不眠症の人にオススメの仕事【発達障害、睡眠障害】
筆者は、長年不眠症に苦しんできた。
まず不眠症を自覚したのは、高校生くらいの時であった。
模試や校内の実力試験がある前日は寝れなくなるというところから始まった。東大受験の際も、当日のパフォーマンスによって点数がブレやすい数学の前日は、2時間くらいしか眠れなかった。当時渋谷のマークシティに泊まっていたのだけれども、本当に苦しい夜を過ごしたのを覚えている。
数学が終わったその日は、次の日が英語と地歴で、その二つは多少体調が優れなくても、一定程度の点数は確保できることは分かっていたので、ぐっすり寝れたのを覚えている。
この症状は大学に入ってからも続いた。翌日が期末試験、インターンシップ等大きなイベントが控えている時は眠れなかったし、何なら大学時代は常に緊張状態に置かれていたこともあってか、普段から眠れなかったのを記憶している。当時は世間の風潮的にも精神科に通うことはかなり忌避されるような感じであったので、とにかく安静にしているという対策方法しかとれなかった。駒場の保健センターに相談しに行ったことも覚えている。
インターンシップは前日眠れないことが分かっている∔どうせ行っても大したパフォーマンスが取れないことが分かったので、以降はあまり参加しないようになった。これなら面接本番から勝負した方が結果が良いのでは?と言う結論に達したからである。インターンシップに行くと動作を伴うタスクが多くなるので、発達障害がバレやすいことも分かったので、下手に減点を食らうよりは面接からガチンコで勝負する方が分が良いことも分かった。
今の就活では、インターンシップの重要性がより増しているみたいなので、この方法は採りにくいかもしれない。今の方が発達障害にとって就活は難しいものであろう。
発達障害(ASD・ADHD)を抱えている人の多くは何らかの睡眠障害を抱えているらしい。筆者も漏れなくここに当てはまっていたということだ。
社会人になってからというものの年次が浅いうちはかなり辛かった。社会人最初の新卒研修も筆者的にはビッグイベントであったので、これも精神的にはかなり辛かった。幸い筆者が新卒で入社した企業は、どこかに研修所に詰められて行うタイプのものではなく、本店で開催されていたので、研修が終わった後は、基本的には毎日定時で帰宅することが出来、そこだけは本当に助かった。
聞くところによると、多くのJTCでは最初の研修は、人数の関係から研修施設に缶詰にされて、3か月近く共同生活を送るようなところも多いとのことで、その場合は漏れなく毎晩同期と飲み明かすみたいなイベントも付いてくるようであった。また部屋も数人の相部屋みたいなところも多かったようだ。筆者の場合は、これに耐えることは出来なかったと思う。そこだけは本当にラッキーだった。
社会人になってからも睡眠障害は続いており、翌日に何らかのイベントがある日は眠れないことが多かった。心配事があると寝れなくなってしまうのだ。これは今も続いており、これまで色んな対策は講じてきた。
今では社会の風潮的にも精神科に対する忌避感みたいなものは薄まってきたので、筆者もそこに通って眠剤くらいはもらうようにしている。
前置きは長くなってしまったが、今回は不眠症の人の人が選ぶべき職種にタイプに関して筆者なりに考えた結果を述べてみたい。
1.毎日一定程度の定型作業が発生する職種
定型作業が一定程度発生するような職種は、実はメンタルの安定には相当大事だというのが筆者が達した結論である。定型作業は確かにつまらないのだけれども、定型作業があれば、翌日どんな仕事をすれば良いのか一定程度見通すことが出来るし、何かしらやることがあるというのは、心の安定につながりやすい。
筆者の場合は、キャリアの中盤でフロント部署の経験もしたのであるが、ここは最前線という事もあり、定型作業は発生しにくく、おまけに職場も常に緊張感に覆われているので、全く精神的に安心できなかった。
仕事の内容はある意味創意工夫には富んでいるのだが、全然楽しめなったというのが正直なところだ。
定型作業(所謂ブルシット・ジョブ)を行う部署も経験したが、ここは筆者にはとても合っていた。転職エージェントに話を聞いても多くの人は、フロントとミドルバックであれば、フロントに行きたがるものらしい。
ミドルバックにフロントから飛ばされたものは、怒って転職活動を開始して辞めていくものも一定数存在するとのことだ。そのため、ミドルバックの中でも日々ブルシット・ジョブに従事するような部署は、慢性的な人手不足に苦しんでいるとのことだ。特に若手の場合は、この傾向が更に強いらしい。
