許したもん勝ち
最近、「ネガティブ」に「ポジティブ」で対応する事象が立て続けに起きました。
1つ目が「ドラゴン桜」「インベスターZ」でおなじみの三田紀房さんの事務所の労働形態についての騒動です。
ご存じの方も多いと思うので詳細は割愛しますが、三田さんの元アシスタントであるカクイシシュンスケさんが、三田さんの出した記事に書かれていた「私の職場は残業禁止」という趣旨の内容が事実と異なると怒りを覚え、残業代を請求しました。
それに対して三田さんは、認識不足を謝罪した上で「残業代の支払い」「今のスタッフに対しても同様の対応」、そして「カクイシさんへの激励の言葉」までつけて対応されました。
もう1つが「箕輪さんBOOK LAB TOKYO事件」です。
箕輪さんは、「お金2.0」「多動力」「人生の勝算」といったヒット本を連発している、幻冬舎の凄腕編集者の方です。
最近では彼の編集した本は「箕輪本」と言われ、会社に所属する編集者としては異例なほど認知されています。
事件は箕輪さんがイベント登壇のためにBOOK LAB TOKYOという、渋谷にある本屋が併設されたカフェに行った時に起きました。
BOOK LAB TOKYOに「箕輪本」が一冊も置いていなかったのです。
それに箕輪さんは怒りを覚え、こんなツイートをしました。
しかし、これに対してBOOK LAB TOKYOでコミュニティマネージャーをされている最所あさみさんが翌日、このように対応されました。
この対応に箕輪さんも・・・
となり、収束しました。
怒りという「ネガティブ」に、「ポジティブ」で返した2つの事件を見て、「あぁ、許したもん勝ちなんだなぁ」としみじみ感じたのです。
「許す」という言葉は様々な意味を含むのですが、ここでは英語で言う「forgive」の意味での「許す」を指しています。
forgive は人の罪や過失を腹立ち・処罰などの感情を捨てて許す; pardon は罪や悪事に対して処罰を免除する; excuse はあまり重大ではない失敗や間違いなどを許す
(引用元:Weblio 辞書)
つまり「感情を捨てて許す」ことが大事なのだなと。
「怒り」が自分に向けられた時って、大抵の人は「怒り」や「悲しみ」が先立ち、許しを請うと思います。
でもそれを見せず、「怒り」を向けた人を責めることもなく、逆に「許す」ことができたのが、三田さんであり最所さんなのかなと。
「怒り」って一時的な強い感情で、人に伝播してしまいがちです。特にカクイシさんの怒りのブログははてなブックマークでも1000を超える反響がありました。
そしてその反響で怒った側が多数派になり、強さや正しさを得ます。
しかしそれを「許す」ことで無効化し、許す行いの崇高さで仲間が増えていくのだなと。
「怒り」は継続性が難しいですが、「許し」は続けることができる感情であるため、仲間になりやすいという側面もあります。
今は情報が多くなり、人をつなぎとめておくことが難しくなっています。そのため、仲間が多いほうが強い世の中になります。
ホリエモンさんもキンコン西野さんもBOOK LAB TOKYOも三田さんも、今回は怒る側だった箕輪さんもサロンやコミュニティを作り、仲間を増やす活動しているのは、その表れなんだろうなと。
三田さんも最所さんも、Twitterでの反応を見ると新しい「仲間」が増えているようにみえます。
ちなみに「forgive」の語源は「for(完全に)」+「give(与える)」だそうです。
三田さんは残業代とねぎらいの言葉を与え、最所さんは箕輪本の売上を与えています。
許すの本質は「与える」で、その与えるためには感情を捨てることが必要なんですね。
「許したもん勝ち」……この法則は心のとどめておきたいと思ったのでした。
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