金商法に関する内閣府令案にJPYCの意見が反映!これについて解説します
DAOルールメイクハッカソンに参加
先日、自由民主党本部にて 自由民主党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチーム(web3 PT) の主催で「DAOルールメイクハッカソンの振り返りと提言(案)」という議題で会議が行われました。JPYC株式会社は昨年11月下旬から12月にかけて開催されたDAOハッカソンに参加していましたので、私も同会議にオンラインにて参加しました。会議の模様は、自民党web3 PTの座長である平将明先生の公式サイトから確認することができます。
また昨日、私が理事を務めている一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)で 緊急ウェビナー「自民党『DAOルールメイクに関する提言』解説セミナー」 と題したウェビナーを開催し、講師の一人としてパネルディスカッション形式で同提言の内容を解説しました。
今回のDAOに関する提言の詳しい内容については、自民党の公式サイトから確認することができます。
DAOルールメイクに関する提言
〜我が国における新しい組織のあり方について〜(要旨)
DAOルールメイクに関する提言
〜我が国における新しい組織のあり方について〜
そもそもDAOとは
DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)は、中央集権的な関係性ではなく 分散型のガバナンス構造を持ち、メンバーが共同で意思決定を行う組織です。
DAO内でのガバナンス投票や報酬支払いには透明性が求められるためブロックチェーン技術ととても相性がよく、海外の事例では報酬の支払いにステーブルコインを使用することも多く見受けられます。
JPYC株式会社としての提言
JPYC株式会社として提言したのは 主に以下の3点です。
DAO組織による各種契約、口座開設を可能に
(現行では合同会社スキームを使用することが多いと考えられますが)代表者の個人情報が登記されるなど、責任と権利が偏ってしまう問題の解消
集団投資スキームに該当しない資金調達についての整備
以前もnoteに記載しましたが、私は東京都の離島「青ヶ島」に居住しています。
青ヶ島に限った話ではありませんが、全国の町興しで直面するハードルの一つとして、移住や移住体験プログラムを実施するにあたって すぐに入居できる住居を確保することが非常に難しいという点があり、これをDAO的な発想で解決できないかと企画検討しています。
自治体・空き家オーナー・地域住人・移住希望者が横並びで参加したDAOとして移住体験プログラムを運用、NFTによる資金調達、DAOへの貢献度の高いメンバーに貢献トークンを発行し、貢献度の高いメンバー同士のマッチングを行い、移住希望者と地域との接続をなめらかにする……、などさまざまな取り組みが考えられます。
また、これまでDAO的なコミュニティでは、参加権になるトークンやNFTそのものの値上がりを期待するような制度設計が一般的でしたが、このスキームでは発行者サイドには集団投資スキームなど金商法に抵触するリスクがありました。
そこで、DAOへの参加権(合同会社でいう社員権)と、報酬などとして配布可能なトークンを分ける、さらに社員権には出資額を超えての売買ができない、配当が付与されない、という制約を加えることで、社員権をトークン化して販売できるような形での提言をいたしました。
金融商品取引法に関するパブコメに……
今回の提言を受けて、すでに金融庁で「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表についてパブコメが始まっています。
その中で、以下の部分は 弊社の調達用社員権トークンの提言の考え方がかなり反映されていると考えています!
最後に
今回の「DAOルールメイクに関する提言」により、合同会社型DAOの実現に大きな弾みがついたと考えています。
DAOの社会実装にはステーブルコインがとても相性がよいと考えられます。ステーブルコインはDAOの資金管理、資金調達、ガバナンス、報酬支払い、そして透明性の向上に貢献することができるからです。
近い将来、合同会社型DAOはJPYCで出資されることが普通になり、DAOに貢献すると報酬がJPYCやNFTで貰える。また今年登録申請予定の「電子決済手段JPYC」であれば会計も納税もできるようになると思うので、既存銀行を介することなく法人を運営できるようになります。
これが今回の金商法内閣府令改正案の一番革命的な点だと思います。
日本のステーブルコインJPYCを発行する立場として、DAOの社会実装を推し進めていきたいと考えています。