自分の場合は、もう二度とフロント部署には行きたくないというのが本音であるので、世の中のこの動きと言うのは本当にありがたい限りである。
2.人間関係が希薄な部署
これはかなり重要なポイントである。
人間関係が濃厚な部署は、飲み会や昼のランチなどに連れていかれやすく、これは激しいストレスかつ時間を奪うものだと考えている。
昼のランチに行くと、筆者が大好きな昼寝が出来なくなるし、飲み会に行くと夜早く布団に入ることが出来なくなる。またお酒を飲むと睡眠も浅くなるし、眠剤との相性も悪くなりやすい。
そこで今回はどういう部署であれば、人間関係が薄くなりやすいかという事を考えた際に、以下のポイントを守ることが重要になりやすいのではないかと考える。
(あくまで金融業界の場合は、そうであって他の業界は分からない)
①心を殺すようなブルシット・ジョブが多い部署
やはりこのような部署に集まり、しかもそこで長年やっていけるようなタイプには、定型発達の陽キャは少ないというか殆どいない。
基本的には職人気質で、落ち着いたタイプの人間が多い。言い方を変えると陰キャの集まりだ。またブルシット・ジョブは複雑な事務作業を伴うことも多いので、高学歴とも相性が良い。つまり学歴だけは立派な陰キャが集まるのこういった部署の特徴である。
このような人間が集まると、基本的に他人に興味が無い者が太宗を占めるので、飲み会等はよっぽどのことがなければ開催されることは無い。
また当然昼も各自で取ることが殆どなので、昼ランチに誘われることも無い。おかげで毎日昼休みは昼寝が出来ているので本当に助かっている。
②共働きのワーママ、ワーパパが多い部署
金融業界だけかもしれないが、なぜかフロント部署は、専業主婦を抱えた一馬力が多い一方で、ミドルバックになるとワーママやワーパパ、所謂共働きが増加するという謎現象が発生することが分かった。
フロント部署は忙しいことが多く、基本的には仕事第一の人が多いので、一定程度仕事に制限がかかる共働きは志向しないのかもしれない。
ワーママやワーパパが多いという事は本当に重要で、彼らは子供の送り迎えなどがあるので、夜遅い時間の飲み会等は開催されない。
また興味関心が家庭に向いているので、職場の人間関係には興味がない者も多い。このため、人間関係がドライになりやすい。
③傍流部署
これは①、②と被る部分が多い。筆者はある意味花形の部署も経験したことはあるのだが、そこが辛すぎた。最初の数か月で人も合わないし、何より業務の負荷が高いのですぐに投げ出してしまった。
まずそこで思ったのは、花形の部署と言うのは、発達障害傾向のあるものは皆無で、高学歴かつ定型発達の者ばかりということだ。
順調に出世コースも歩んできているので、他人にも厳しいものが多く、無能に厳しい傾向がある。これはある意味、東大の花形学科と底辺学科に通じるところもあるのかもしれない。
その点、傍流部署は、確かに専門性は必要なのであるが、基本的に出世競争には関心が無い、もしくは敗れたものが多く、発達障害傾向の強いものが多い。更には花形部署は全員がプロパーで中途は殆ど存在しない一方で、傍流部署は結構な割合を中途が占めていた。中途は基本的に発想が外向きで愛社精神も無いものが多いので、濃厚な人間関係を要求してくることが少ない。
また傍流部署の社員は愛社精神が低い一方で、専門性が高く、社内価値は高くないかもしれないが、転職市場での市場価値は高い傾向があるので、転職がしやすい。そのためそのような部署は人材の流動性が高く、どこも人手不足に困っているので、転職しやすいというのも大きなメリットである。
確かに社内で上に行くことは出来ないかもしれないが、専門性が高い傍流部署にはこのようなメリットがあることが分かったため、筆者はこれまで人事希望でも、若手であれば絶対に希望しないようなブルシット・ジョブ&傍流部署ばかりを希望してきた。人事希望のシートを上司に見せて笑われた経験もある(笑)
傍流部署は大体後継者不足に苦しんでいるので、こういう部署を若い段階で希望すれば通りやすいことが多い。ただそのためには一定の業務知識や関心を示せるように何らかの資格を取得したりすることは重要である。
3.在宅勤務が多い職種
これはかなり重要なポイントである。
在宅勤務が出来れば、移動時間が取られないのでそもそも朝起きるのも遅くても問題ないし、昼休憩の時間にベッドで寝ることも出来る。
また人とコミュニケーションを取る煩雑さから解放され、ストレスなく就寝出来るのも大きい。
