先週のマーケット振り返り(20/7/27~20/7/31) ~決算良好で再びテック高・金余りで金利も低下・ドル安継続~
<株式>
米株は日替わりで上がったり下がったりする相場となるも、月曜は週内のテック決算期待からグロース株中心に買われ、実際に好決算を受けて一段上昇したことで、週を通してみるとグロースビットな相場となった。一方、バリュー・シクリカルは軟調気味となり、またドル安が一段と進行したことで、日本や欧州は通貨高の影響も受け、米株とは異なり大きくマイナスとなった
月曜日。TP+0.2%、SP+0.7%
前週の木・金と株価が下落していたが、それを埋める形で上昇。特にテック株への決算期待からグロース株が上昇。また週半ばのFOMCに対する期待感もあり買われた。また米国時間には米財政追加刺激策案の共和党案がやっと発表された。もともと先週火曜日に発表との話だったが、ずいぶんと遅れる。共和党内も一枚岩ではなく、さらには共和党とホワイトハウスの間にも意見の相違があることが改めて印象付けられた。
火曜日。TP▲0.5%、SP▲0.6%
この日はコロナ感染拡大などが懸念され日本株が下落、アジア時間のリスクセンチメントは縮退気味で欧米時間に。今週、米国では1Q決算発表のピークを迎えるが、この日はファイザーなどが好決算となった一方、マクドナルドが個人消費の厳しさを象徴するような悪決算となるなど、全体的にはまちまちの結果。翌日にはFOMC、翌々日にはテック系決算集中などを控えており、様子見姿勢が強まった。また米第4弾景気刺激策案に関しては、共和・民主での話し合いがスタートするが、お互いに生産的だった旨の発言こそあるものの、依然として相当の隔たりがあるような発言もしており、現状では月内の合意は難しそうな様子。協議難航もリスクセンチメントを冷やす要因となった
水曜日。TP▲1.3%、SP+1.2%
この日はドル円が一時104円台をつけるなど久しぶりに円高警戒感が強まり日本株の上値を抑えた。また日本国内でのコロナ感染が拡大しており、景気回復への不透明感の高まりも日本株にネガティブに働いた。
米国時間ではFOMCに注目が集まったが、結果としては予想通りのノーイベント。特にサプライズ要素はなく、新たな決定内容としてはドル流動性スワップラインを来年3月末まで延長することくらい。ただそれでも、全体的にハト派トーンがしっかりと示されて市場では改めて安心感が醸成される。この日も結局ドル安が一段と進行した。
木曜日。TP▲0.6%、SP▲0.5%
日本株は続落。新型コロナウイルスの感染拡大や低調な企業業績から、銀行や陸運、電気・ガスなど内需関連中心に売られた。
この日、欧米時間で注目されたのは米国の新規失業申請件数と1QのGDP。結果はGDPは予想対比小幅上振れとなったものの▲30%超となり、その他では失業保険継続受給者は5月初旬以来の前週増加となり、新規失業保険件数は2週連続で増加となったことで、全体的にリスクセンチメントが悪化。米国市場開始後の株価は一時大きく落ち込んだが、その後は引け後のテック系決算の期待から、グロース株に買いが入り、そのまま引けにかけて市場全体が上昇。引け後に出てきたグーグルなどテック系決算は全般的に良好で時間外取引で軒並み上昇となった。
金曜日。TP▲2.8%、SP▲0.2%
前日のNY時間後半からドル安が加速する中で、ドル円も明確に105円を割り込んだが、この日の東京時間では一段と円高が進み、午前中には104.20付近まで低下。さすがに円高を無視できず、日本株は大きく値下がり。政府・日銀・財務省の三者会談を行うとの報道もあり。ロンドン時間以降は月末の為替需要からドルの買戻しが一気に進み始め、ドル円もNY時間に向けて105円を突破し106円を目指す展開に。
米国時間は、前日引け後のテックの決算が好調であったことから、再びテック買いがさく裂。一方でS&P500やNYダウは上値の重い値動き。共和・民主両党の財政案協議は結局大きな進展を見せず、週末を迎えようとしており、一旦は失業給付の上乗せ600$の執行がほぼ確実となったことも嫌気された
<債券>
債券は金利低下基調で押し目では底堅い動きが目立った。また最近の米金利は金利低下時はブルフラットが基本だったが、先週に関してはブルスティープとなり、やや意外感。グローバルに金利が低下しており、コロナ再拡大懸念と金余りからの債券ニーズが改めて示された印象。
日にち別のコメントは割愛するが、月曜日のベアスティープは、AT&Tが11bnの起債をしたことが影響。ここ最近は起債量が落ちてきており、今年前半の猛烈な勢いとは対照的。ただそんな中で久しぶりに大型起債が発表され、特にデュレーションヘビーな起債となっためベアスティープ圧力となった
<為替>
為替市場ではドル安が一段と進行した。足もとではドル安が継続しているが、これまでドル安に対して反応が薄かった円についても円高・ドル安が進行するなど、一段とドル安圧力が強くなってきている。
一方で金曜日は月末ということもあり、WMR時間に向けてドル買い戻しの動きが加速。ドルインデックス(DXY)でも久しぶりに下髭陽線を付けて引けた形となった。
もう1点、気になることとしてはEM通貨が軟調なこと。基本的にはリスクオンセンチメントが良好で、金余りから株も債券も買われている低ボラ状況においては、EM通貨はアウトパフォームしやすいことが想定されるが、先週は南アランド円、トルコリラ円などが大きく下落となった。他資産との動きに対してやや整合性の取れない動きとなっており、EM国におけるコロナ影響に対する脆弱性などが意識されている可能性があり、今後も動向に注意が必要
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