【プレスリリース詳細】国内用レンタルパレットを用いた輸出入の枠組み
JPRは、日中間でパレットの循環利用の枠組みを株式会社ファイントゥデイさまをはじめとしたお客さま企業、パートナー企業の皆様とともにスタートさせ、2024年9月にプレスリリースを行いました。今回はこのプレスリリースの内容を詳しくご紹介します。
この記事はファイントゥデイさまのnoteとの連動企画です。担当者がプロジェクトについて語る「個社では成し得なかった国際物流改革~4社連合の物流パレット共同利用~」もぜひお読みください。
取り組みの概要
ファイントゥデイさま、JPRら4社は、日本・中国間でレンタルパレットの循環利用をスタートしました。日本国内のレンタルパレットのネットワークにシームレスにつながる国際間の循環利用は初めての取り組みです。
取り組み以前(上図「As-Is」):ファイントゥデイさまは日本国内ではJPRのレンタルパレットを利用して、生産拠点から物流倉庫、得意先へと一貫パレチゼーションを行っていました。一方で、中国への輸出時には、別途用意した使い捨てパレットへ製品を積み替えて、中国側で廃棄する運用を行っていました。
取り組み後(上図「To-Be」):ファイントゥデイさまは、日本国内で使用しているレンタルパレットをそのまま中国へ輸出に使用できるようになりました。つまり、国内工場で製造した製品を日本国内の物流拠点やお届け先への輸送を行うときと同様に、そのまま中国向けに出荷できるようになったのです。これによって従来発生していた使い捨てパレットへの製品積み替えが解消。トラックドライバーの荷待ち時間削減されました。さらに、従来中国側で発生していた使い捨てパレットの廃棄が解消されています。
物流業界が抱えている課題とは
物流業界は深刻なトラックドライバー不足を背景にした「物流2024年問題」に直面しています。全産業の平均に比べて、労働時間が長く賃金が低いトラックドライバーは、有効求人倍率が2倍程度の水準。このまま新しいなり手が増えなければ、2030年には必要とされる輸送力の34%が不足するという試算を示して政府も警鐘を鳴らしています。かつて、物流コストの文脈で語られることの多かった、トラックドライバーの賃金や労働時間の問題ですが、いまや、日常生活に欠かせない商品が消費者に届かなくなる、あるいは企業活動の継続に影響を及ぼす「危機」として位置付けられるようになっています。
労働時間短縮に有効なパレット輸送
トラックドライバーの長時間労働の一因となっているのが荷物を手で積み下ろしする作業です。積み荷にもよりますが輸出入に使用される海上コンテナ1本分の荷物を手作業で積み込むには2時間以上を要することがあります。(下ろす時も同様です。)長時間にわたる荷役作業は、順番待ちによる待機も引き起こしていています。この荷役作業の問題に効果を発揮するのがパレットです。パレットを導入すれば荷役や待機時間は大幅に短縮されるのですが、国内物流に比べると、国際物流ではまだそれほど普及していません。
国際間パレット輸送が難しかった理由
パレット輸送を行うには、着地にパレットが滞留しないよう再び発地に戻す循環のしくみが必要です。日本国内では、私たちがスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどで手にする商品の多くが、製造業から卸売業・小売業へとJPRのPT-11型パレットで輸送されています。パレットが空になればJPRによって回収され再び次の発地になる製造業へと供給されています。
しかし、国際輸送では、地理的に発着地の距離が遠いことからパレットの循環を形成することが難しく、パレット輸送のハードルになっています。国際物流における企業パレットの利用は概ね以下の三段階に整理することができます。
第一段階は手荷役です。日本国内の企業の工場、倉庫ではレンタル/自社所有を問わず何らかのパレットを使っていることが一般的ですが、上述した距離の問題からコンテナ輸送を行う際にはパレットを使用しないことが多いようです。パレット積みの製品を手作業でコンテナへと積み込んでいます。パレットを使わない分、コンテナの容積一杯に商品を積むことができますが、長時間労働の要因になっているのは上述の通りです。
第二段階はパレットを使用します。ただし、パレットの回送が難しいため使い捨てのパレットを利用しているケースが多く、本取り組み以前のファイントゥデイさまの状況はこの段階でした。
第三段階は、本取り組みによってはじめて実現したものです。「日本から中国」と「中国から日本」それぞれ逆向きの輸送がある荷主同士のマッチングによって、効率的なパレットの循環が生れたのです。
解決のカギ・企業と企業のつながりや連携
今回の新しい枠組みを生み出したのは、日本から中国、そして中国から日本への輸送を行っている2つの荷主企業のマッチングです。ファイントゥデイさまが日本から中国への輸出に使用したパレットは、もう1社の荷主企業であるケンビューさまが日本向けの輸送に使用して、そのまま国内のお届け先まで同じパレットで輸送されます。その結果、ファイントゥデイさまは積み替え作業や使い捨てパレットの廃棄を解消しました。
2社が往復で同じパレットを使用するというアイデア。それは、結果から見ればとてもシンプルです。
これからの物流を創る新しいアプローチ
企業と企業の協力で課題を解決する取り組みが、いま物流業界で注目されています。これまでの物流効率化の取り組みの多くが、個々の企業が自社にとっての最適化を進める方向で進展してきたからです。その結果、日本企業の物流は非常に高度に管理されている一方で、企業と企業のつなぎ目では、トラックドライバーの手荷役作業や待機に象徴されるような非効率が生じています。
企業と企業が連携してお互いの課題を解決していくーこれからの物流を創る新しいアプローチになるのではないでしょうか。そういった視点でプレスリリースを読んでいただければ幸いです。
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4社連合 国内用レンタルパレットを用いた荷主間の輸出入マッチング
~国内パレット循環利用スキームを国際物流に拡大適用、9月より日中間で開始2024年問題・CO2排出の課題解決へ~
2024.09.17
https://www.jpr.co.jp/news/release/20240917_000173.html