女性の「東京」に対する拘りは一種の信仰に近い
筆者が数年前にマッチングアプリをしていた時に気づいたことが1つあった。
それは男性よりも女性のほうが東京という都市に対する拘りというか執念、執着が何倍も強いということだ。
正確に言うと、別にニューヨークやロンドン辺りでも良いみたいだ。
つまり、世界の大都市に対する執着は凄まじいものがある一方で、日本の東京以外の大都市、つまり大阪や福岡、愛知辺りの評価はそれよりも格段に低い。
男性で勤務地にそこまで拘りがある奴って聞いたことがない。
確かに僻地勤務はライフプランの立てにくさや出会いのなさ、更にはやることの無さという観点から辛いだろうけど、東京以外の地方都市であればむしろ暮らしやすくない?というのが筆者の長年の感想だった。筆者も機会があるのであれば、大阪とか福岡で働いてみたい。
マッチングアプリの話に戻そう。
筆者は、大学進学で上京してからというものの、東京を出たことがない。
そのことに対して特段何も考えたことがなかったが、例の公認会計士の友人がそれは絶対にアピールしたほうが良いと教えてくれた。
筆者も職種柄多分東京から離れることはない点、プロフィールに書いてみたのだが、そこからというもののいいね!の数は格段に増加した。
多分40%は増加したと思う。つまり恋愛、婚活市場において転勤がないという事実はその人の魅力を1.4倍にする効果があるということだ。
転勤がない点に魅力を感じるのが、バリキャリ層であればそれは仕方ないよねってなる。彼女たちはわざわざ夫の転勤のためにキャリアを中断したくないのだから。
しかし、転勤がないという事実を好んでいるのは何もバリキャリ層だけでなく、ノンキャリ層も同じだった。年収300万とかその層である。首都圏周辺にいる女性たちはこぞって首都圏に住みたいのである。勿論実家が首都圏にある層、これも仕方ないかもしれない。
実家が近いほうが色々とメリットもあるだろう。
もう皆さんもお分かりだろうが、非首都圏出身の女性もやたら東京に拘っていた。
彼女たちの方がその熱は強かったかもしれない。
よく考えてみてほしい。彼女たちはわざわざ、実家がある地元を出て、東京の狭小マンションに住むという犠牲を払ってまで東京に来ているのである。そりゃ、思い入れが強くなっても仕方ないかのかもしれない。
確かに周囲を見ていても全国転勤のあるメーカー勤務の友人とかは婚期が遅れているように見える。その勤め先がホワイト企業であってもだ。それよりかは、転勤がない外資やベンチャー勤務の方が早く結婚しているように見える。どのファクターが作用しているのか因果関係を見出すことは出来ないが。これは東京だけの特殊事情かもしれない。
婚活市場では高い年収が一番大事と言われることが多いが、最近では必ずしもそうでもなくなっているような気がしなくもない。
転勤がない点もそれに並んで重要になってきている気もしなくもない。
マッチングアプリの話から現在の日本で起きている現象に目を向けてみたい。
最近は、地方からの女性の東京への流入が止まらないらしい。
全国各地から女性を吸収しているのが一目瞭然だ。
東京に住む男性としては、嬉しい話なのかもしれないが、もう少しマクロな観点で見るとこれは地方の衰退と少子化につながるので決して良い話ばかりではない。
恋愛市場では強気で出てくる首都圏の女性も、今後は東京で相手を探す場合は、かなり条件を譲歩しないと結婚相手は見つからないだろう。
次に女性の社会進出に伴う社会的な歪みの話だ。
こちらも以前に以下の記事で記載した話だ。
筆者の勤務先では最初に地方都市に飛ばされた女性総合職はこぞって東京に戻ってきたがっていた。懇願に近い形であり、人事部も頭を悩ませていたに違いない。
最近では人手不足で女性総合職を獲得するのはとても大変なので、彼女たちの定着率を高めるべく、女性総合職の多くは、そもそも地方都市に飛ばさない会社も出てきている。そしてその煽りを食らうのはいつも、転職出来る経験もスキルもない若手の男子かオーバーエイジで転職できなくなってしまった氷河期世代である。
