材料が調達でき、かつ、住民たちの人力で施工可能な「土のう」の普及に取り組み、地域づくりに貢献。

【Web版第6回】 「やってみたい」が市場を広げた
 ~異業種交流で進化する土木分野の情報化~
 株式会社リプロ顧問 高田知典氏

GPS、デジタルカメラ、センサー、ICタグなどの情報技術を、時代に先駆けて土木分野に活用。社会に貢献する技術が、土木の市場を広げた。現代の土木分野における情報化の立役者。

【Web版第7回】 「ローカリズム」の実践を世界で
~災害多発国 日本からの技術的貢献~
水災害・リスクマネジメント国際センター長 竹内邦良氏

災害多発国である日本の災害対策の経験や知識・技術を世界各地の防災に役立てるため、世界唯一の水災害機関ICHRAMの日本国内での設立に尽力され、現地の人が自らの経験や地域の実態に即した仕組み・やり方に気づき、取り組むための教育プログラムと人的ネットワークを構築。

【Web版第8回】 当事者だからできること
~消えてゆく京町家(まちや)の保存のために~
 京町家再生研究会 小島冨佐江氏

次々と消えゆく京都の伝統的な木造建築、京町家。「一軒の家を100年残すというのは大変なこと」・・・町家に住む当事者としての視点から、住み手の生活をも考えた町家保存の道を語る。

【Web版第9回】 歴史の中に未来のアイデアがある
~土木遺産登録活動を通してこれからの管理方法を再考~
文化庁文化財調査官 北河大次郎氏

土木構造物の遺産としての保全活動について、文化財登録制度を通じて、その歴史的な意義、保全方法の理解と普及に貢献。文化的遺産として土木構造物を観ることで過去の知恵の再認識や新たな価値観の発見、維持管理の思想を語る。

【Web版第10回】 競争から共創へ
~スルッとKANSAIが拓く交通と地域の新たな価値~
スルッとKANSAI協議会事務局長 横江友則氏

阪神大震災での振替輸送の対応を契機に近畿一円に利用範囲を発展・拡大してきたスルッとKANSAI。拡大したネットワークを活かし、博物館や神社仏閣等の観光施設と連携することで新たな顧客を呼び込む。また、世界初のポストペイ制度導入で、今後、環境施策への対応するためのより柔軟な運用や地域づくり連携など交通コミュニティ・カードとしての可能性を示唆。

【Web版第11回】 しぶとく、明るく、トライアンドエラー
~時代の変化に応えた下水膜処理技術開発~
日本下水道事業団技術開発部長/東京大学客員教授 村上孝雄氏

医療・製造や海水ろ過の分野で導入が始まった膜処理技術に注目し、大量の廃水処理を行う下水道分野で「膜分離活性汚泥法(MBR)」の技術開発から普及に至るまで、果敢にチャレンジし、多くの困難を乗り越えてきた。

【Web版第12回】 着実な成果が住民意識を変える!
 ~水生植物を活かした水質浄化~
 株式会社フジタ技術センター主席研究員 島多義彦氏

水生植物は根の周りに住む微生物が水の汚れを食べて分解すること、そして、多様性のある生態系が形成され、食物連鎖が生じることに着目し、自ら現場で率先して水生植物を植え、住民を巻き込んだ都市河川や閉鎖性水域の水質改善、自然環境の再生を持続的な取り組みにより果敢にチャレンジしてきた。

【Web版第13回】 まち場の発想は、無限の広がり
 ~北前船ルートぼうさい朝市ネットワーク~
 早稲田エコステーション研究所 藤村望洋氏

何のつながりもないかに見える「朝市」と「防災」。この二つを結びつけ、おいしく楽しい防災活動のネットワークを全国各地に広げる。「北前船ルートぼうさい朝市ネットワーク」の生みの親が語る、発想の原点。

【Web版第14回】「足元を見る、地域を知る」ことから小さな世界都市へ
~人もコウノトリも住める、環境と経済が両立した地域活性~
豊岡市長 中貝宗治氏

一度絶滅したコウノトリの野生復帰を目指し、放鳥後の「コウノトリも住める環境づくりとは何か?」を考え抜くことで、住民にとっても良い環境づくりと、環境と経済が両立し得る地域活性を実現。

