先週のマーケット振り返り(20/7/13~20/7/17) ~株は物色替わり上昇、NASDAQ、中国株は反落~
<株式>
これまで株価上昇をけん引してきたグロース株や今月初からものすごい勢いで上昇していた中国株はともに失速も、株の物色はバリューやシクリカルなどグロース以外に向いたことで、米株ではNYダウがアウトパフォーム、日本や欧州株も上昇した
月曜日。TP+2.5%、SP▲0.9%
前回の週間振り返りブログでも書いたように、これまで4週連続して東京安、米国高の展開が続いていた。
⇒「金曜に大きめに下落し、週末もコロナ感染拡大報道で雰囲気が悪くなり、月曜東京時間から米株先物が下落するが、ロンドン時間以降は押し目買い優勢で米国時間にかけて上昇に転じ結局は大幅高」
が、今回は前4週と真逆パターンが発生。東京高・米国安。
S&P500先物日中足
東京時間は先週末の米国株がバリュー・シクリカル中心の上昇となったことを好感。中国株の一段の上昇もあり、日本株は2%以上の上昇。その後の欧州時間もリスクオン基調継続で、米国時間スタート後は一段上昇。
月曜日の米国前場はまさにユーフォリアの極みみたいな相場雰囲気だった
とりあえずテックなら3-5%程度の上昇は当然で、テスラは前日比MAX+17%程度、1800手前まで上昇、月初来の上昇幅は66%超にまで到達。自動車業界時価総額1位とは到底思えないプライスアクションだった。金融・財政フルスロットル相場だとは言え、直近のコロナ感染は特に米国で加速しており、一部の州では経済再開がストップ・逆戻り状態の中でこのユーロフォリア感は異常だろうと思っていたら、案の定、引けにかけて一気に崩れてた。相場が崩れたネタとしては、大きく二つ。1つはカリフォルニアのコロナ感染拡大およびリオープンロールバック、もう1つは中国の海洋進出に対する米国のけん制。後者のヘッドラインは米中対立関連では新しい動きでもあり、コロナ感染拡大&米中対立の合わせ技で大きめに反応。
火曜日。TP▲0.5%、SP+1.3%
東京時間は前日の米株下落を受けてマイナスとなるも、さほど売り込まれる感じでもない。11時に発表された中国の貿易収支は輸出・輸入ともに市場予想を上回るがこれ自体には大きな反応なし。ロンドン時間の欧州株も前日比マイナスながらも底堅い動きとなる。JPモルガンやCitiがQ2決算を発表するも市場予想を上回り、株価は底堅さを維持。米国時間はあまり大きなニュースがない中で、前日の大幅下落分を徐々に取り戻す形に。午後は無礼ナードのハト派発言などもサポート要因となり、シクリカル中心に上昇。割と静か目な1日だったが、引け後にモデルナがワクチンのPhase1試験での抗体産生に成功とのヘッドラインで先物はクローズまで一気に上昇
水曜日。TP+1.6%、SP+0.9%
前日の米株引け後にモデルナHLがあり、東京市場は大きく窓開け上昇でスタート。米Q2決算もJPM、Citiをしっかり終え(WFは弱かったが)、引き続き今週発表予定の他大手銀行やその他決算についても楽観的な見方が支配し、しっかりな展開。一方、中国株はこの日も弱含み、特に日本の昼休みにかけて急落。日本株の後場寄りにやや勢いを欠いたこともあり、日経平均は大台の23,000円までは戻せず、それでも1.6%の上昇。日本時間の昼休みに決定されたBOJ会合はサプライズなしの無風。
日経平均株価
ロンドン時間もしっかり。オクスフォードとアストラゼネカの共同開発のワクチンでもポジティブな結果が近く公表されるとのヘッドラインがあり、一段と上昇。同じ時間帯に出たGSの決算も良い内容となり好感される。この上昇でS&P500先物は月曜の高値を抜けるも3230台は重く、米国時間開始前にはOPEC+が8月に減産幅を縮小されることで合意との報道で原油売りとなり、株も小幅反落。
米国時間開始後は、ロンドン引け時間にかけてグロース株が失速し、マイナス圏に突入。特に材料はなかったが、引き続きバリュー・シクリカル上昇相場が継続する中で、物色入れ替えが加速し、テスラ株あたりもじり安。
NASDAQ
ただ、安いところでは押し目買いの動きも旺盛で、トランプ、現時点では中国当局者への制裁見送りに傾斜とのヘッドラインもあり、買戻しの流れ加速。結局は引けにかけて上昇に高値圏で終える
この日はBOCも決定会合があったが、ノーサプライズ。
木曜日。TP▲0.7%、SP▲0.3%
この日はイベント盛り沢山日。
まず10:30のオーストラリアの雇用統計。雇用者数は市場予想を上回ったが、内訳をみると非正規が大幅増加する一方、正規は減少が継続した。
次に11:00の中国統計。4-6月GDPは市場予想を上回る3.2%(予想2.4%)、一方、小売統計は予想比下振れ、鉱工業生産は予想並みとなった。