以前に執筆した記事でも記載したが、会社はどうでもいい社員から地方に飛ばしていくのである。
(ただし転勤で地方に住むと物価が高くない中で大手企業の待遇を期待できるので、生活的にはゆとりが出る。どちらが勝ち組かは一概には言えない)
またそもそも、金融機関では女性においては昇進や昇給が限定される一方で、首都圏配属が確約されるエリア採用も存在する。(最近では、採用数は激減しているが)
彼女たちは総合職の5~6割程度の賃金なので、それだけの犠牲を払ってでも、首都圏に残りたいわけである。
(まあ、エリア総合職と普通の総合職では、学歴差も相応にあるので、賃金の差は学歴差で説明できる部分も大きいとは思うが)
一体東京の何が、彼女たちを東京に惹きつけるのであろうか。
まあ色んな要素はあると思うが、大部分は以下に要約できるのではないか。
①東京が持つキラキラしたイメージ
②単純に雇用機会が多い
③いい男に出会える
④夫婦そろって勤務出来る機会が東京には多い
こういった理由が大半であろう。
①は仕方ない。確かに夜の丸の内や六本木には他の都市にはない高揚感はある。東京カレンダーの世界観である。地方の夜になると周囲は真っ暗、聞こえてくるのはカエルの鳴き声と言う風景とは全然違う世界だろう。
しかし忘れてはならないのは、この世界で勤務するには、学歴が必要であるということだ。学歴がない中で東京に出てきてもろくな就職先がない。
②はそうだと思う。地方には確かにろくな就職先がない。あっても工場などで女性の割合が高いサービス業の雇用機会は地方には多くない。肉体労働が中心になる地方は確かに男性の方が雇用機会は多いのは間違いない。
その点、良い就職先ではなくともとりあえず何かしらの職にありつけるのが東京と言う街の特徴ではある。
③も間違いない。
マッチングアプリを一つ入れて、検索すればすぐにエリサラに出会えるだろう。それは間違いない。ただし、学歴も職歴もない女性がこれらの男性と結婚できるかはまた別の話だ。最近は、男性も極端な下方婚は嫌がるので最低でも地方国立大学くらいは出ていないと厳しいだろう。
また結婚できたとして、待っているのは地獄の共働きだ。
こういったところまでイメージして出てくる東京に出てくる必要がある。
④もそうだろう。
地方都市には、夫婦そろって同じ地区で勤務できると確約される職種は少ない。
地方都市にあるのは、大手企業の支社等であり、ここで勤務している男性は基本的に転勤族であり、ずっとその地方にいれるかどうかは分からない。
それ以外はその地場の中小企業くらいで、確かにここでは共働きが叶うと思うが、今度はキャリアリスクが出てくる。
後は医者や薬剤師、更には会計士、弁護士などであれば地方でパワーカップルを形成できるだろうが、母数が少なく参考にならない。
その点、東京には夫婦そろって東京勤務が確約される職種が多い。
大手企業の部門別採用、外資、ベンチャーなどであれば基本転勤はないだろう。(いずれも採用のハードルは高いが)
このため、世帯年収と言う観点で見れば、東京は全国の中でも断トツで高い。子育て世帯の世帯年収の中央値は1000万程度だ。
その分物価も高くなって、結局収支はトントンの可能性も高いし、何より時間的、精神的な余裕が無いだろう。
このような色んな要素が彼女たちを惹きつけているわけであるが、王道のルートを描けるのは学歴も職歴もあって、運に恵まれた一部である。
大半は下手に東京に出てきても、ろくな職にはつけず、結婚相手は見つからず、挙句の果てには、ホストに大金を使うために風俗やパパ活に手を染めていくのである。
そんなことをするくらいなら地方に残って家庭を形成した方がよっぽど良い人生だ。地方は深刻な男性余りで、若い女性はそれだけで歓迎されるし、地域貢献にもつながるだろう。
東京の呪縛からそろそろ女性を解放してあげた方がマクロ的にもミクロ的にも良いだろう。
そろそろ政府が規制や補助金を設けてでも、大企業を地方に誘致する必要が出てきたような次元にまで来てしまったと感じるのは筆者だけであろうか。