【Web版第15回】 技術を育み公道展開、そして生活空間へ
~ITS黎明期の技術開発をかたちに~
特定非営利活動法人ITS Japan 専務理事 天野肇氏

いまや快適なカーライフに欠かせないETC…その第一歩は、工場のFA技術を用いた海外での公道実験にあった。新しいことに積極的にトライする精神を大切に、技術力とマネジメント力の両輪を駆使してITS普及を楽しく牽引。

【Web版第16回】 串とお団子のまちづくりが生活を豊かに
~公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり~
富山市長 森雅志氏

人口減少に直面しても活力に満ちあふれたまち、市民・企業が誇りを持ち魅力を感じるまちを形成するためには、クルマに依存せず誰もが自由に移動できることが重要だ───こういった強い信念のもと、LRTを起爆剤とした公共交通網強化を推進。また、市民生活・文化・デザインなどの多様な視点も踏まえながら、「串とお団子のまちづくり」と自ら表現する公共交通沿線まちづくりを今も牽引し続ける自治体首長の情熱と行動。

【Web版第17回】 まちのシンボルは市民の誇り
~世界遺産・姫路城大天守保存修理による“ふるさと意識”の醸成~
姫路市長 石見利勝氏

世界文化遺産にも登録されている姫路城では、現在、平成の保存修理事業が行われています。今、姫路城で見られるのは、城を完全に覆う巨大な素屋根(すやね)の中へ向かう観光客、大天守の高さまでのエレベーターへの列、最上部の見学スペースでは、間近に迫った姫路城を正面にガラス越しに見つめる人々の笑顔。45年ぶりとなる姫路城の修理工事を、まちのシンボルを見直す機会に変えた自治体首長の新しい価値の創造への取り組み。

【Web版第18回】 島民の思いを受け止め復興・再生へ奔走
~福岡県西方沖地震・玄界島震災復興の取組み~
元福岡市玄界島復興担当部長 須川哲治氏

福岡市の玄界島復興担当部長として、全島民が一丸となって復興に取り組むことを支援し、島の復旧・復興に向けて、避難所への転居から整備手法の選定、復興計画(しまづくり案)の策定、事業(工事)の発注・執行管理までに奔走し、約3年という短期間で復興事業をとりまとめた取り組み。

【Web版第19回】 一人ひとりが土木の意味を伝えていこう
~イメージアップ広報からの脱却~
(財)全国建設研修センター 緒方英樹氏

土木絵本やアニメ映画「パッテンライ」などの取り組みを通じて、インフラの利用者に土木そのものを理解してもらうという、これからの社会の土木への理解を変える可能性を秘めた新たな広報活動の取り組み。

【Web版第20回】 チャレンジドが誇りを持って働ける社会へ
~ICT技術が拓くユニバーサル社会~
社会福祉法人プロップ・ステーション理事長 竹中ナミ氏

「チャレンジド(障害を持つ人を表す新しい米語)を納税者にできる日本」というスローガンを掲げ、コンピュータを使った在宅就労の支援を通じてチャレンジドに働く喜びや誇りを与え、働く意欲のある人なら誰でも障害の有無に関係なく就労のチャンスを得ることが出来るユニバーサル社会を目指し活動する取り組み。

【Web版第21回】 飛騨トンネルが地域連携の風穴を開ける
~難工事を克服した技術者の決意と挑戦~
中日本高速道路株式会社 川北眞嗣氏

新技術への挑戦、不良地山や大量湧水との格闘を繰り返す難工事…20世紀最後の大規模プロジェクトといわれた飛騨トンネルに正面から向き合い、トンネル工法や施工計画の検討から現場指揮まで一貫して担当し、東海地方と北陸地方の地域連携に大きな成果をあげたトンネル技術者の取り組み。

【Web版第22回】 マニュアル超えから技術革新へ
~LNG貯蔵用地下タンク世界記録への挑戦~
清水建設株式会社土木技術本部副本部長 黒田正信氏

クリーンエネルギーとして利用されている液化天然ガス(以下、LNG)の貯蔵用地下タンク設計・開発に約33年前から携わり、LNG貯蔵容量の世界記録を更新し続けている技術者の取り組み。

【Web版第23回】 見える化技術による安全確保
~「だれでも」「いつでも」「どこでも」自ら判断~
神戸大学大学院教授 芥川真一氏

トンネルや開削工事の安全対策として、OSV(On Site Visualization)によるモニタリングシステムの研究を2006年から立ち上げ、ひずみ、変位、湿度、圧力など様々な変状を簡単な装置で光の色としてリアルタイムで表示する技術者の取り組み。

