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2年生で政治を学ぶ:アメリカの小学生の社会科

2年生の1学期が始まって一月も経たないうちに、政治の勉強が始まりました。

今、息子が受けているオンライン授業では、4週間ごとに社会科のテーマが切り替わる仕組みになっています。

今年は11月に大統領選挙があるので、政治や選挙の話は自然と家族の会話の中でも出てくるし、かといって、2年生にどのように政治を教えれば良いのかわからないので、親としてはとてもありがたいテーマでした。

気がついたこと

わかりやすい言葉で基礎的なことをざっくり教える。
考えさせることが目的で、用語を覚えることを求めるものはない。
・最終課題は、生徒が自ら考えをまとめたり、生徒に意見させるもの。
・「子供も社会に対してできることがある」というメッセージの読み物や動画が多い。

『社会のルールって何?』

8月中旬から4週間あった2年生の課題

基本的には、毎週、読み物と動画を見て、掲示板でディスカッションする形式。最後の週には、学んだことをポスターや動画にまとめるという課題。

1週目:身近なルールについて

1週目は、「遊ぶ時のルールって何?」「コミュニティーのルールって何?」というテーマについての動画や読み物の課題からスタートでした。

身の回りにも、車に乗る時はシートベルトをするとか、自転車に乗る時はヘルメットをするとか、安全を守るためのルールがあるよ、という本を読みました。

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2週目 自分の家やコミュニティーでのルールなどをマップ形式で書いてみよう

1週目は、読み物と動画だけだったけれど、2週間目には、それに加えて、ツリーマップを作って、自分の家やコミュニティーでのルールなどをマップ形式で書いてみようという課題が出ました。

クラスでシェアされたツリーマップ参考動画
(このような、YouTubeで公開されている一般の動画も、どんどんクラス作りに取り入れられている)

息子は、アメリカの通ってる学校のルールをツリーマップにしていました。

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2週目・3週目・4週目 政治、法律、選挙についての読み物や動画

2週目からは、政治、法律、選挙についての動画や読み物の課題がたくさんありました。

動画や読みものの中で出てきたテーマはこんな感じ。
難しいテーマですが、それぞれざっくり簡単に紹介されていました。

・国のルールは誰が決める?
・大統領の仕事って何?
・議会の仕事って何?
・国民の権利は?
・投票って何?どうやって投票するの?
・犯罪を犯したら(ルールを破ったら)裁かれることについて、あなたはどう思うか?

↓こちらは、「私は選挙できる?」という、選挙について説明する短い読みもの。数ページあります。

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↓こちらはちょっと難しい内容。法律を破ったかどうかをどう判断するのか、どう裁くべきか?について問いかける読み物。A41ページのみ。

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動画をみたり、読んだりした後は、クラスの掲示板に、自分の意見や学んだことを書きこむ課題になっていました。また、クラスメイトの意見に返信しなさいという課題も同時にありました。

4週目、ポスターか動画を作って、自分の考えをまとめる

「この2年生の政治テーマはどう終わるのだろう?難しい用語がたくさん出てきたけれど、小テストでもあるのだろうか?」と思っていたら、なんと、締めは、学んだことについてポスターか動画を作りなさいというものでした。

私は、小学二年生で政治を学んだ経験がなかったので、こんな難しい内容をまとめるなんて息子にできるのだろうか、と疑心暗鬼でした。

ところが息子は「じゃあポスターを作る!」と乗り気で、スイスイとこのポスターを制作しました。

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(日本語訳)
動物と環境をより守れる形に法律を変えたい。
どうやって?
家族と友達みんなにそのことを伝える

彼らが彼らの友達や家族に伝える

その後、そのメッセージがみんなに届く。そして、政府が、僕たちのいうことが正しいと気付く!

学んだことのまとめ、というよりは、自分の意見という感じで、課題の趣旨からやや外れているようにも思いましたが、先生からは「素晴らしい!よくできました!」とコメントをもらって、無事に単位がもらえました。

おそらく、選挙の仕組みについて簡単に語った動画でも単位がもらえるんだろうなと思いました。生徒一人一人、全く違う形の提出物だったのだろうと推測します。

私が日本で小学生だった時は、社会の時間は用語を覚えるのが主な勉強だったような気がするので、こんな感じで、難しい内容のことでも2年生なりに解釈して、自分なりに考えたということを評価してもらえるというのが新鮮でした。

子供向け 社会派ミュージカル・グループ「Ants On a Log」

ちなみに、息子のこの最後のポスターの内容は、「Ants On a Log」の音楽に影響を受けていると思います。

偶然、この課題をする時期に、子供向けに社会問題についてのミュージカルをするグループ「Ants On a Log」の歌を知り、息子が気に入って聞いていました。
彼女たちのCurious: Think Outside The Pipeline!というアルバムは、2人の女の子が公害問題に立ち向かう話です。選挙権もない子供が「この街には喘息患者が多い」と気づき、周りの大人を巻き込んでその原因を突き止め、住民の意見を政治家に届けるという歌詞で、歌を聴くだけで情景を鮮やかに思い描けるクオリティーで圧巻です。アルバムはApple MusicやAmazonで聞けます。

アメリカでは、積極的に社会問題について子供達に伝えようというアーティストやミュージシャンがたくさんいて、さらにそれをメディアがどんどん紹介してくれるおかげで、良質なコンテンツが簡単に手に入って素晴らしいと思いました。

大学院生も小学生も、同じテーマを学ぶ

私が、ニューヨークの大学院に入学した時、ちょうど、大統領選挙前の9月で、オバマが立候補している時期でした。私は芸術系の学科だったのですが、どの先生のクラスでも、授業中に選挙についてのディスカッションをしました。

例えば、ペインティングのクラスでも、授業の初めの20分は、椅子を丸く並べて、選挙についてそれぞれ熱く語る。候補者について、政策について、選挙のために学生としてできることについて。

息子の今回の社会のクラスを見てみて、アメリカの授業の作り方というのが、年齢に関係なく同じテーマを、(写真用語で例えると)解像度を下げたりあげたりして教えるのだなと感じました。

例えば、大学院生にはより突っ込んだ詳細な情報を与え、より細かい点について丁寧にディスカッションさせ、小学2年生にはわかりやすい言葉でざっくり教える。

こんな難しい内容は大人になってから、というのではなくて、内容の解像度を調節するやり方であれば、どんな年齢の子供にも、どんな内容でも伝えられるのかもしれない、と目からウロコでした。

アメリカの若者は、ジェンダー平等・人種差別撤廃・環境問題を焦点に投票している

2016年の選挙で「一番トランプへ投票しなかった世代」は、10代〜30代の若者でした。
世代が入れ替わり、このような新しい社会科教育を受けた世代が、国をリードする時代がくるのが今から楽しみです。

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