これもやはり考えた方としては、どのような職種であれば、出社の必要があるのかと言う点を考えることが重要である。
顧客折衝が多い部署では、やはりどうしても出社する必要が出てくる。
顧客折衝が無く、事務作業がメインの職種は在宅でも十分仕事が出来るので、在宅勤務が多くなりやすい。
ブルシット・ジョブは在宅勤務と相性が良い。ここも筆者がブルシット・ジョブを推す理由の一つである。
4.業務の開始時間が遅い・時間に融通が効く職種
ここは1と相反する話であり、定型作業が発生せず、個人商店的な感じで仕事を進めることが可能な職種においては、そもそもフレックス制が活用できる等として業務の開始時間を遅くすることや時間に融通を効かせて働くことが可能である。
前日よく寝れなかったと感じた際には、遅くまで寝ることで睡眠不足を解消することが可能であるし、何なら更にここに在宅が加われば、業務中の眠い時間にベッドで寝て回復することも可能である。
ただ前述した通りで、定型作業とフレックスを両立させることは結構難しいので、一番現実的なのは、定型作業が多い業務でかつ朝早くに出社する必要が無い業務を選択することであろう。
5.労働の負荷が高くない職種
労働の負荷が高い職種は不眠症にはやはり厳しい。
負荷が高いとそもそも睡眠不足の状況ではしんどいし、「労働負荷が高い」と言う事実がプレッシャーとなり、寝れなくなることに繋がりやすい。
労働負荷が高いと言っても、色んな種類がある。短い時間でマルチタスクを要求される職種やそもそも業務の難易度が高い、専門知識が要求される等である。
ただ考え方として難しいのは、労働負荷が低い職種は基本的に参入障壁が低く、また転職市場での需要も低いのでいざ労働負荷が高い職種に配置転換された際に逃げにくいという事である。
ここもちょうど程よい塩梅の仕事を見つけることが重要である。
6.出張などのイベントが発生しない部署
出張は不眠症とかなり相性が悪い。
そもそも慣れた自分のベッドで寝ることが出来ない中で、出張先のベッドで寝ることが出来ますか?と言う話である。
間違いなく、ビジネスホテルのベッドで快眠を取ることは厳しいはずだ。
筆者の行ってきた業務は基本的に東京で完結する業務なので、国内出張にはこれまで一回も行ったことが無いけれども、海外出張の経験はある。
日常とあまりに違い過ぎる環境からか、全然快眠出来ずめちゃくちゃ苦しかったことだけは覚えている。
その経験があるので、出張が少なく、基本的にはずっと同じ場所にステイ出来るような職種を筆者は希望している。
7.安定した組織に属すること(大企業勤務・資格業)
これはメンタル面で非常に重要なことである。
明日飯に困らないというのは本当に大切なことである。
そしてこのことは睡眠の質にかなり響いてくる。
やはり心配事が少ない方が睡眠の質が上がるし、結果的に良いパフォーマンスを発揮できる。そしてそのことが更に良い睡眠に繋がっていくのである。
筆者が外資とかベンチャーに行くと恐らくすぐに不眠症が発生し、メンタルが崩壊する可能性がある。
前回も指摘した内容であるが、「貧すれば鈍する」、つまり心配事が多いほどパフォーマンスが低下しやすいのだ。
心配性が原因で不眠症に陥っている人には、ベンチャーや外資等はおススメ出来ない。なるべく業務負荷の高くないJTCや裁量の大きい資格業・専門職に潜り込むことが重要である。
8.人命に関わらない仕事
筆者はこれまで金融業に従事してきたため、直接人命に関わる職種ではない。ミスをしてもリカバリーが可能である。
これが人命に関わる仕事であればどうだろうか。ミスは決して許されないし、リカバリーが不可能である。
このような業務に従事するのは、不眠症に苦しむ人にはリスクが高すぎる。
不眠症(正確には睡眠時無呼吸症候群)に苦しむトラックの運転手が事故を起こした話からも分かる通り、人命に関わる仕事と不眠症の相性はよろしくない。
睡眠不足の状態で業務に臨み、事故を起こしてしまったでは済まないからだ。
その点、筆者自身は金融業で良かったと思うこともある。
確かに業務はつまらないしミスをしたら出世には当然響くのだけれども、それはあくまで会社内の話で、外に一歩出れば関係のない話である。
誰かの命に関わるのとは全く持って次元の異なる話である。
我々は日々このような高リスク業務に従事してくださっていることに感謝する必要がある。いくら自分の職業のステ―タスが高くとも決して傲慢になってはならないのだ。
長々と書いてきたが、以上が不眠症の人におススメしたい仕事の選び方である。
今回の記事が筆者のような不眠症に苦しむ方の参考になれば幸いである。