【Web版第24回】 創造的な知恵で「やる気」の醸成を
~ハンディのある地域の産業と雇用の創出~
北海道大学公共政策大学院特任教授、前釧路公立大学学長 小磯修二氏

「専門技術それ自体ももちろん大事な技術だが、それを分かりやすく伝える術もまた大事な技術」を信念に、北海道釧路にて地域のやる気を醸成し、やる気を生かす活動の場づくり・地域振興を推進した取り組み。

【Web版第25回】 常にフロンティア・スピリットを!
~ボスポラス海峡横断鉄道建設プロジェクトの立役者~
大成建設株式会社 今石尚氏

「Rapidity(迅速性)、Stability(安定性)、Passion(情熱)」というモットーを行動指針として、初めての海外業務で直面した難題に対しても決して諦めず、粘り強く取り組み解決し、フロンティア・スピリットを体現した技術者の取り組み。

【Web版第26回】 技術に基づき地域へ判断材料を提供
~消えゆく砂浜の再生へ向けて~
一般財団法人土木研究センター 宇多高明氏

砂浜の消失という問題を、単に海際だけではなく、海に砂を運ぶ河川、砂を供給する山地など、砂に関する総合性の視点でとらえ、地域自らが海岸の将来を決めるための技術的判断材料を提供し続ける技術者の取り組み。

【Web版第27回】 飽くなき挑戦とチーム一丸!
~ダム現場に育てられた技術者~
鹿島建設株式会社 高田悦久氏

「自分で考え、学習し主体的に行動することが技術者として最も大切である」そして「現場が技術者を育てる」をモットーに、常に現場を原点とし、ダム現場一筋30年間、様々な困難に積極的に挑戦し続けた技術者の取り組み。

【Web版第28回】 リーダの逃げない姿勢が道を拓く!
~世界初のアンダ-パス急速施工法の開発~
株式会社大林組 三木慶造氏

土木には「今こそ、世界に通用する夢のある技術が必要である」。アンダーパスを直接地上から発進し、直接地上に到達する世界初のシールド工法「URUP工法」の開発に携わった技術者の取組み。「誰もやったことのない開発には抵抗もリスクも伴うが、社内を動かしチームを一丸とするには、リーダが絶対に逃げないことだ!」その技術者の思いが、「URUP工法」を実現に導いた。

【Web版第29回】 「模型で伝える」土木の面白さ
~模型実験で魅せる土質工学・土木施工~
株式会社藤井基礎設計事務所 藤井 俊逸氏

擁壁やトンネルのアンカーボルトの役割など目には見えない土木の理論を、手作りの模型を使い分かりやすく発信。理論の勘所を捉え、土木の面白さを痛快に伝える技術者の取り組み。

【Web版第30回】身近な風景へのこだわり
~信頼から生まれる「景観まちづくり」~ 
京都市立芸術大学教授 藤本 英子氏

「景観」に関する専門的なアドバイスに留まらず、行政と市民の両者に入り込み、困難な問題を共に乗り越えプロジェクトを実現していく。この「景観まちづくり」の活動を率先して現場に出向き展開する技術者の取り組み。

【Web版第31回】くもの巣のような粘りがすべてを変えた
~くもの巣原理が守るふるさとの自然保護~
日鐵住金建材株式会社土木鉄構商品部担当技術部長 岩佐 直人氏

自然環境保全への徹底したこだわりにより、樹木を伐採せずに斜面補強するノンフレーム工法に対して、"新たな技術理論の確立"、"施工方法の標準化"、"鉄に付加価値をつける新たな営業展開"など数々の難局を乗り越えた技術者の取り組み。

【Web版第32回】立入禁止から生まれた無人化施工技術
~雲仙普賢岳災害復興~
株式会社熊谷組 北原 成郎氏

九州雲仙普賢岳の立入禁止区域内から培われた「無人化施工技術」。土木、機械、通信、情報処理技術を融合させることにより、現場からの要求課題に対応し、情報化施工へと進化させてきた取り組み。

【Web版第33回】サモアの水道を変えた宮古島の技術協力
~人間的交流が、その土地に合った確かな技術を伝える~
梶原 健次氏 (宮古島市上下水道部水道総務課 課長補佐)