日本株は寄り付き小幅安程度でしばらくもみ合いとなったが、中国株がGDP発表後あたりから弱含みはじめたため、日本株も前引けにかけてやや下げ。前引け後に小池東京都知事から東京のコロナ感染が280人台になるとの発言があり、昼休み中の日本株先物は下落して反応。中国株の弱含み加速もあり、日本株の後場寄り付きは弱く始まり、そこからは引けまで下落基調となった。
ロンドン時間も相場の流れは変わらず、リスクオフムードが継続。注目されたECBも想定通りの結果でサプライズなし。ラガルド総裁は総裁1回目の会合で失敗して以降、基本的にドラギ流を踏襲していて、何でもやるハト派を継続しているが、(以前からだが)ECB内も一枚岩ではなくここ数年は特に意見が割れてきている。今回はPEPPを全額使うべきか否かについて、今会合前にいくつかヘッドラインが見られたが、ラガルド総裁は「ECBは現在のところ全額を使用するつもり」と発言。
ん?それは全会一致の意見か??と思っていると、やっぱりちゃんと釘を刺された。笑 と言っても、これに絡むマーケット反応は薄。
ラガルド総裁の記者会見スタート時に出てきた米経済指標。小売統計、フィリー、IC、継続受給者(下表には掲載なし)などが出てきたが、小売・フィリーあたりは良い結果になった一方、ICは130万人と予想の125万人を上回るやや悪い結果。統計後はやや売られるも、大きな反応なし
米株は東京・ロンドンの流れを受けて1%弱下落してスタート。ただそこからは売り込むような動きはなく、特段目立つようなヘッドラインもなし。引き続きグロース系が弱い展開が続いていたが、引け後に決算発表を控えるネットフリックスが反発し始めたことをきっかけに、全体的にグロース売りが緩和される流れに。相場全体としても引けにかけて徐々に下げ幅を埋める展開となった。ちなみに、米国の懸念州での感染拡大は継続しているが、あまり材料にはならず。
金曜日。TP▲0.3%、SP+0.3%
前日の米国株が引けにかけて下げ幅を縮小する流れとなったのを受けて、日本株も前日比小幅上昇で寄り付き。ただ積極的に買う流れとはならず、上値の重さを確認しながらズルズルと前日比マイナスまで下げていく。前日、実に▲4.5%も下げた中国上海株がこの日は寄り付き後から徐々に上昇したため、日本株も前引けにかけてやや値を戻してプラスで引ける。しかし日本がお昼休みに入ると中国株は一転して反落し、前引けマイナスとなったことで、日本株も後場寄りは安く始まる。その後は東京のコロナ新規感染者が290人以上と伝わると下げが加速。ただ引けにかけては週末前のポジションクローズの動きもあってかやや戻して引ける。
ロンドン時間も特にヘッドラインなく、狭いレンジでのもみ合いが続く。米国時間スタート後はミシガン消費者マインドが発表されるが、足もとのコロナ感染拡大が意識され予想を下回る結果となるが、直後の市場反応は薄い。ただその後は、徐々に売り圧力が強まり、前日比マイナスまで落ち込むが、ほどなくして切り返す動きとなり、再びプラス圏へ。その後はアリゾナ・ニュージャージーなどでのコロナ感染拡大ヘッドラインが流れるが反応薄で上昇基調継続。逆に引けにかけてはニューヨーク市が経済活動再開の第4段階に入るとの発表があるも反応薄。引け前30分に高値をつけてあとは、ポジション調整の動きも入り、引けにかけて小幅安となり終了
<債券>
基本的には株に合わせたような動きも、全体的にボラティリティが低下。週間では米10年金利は2bp低下となった
日中のヘッドライン等は株で書いた通りで割愛。
その他、気になったところで。
月曜日はロンドン時間に、特にヘッドラインが無い中でブンズにまとまった売りが入り弱含み。リスクオン地合いであったこともあり、独伊スプレッドは大幅低下。米金利もドイツ金利上昇につられて一時的に上昇したが、米国時間中のリスクオフ転換から買いが優勢になり、結局は金利低下。
火曜日、株が買い戻される中でも全然売られない金利。株がスルーする感染拡大ヘッドラインも債券はプライスインしている感じ。
水曜日、モデルナ、オクスフォードのワクチンヘッドライン2発で株価上昇となる中でもしっかり。米10年金利は+1bpに留まる。カーブはややスティープニングで反応。
木曜日、特になし。株が下げる中でしっかり買われたかたち。
金曜日、特になし。先物売買高も低調で、閑散。
<為替>
全体的には、株が上昇した中で逃避通貨売り、ハイβ通貨買い。先週アウトパフォームしたGBPには反動が入り、コロナ感染が深刻化するMXNはアンダーパフォーム。
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