最先端技術に囚われず、サモアの社会的環境を十分に理解した上で、現地の人たちとのコミュニケーションを大事にし、その中でお互いに技術の共通認識を醸成、地道な現場作業を重ね、サモアにとって真に必要な水道水浄化技術を伝えた技術者の取り組み。

【Web版第34回】磨きこんだ資源を地域の総力でおもてなし
~観光まちづくりを切り口に地域づくりを実践~
志賀 秀一氏 (東北地域環境研究室 代表)

地元の人では気づかない地域の魅力を「よそ者の視点」で掘り起こし、人との縁を大切にし「地域がよそとつながる力」を磨き上げ、また単なるモノを売る観光を「地域の人の生業」につなげる。多様な目で地域の良さを見極め、地域総ぐるみで日常を高める取組が重要、と彼は説く

【Web版第35回】日本の鉄道技術が世界に夢と希望を育む
~気候風土が類似した台湾で走るCool Japan「新幹線」~
田中 宏昌氏 (東海旅客鉄道株式会社 顧問)

日本の科学技術の集大成であり続ける鉄道技術、とりわけ「システムインテグレーションの所産」である新幹線に関する技術・運行ノウハウを、広く世界に伝え、鉄道技術で世界に貢献したい、と日々考えている技術者が、台湾高速鉄道建設プロジェクト受注競争に参画した際に、ネガティブキャンペーンや欧州仕様のインフラで新幹線を走らせる等の様々な困難に立ち向かった取り組み。

【Web版第36回】グローバルセンスを磨く教育を!
~世界を牽引する行動力~
日下部 治氏 (茨城工業高等専門学校)

「地盤工学」の国際化を推進し、英語教育やグローバル教育といった明確なビジョンを持って「有言実行」で行動する国際的な教育者、技術者の取組み。「グローバルセンスを磨く教育」や「時代を読む歴史感」など、技術者に欠かせない国際化の視点について、その思いを聞いた。

【Web版第37回】データを読み解く力で真実を追究
~液状化履歴にみる危険地域情報~
若松 加寿江氏 (関東学院大学 教授)

「液状が起こるのはどのような土地か?」 日本全国の液状化履歴調査を重ね、液状化の起こりやすい地域を特定、さらには、個人にも向けたその情報提供に尽力する技術者の取り組み

【Web版第38回】お客様視線でイノベーション
~道路交通分野で広がるプローブデータの活用~
今井 武氏(本田技研工業株式会社グローバルテレマティクス部役員待遇参事)

お客様の役立つ情報をカーナビゲーションで提供したいという強い思いから、世界初のプローブカーシステムを発案し、システムから得られたプローブデータによって、道路交通分野でイノベーションを起こした技術者の取り組み

【Web版第39回】磨かれた技術で鉄道の健康を察知する
~経験・技術と即断即決で迅速な災害復旧~
石橋 忠良氏 (ジェイアール東日本コンサルタンツ 取締役会長)

設計から現場管理までの経験から培った高いレベルの技術力で、鉄道構造物の現状を把握し対応できる技術者を育成する。また大地震による鉄道被害に対しては、陣頭指揮をとり、早期復旧に向け組織力を結集する。「きちんと施工することがメンテナンスの第一歩」と彼は説く。

【Web版第40回】大学発のビジネスモデル!
~国産の三次元CADエンジンを開発するカイザー・プロジェクト~
 田中 成典氏 (関西大学教授)

時間軸を考慮した施工シミュレーションや点群データの読み込みができることはもちろん、材料・品質等の施工管理や、工程管理に関する我が国の建設分野における実態を十分に考慮した日本オリジナルの三次元CADエンジンを作る為に努力した技術者の取り組み。

【Web版第41回】沖縄の厳しい自然環境を逆手に取る!
~塩害と台風への挑戦、そして人材育成~
下里 哲弘氏 (琉球大学工学部 環境建設工学科 准教授)

台風メッカの沖縄では、強風による街路照明柱の倒壊や全国比の10倍という腐食速度のため土木構造物の塩害が著しい。過酷な自然環境を逆手に取り、ハイレベルの防食研究開発や維持管理技術のスペシャリストを育成する研究者の取組み。

【Web版第42回】土木技術者が生み出す文化
~見えないインフラを実感して~
安江 哲氏 (株式会社 北未来技研 代表取締役社長)

土木技術者は単に社会資本整備に携わるだけではない。様々な経験を通じ、そこから広がる、コミュニティ、社会活動の基盤や組織づくりといった「見えないインフラ」に気づき、社会資本整備の場から子供とともに学び、文化づくりに挑戦する技術者の取組み。

【Web版第43回】あきらめない気持ちが道を切り開く
~海外の現場で指揮をとる女性土木技術者~
阿部 玲子氏 ((株)オリエンタルコンサルタンツグローバル インド現地法人取締役社長)

進学、就職における苦労、就職後もトンネルの現場に入ることができない現実。女性土木技術者として様々なハンデを抱えながらも、技術者として生き残るために海外の現場に活動の場を見いだし、自分に付加価値をつけようと様々な努力を重ね、インドバンガロールメトロの現場監督を経て、現地法人社長として活躍する女性技術者の取り組み。

【Web版第44回】すべてのインフラをデザインの対象に
~「デザイン」で土木はさらに自立できる~
篠原 修氏 (東京大学名誉教授・政策研究大学院大学名誉教授)

交通研究室で景観工学の研究活動を始め、のちに東大の景観研究室を主宰。また自らの行動で、道路や橋梁、河川やダム、さらには連立事業とインフラデザイン領域を広げてきた。景観に携わる後輩のために道を拓くだけでなく、「土木技術者がデザインに取り組むことが土木の自立につながる」との考えが彼を動かしたという。

【Web版第45回】10分でガス供給を止める!
~リアルタイム地震防災システムの開発~
清水 善久氏 (株式会社 協和日成 取締役 工学博士)

1995年の阪神・淡路大震災、1999年の台湾大地震、2007年の新潟中越地震では、ガスインフラも大きな被害を受けた。 その経験と教訓から首都圏でも地震防災システムの整備が進んでいる。 地震防災システム「SUPREME」の開発から運用に携わった東京ガス(株) 防災供給チームの責任者(現(株)協和日成 取締役)清水善久氏の取組みを紹介する。 そこには、「ガスで社会を壊さない」という技術者としての強い思いがあった。

【Web版第46回】建設技術の新たなステージに向かって
~従来の3K(きつい、汚い、危険)から新3K(給料、休日、希望)へ~
建山 和由氏 (学校法人立命館 常務理事)

現在では当たり前のように言われている情報化施工やi-Constructionに繋がる技術開発。しかし、たった20年前にはほとんど関心を示して貰えなかった。そうした中、建山氏はどうすれば、土木の関係者に新しい技術として情報化施工が受け入れられるだろうかと常に考えながら講演活動を続けた結果、その技術は雲仙普賢岳の無人化施工へと繋がった。危険な場所へは機械が行き施工し、人の命を守る。この情熱と土木の技術開発が一体となった技術者の取組み。

【Web版第47回】有由有縁のまちづくり
~歴史・海外等から学び価値を生み続けるTOPランナー~
首藤 勝次氏 (大分県 竹田市長)

東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げるため、「地方創生」の取り組みが進行中だが、大分県の山奥にある人口約2万2千人の小さな街では、かなり以前から全国の自治体に先駆ける数多くの独創的なプロジェクトが実行されてきた。 歴史的な繋がり、海外や国内の多様な人材との交流を大切にし、全国に誇れる素晴らしいものを生み出してきた首藤氏の取り組みを紹介する。

マガジンはこちら

noteで再構成した記事は、こちらのマガジンにまとめています。不定期更新となりますが、ぜひフォローをお願いします。

書籍もあります

「行動する技術者たち」小委員会では、今後の国土・地方の再生を考えるにあたり、個々の土木技術 者の役割が重要と考え、土木及び周辺の多様な分野において現役で頑張っている技術者に焦点を当て、 「行動する技術者たち―地域に貢献する土木の知恵の再認識―」として紹介してきました。 本書は、2014年9月までの55名の技術者たち(同様の意思を持つ人々も含む)を収録したものです。 将来の地域再生の担い手となる若手の技術者、地域の課題に実践的に取り組んでいる現役の技術者や人々の参考となれば幸いです。

あなたの近くに「行動する技術者」がいませんか?

新しい発想で、国土・地域づくりや地域に貢献する活動に取り組んでいる「行動する技術者」はいらっしゃいませんか?「この人は」という方が皆様の周囲にいらっしゃったら、コメント欄からぜひお知らせ下さい。
「この方のお話が知りたい」というものでも結構です。
令和の時代で「行動する技術者」を新たに紹介していけたらと思います。


国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/